カテゴリ:読み物

  • 2017/08/24読み物

    藤井聡太 新たなる伝説 (別冊宝島 2613)posted with ヨメレバ 宝島社 2017-08-21 Amazon楽天ブックス 対象棋力:全将棋ファン阪田の満足度:★★★★★内容はデビュー以来29連勝を達成した中学生棋士・藤井聡太四段について、複数の棋士や観戦記者がさまざまな角度から、その強さやスター性を分析した一冊。16ページまでは、藤井四段のカラー写真で、以降は「炎の七番勝負」や「29連勝達成の話」な...

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  • 2015/04/06読み物

    ドキュメント コンピュータ将棋 天才たちが紡ぐドラマ (角川新書)posted with ヨメレバ松本博文 KADOKAWA/角川書店 2015-03-25 AmazonKindle楽天ブックス 対象棋力:電王戦に興味がある人なら棋力問わず阪田の満足度:★★★★内容は主に前半部分は「第1回電王戦」「第2回電王戦第4局」「第3回電王戦リベンジマッチ 森下九段vsツツカナ」でクローズアップされた出来事、後半部分は「電王戦FINALの...

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  • 2014/09/15読み物

    ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実 (NHK出版新書)posted with ヨメレバ松本 博文 NHK出版 2014-06-06 AmazonKindle楽天ブックス 対象棋力:コンピュータ将棋対人間に興味がある人阪田の満足度:65%1967年の詰将棋解読コンピュータHITAC5020Fから始まるコンピュータ対人間の歴史を振り返り、第3回電王戦、そしてその数週間後に行われた2014年世界コンピュータ将棋選手権までが記されてい...

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  • 2014/03/05読み物

    将棋世界ムック 第3回将棋電王戦公式ガイドブック ~世紀の対決を楽しもう~ (マイナビムック) (マイナビムック 将棋世界)posted with ヨメレバ将棋世界編集部ほか マイナビ 2014-02-28 Amazon 対象棋力:電王戦に興味があれば大部分は棋力に関係なく読める内容阪田の満足度:85%(※第3回電王戦開幕前の満足度)...

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  • 2013/09/02読み物

    第2回電王戦のすべてposted with ヨメレバマイナビ マイナビ 2013-07-25 Amazon 阪田の満足度:85%amazon内容紹介より「棋士がコンピュータに負ける――。そういう日が遠からず来ることがあるとしても、そこに自分が対局者としているなんて、一体いつから想像できただろう」(佐藤慎一)ニコニコ生放送で累計200万人以上が視聴した、プロ棋士VSコンピュータ将棋による世紀の団体戦...

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  • 2012/03/26読み物

    われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語るposted with ヨメレバ米長 邦雄 中央公論新社 2012-02 Amazon楽天ブックス 阪田大吉の満足度:80%「第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 VS 将棋ソフトボンクラーズ」について米長邦雄永世棋聖の自叙伝を中心に書かれた本。第5章が公開対局直後の記者会見全文、第8章がプロ棋士と将棋ソフト関係者による客観的な見解、それ以外が米長永世棋聖の...

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  • 2010/07/25読み物

    女流名人倉敷藤花里見香奈 好きな道なら楽しく歩けposted with ヨメレバ里見 香奈 双葉社 2010-07-21 Amazon 対象:将棋に興味がある全ての人(特に里見香奈ファン) 阪田大吉の満足度:90% 羽生善治「里見香奈は、天然で天才だ!!」 - 本書の帯より この本は、里見香奈女流名人倉敷藤花の魅力を可能な限り、一冊の本にまとめたといっても過言ではないフォト&エッセイ集...

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  • 2010/04/26読み物

    泣き虫しょったんの奇跡 完全版 (講談社文庫)posted with ヨメレバ瀬川 晶司 講談社 2010-02-13 AmazonKindle楽天ブックス 阪田大吉の満足度:70% この本は2005年11月に約60年ぶりに将棋のプロ入り編入試験に合格し、時の人となった瀬川晶司四段が、2006年に書き下ろした自叙伝を文庫化した本です。当時出版された内容に、プロ棋士になってから4年間の成績報告や、その後の見...

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  • 2010/03/28読み物

    ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)posted with ヨメレバ保木 邦仁,渡辺 明 角川書店 2007-08 AmazonKindle 対象棋力:将棋ソフトに興味がある方 阪田大吉の満足度:80% 2006年の世界コンピュータ選手権で、将棋ソフト「ボナンザ」が初出場初優勝の快挙を成し遂げ、一世を風靡しました。 この本は、その「ボナンザ」の製作者である保木邦仁さん...

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  • 2009/12/02読み物

    羽生善治 考える力 (別冊宝島 1666 ノンフィクション)posted with ヨメレバ 宝島社 2009-11-24 Amazon 対象:羽生名人に興味がある人(棋力問わず) 阪田大吉の満足度:70% 羽生名人を題材にした100ページちょっとのデラックスな雑誌(B5サイズ)です。雑誌と言っても中に宣伝はまったくありません。羽生名人に直接関わったことがある人たちの作文集といったところでしょ...

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  • 2009/11/29読み物

    名人を夢みて 森内俊之小伝posted with ヨメレバ椎名 龍一 NHK出版 2008-10-11 Amazon楽天ブックス 対象棋力:棋譜並べができる人 阪田大吉の満足度:70% NHK将棋講座の平成19年4月号から平成20年3月号まで連載された「森内俊之小伝」に自戦記、棋譜を加えてまとめた本です。 前半6割が観戦記者である椎名龍一さんの文章による「森内俊之小伝」で、後半4割が森内俊之十八世名人...

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  • 2009/11/22読み物

    編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと (講談社文庫)posted with ヨメレバ大崎 善生 講談社 2006-07-12 AmazonKindle 対象:将棋界に興味がある全ての人 阪田大吉の満足度:70% 元「将棋世界」の編集長で、「聖の青春」の著者である大崎善生さんのエッセイです。 もともとは、2002年に「週刊現代」で「これも一局」というタイトルで1年間連載されていたものを単行本化したの...

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  • 2009/05/06読み物

    [新装版]勝負のこころposted with ヨメレバ大山 康晴 PHP研究所 2009-01-20 Amazon 対象棋力:将棋に興味がある全ての人                阪田大吉の満足度:70% 将棋史上NO1の実力者の誉れが高い大山康晴十五世名人が将棋指しの立場から書いた人生哲学書です。別の言葉で表すと、大山康晴十五世名人語録集と言ったところでしょうか。 1976年に発刊され...

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  • 2009/01/09読み物

    決断力 (角川oneテーマ21)posted with ヨメレバ羽生 善治 角川書店 2005-07 AmazonKindle楽天ブックス 対象棋力:ほんの少しでも将棋に興味がある方               阪田の満足度:60%タイトルは「決断力」ですが、決断力の話も書かれてはいますが、集中力や直感力そして継続の重要性、幼少時代の思い出、といった多岐にわたる分野を将棋を媒体にして語られた云わば「将棋名...

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  • 2008/12/29読み物

    イメージと読みの将棋観posted with ヨメレバ鈴木 宏彦 日本将棋連盟 2008-10 Amazon 対象棋力:将棋倶楽部24の12級~七段、ヤフーの青~赤 阪田大吉の満足度:70% 将棋世界で連載されている大好評企画の単行本化です。今年一番売れた棋書ではないでしょうか。私は発売前に予約していたにも関わらず手に入らず、発売から1か月以上経ってようやく第3刷の本が手に入りました。...

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  • 2008/11/07読み物

    新・アマ将棋日本一になる法posted with ヨメレバ天野 高志,清水上 徹,田尻 隆司,早咲 誠和,遠藤 正樹 木本書店 2008-08 Amazon 対象棋力:全将棋ファン 阪田大吉の満足度:80% アマ将棋の全国大会で優勝した経験を持つ8人の方が書いた自叙伝です。加えて真剣師3名の武勇伝を彼らと面識があった宮崎国夫さんが書き綴った作品が掲載されています。(「強豪列伝」は宮崎国夫さ...

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  • 2008/10/01読み物

    聖の青春 (講談社文庫)posted with ヨメレバ大崎 善生 講談社 2002-05-07 AmazonKindle楽天ブックス 対象棋力:全将棋ファン 阪田大吉の満足度:70% この本には、幼少時に短命を知らされ、純粋に将棋のためだけに生きた村山聖という人の生きざまが描かれています。世に将棋に命を懸けたと豪語する人は多けれど、村山聖(むらやまさとし)ほど将棋に命を懸けた人は存在しないでしょう。彼は...

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  • 2008/09/25読み物

    将棋界の事件簿―現役プロ棋士の実話レポートposted with ヨメレバ田丸 昇 毎日コミュニケーションズ 2005-10 Amazon 対象棋力:プロ将棋界に興味がある方 阪田大吉の満足度:70% 作者である田丸さんがプロ入りした昭和40年代以降の将棋界の出来事が、プロ棋士の立場から述べられている一種の暴露本とでもいうべき内容が書かれてあります。 九段昇段規定、将棋会館の歴史、名...

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藤井聡太 新たなる伝説(書評)


対象棋力:全将棋ファン
阪田の満足度:★★★★★

内容はデビュー以来29連勝を達成した中学生棋士・藤井聡太四段について、複数の棋士や観戦記者がさまざまな角度から、その強さやスター性を分析した一冊。

16ページまでは、藤井四段のカラー写真で、以降は「炎の七番勝負」や「29連勝達成の話」などをテーマに、何人ものプロ棋士や観戦記者が藤井四段のことを書き綴っています。(モノクロ写真多数有り)

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ドキュメント コンピュータ将棋(書評)


対象棋力:電王戦に興味がある人なら棋力問わず
阪田の満足度:★★★★



内容は主に前半部分は「第1回電王戦」「第2回電王戦第4局」「第3回電王戦リベンジマッチ 森下九段vsツツカナ」でクローズアップされた出来事、後半部分は「電王戦FINALの出場者」に関連した話が書かれていました。

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ルポ 電王戦(書評)


対象棋力:コンピュータ将棋対人間に興味がある人

阪田の満足度:65%


1967年の詰将棋解読コンピュータHITAC5020Fから始まる
コンピュータ対人間の歴史を振り返り、第3回電王戦、
そしてその数週間後に行われた2014年世界コンピュータ
将棋選手権までが記されています。

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第3回将棋電王戦公式ガイドブック(書評)


対象棋力:電王戦に興味があれば大部分は棋力に関係なく読める内容

阪田の満足度:85%(※第3回電王戦開幕前の満足度)

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第2回電王戦のすべて(書評)


阪田の満足度:85%




amazon内容紹介より

「棋士がコンピュータに負ける――。
そういう日が遠からず来ることがあるとしても、そこに自分が対局者としているなんて、一体いつから想像できただろう」(佐藤慎一)

ニコニコ生放送で累計200万人以上が視聴した、プロ棋士VSコンピュータ将棋による世紀の団体戦「第2回電王戦」。
あの戦いの真実を出場者本人が語ります。プロ棋士5人による濃密な自戦記。プログラマーによる対局分析。観戦記、コンピュータの歴史を語る座談会など。
「第2回電王戦のすべて」のタイトルにふさわしく、血の出るようなあの戦いをあらゆる角度から振り返る内容となっています。

特に、プロ棋士による書き下ろし自戦記はいずれも渾身の内容。一局一局にテーマがあり、ドラマがあり、棋士の人生があります。

第1局 やるべきことをやった 阿部光瑠
第2局 一局入魂 佐藤慎一
第3局 鏡を通して見えたもの 船江恒平
第4局 チームで勝ちたかった 塚田泰明
第5局 強敵と指せた喜び 三浦弘行

放送では観ることのできなかった舞台裏、対局者の心の揺れ動き、終わった今だから言えること・・・。あの春の決戦のすべてが、この一冊に凝縮されています。



<書評>

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われ敗れたり(書評)


阪田大吉の満足度:80%


「第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 VS 将棋ソフトボンクラーズ」について米長邦雄永世棋聖の自叙伝を中心に書かれた本。

第5章が公開対局直後の記者会見全文、第8章がプロ棋士と将棋ソフト関係者による客観的な見解、それ以外が米長永世棋聖の対ボンクラーズ戦における自叙伝という構成。

随所随所に米長節が炸裂しており、ニヤッとさせられる部分が多かったです。

本の中で最も熱く語られていたのは後手番初手△6二玉で、その手に命を削っていたことは重々承知しました。

第2回将棋電王戦でその手を継承する棋士が居るのかどうか、そのあたりは注目したいところです。

個人的には第7章「自戦解説」と第8章「棋士、そして将棋ソフト開発者の感想」が満足度100%で、そこは「プロ棋士VS将棋ソフト」という企画に興味がある方ならば満足する確率が高いでしょう。

ただ、ボンクラーズの開発者である伊藤さんの見解と、電王戦3週間前に急遽行われたプレマッチの謎については全く触れられておらず私の中では減点ポイントです。後者は勝負の世界のことなので全てをオープンにできない事情があるとしても、前者がないのは公平性を欠いてる感じが否めません。

それでも「第1回将棋電王戦」を見た人やその話に興味がある人にはおすすめの一冊であることはまちがいないです。

プロ棋士を束ねる日本将棋連盟の会長が何を考えて将棋ソフトの挑戦を受け、そして元名人がどのようにしてその強敵に勝とうとしたのか、そう考えながら読むと実に味わい深い一冊でした。

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女流名人倉敷藤花里見香奈 好きな道なら楽しく歩け(書評)


対象:将棋に興味がある全ての人(特に里見香奈ファン)
阪田大吉の満足度:90%


羽生善治「里見香奈は、天然で天才だ!!」 - 本書の帯より
この本は、里見香奈女流名人倉敷藤花の魅力を可能な限り、一冊の本にまとめたといっても過言ではないフォト&エッセイ集です。

里見香奈さんって何者だ?という人のために、略歴を書いておきます。

2002年 アマ女王戦で優勝。(当時小学5年生)
2003年 第28回小学生将棋名人戦でベスト8、女流育成会入り(森けい二 九段門下)
2004年 育成会員総当り戦二期連続1位で女流棋士となる(当時中学1年生、史上4番目の年少記録)
2007年 レディースオープントーナメント2006で準優勝(優勝したら史上最年少優勝だった)
2008年 第16期倉敷藤花戦で初のタイトル奪取。(当時高校2年生)
2009年 第17期倉敷藤花戦でタイトル防衛。
2010年 第36期女流名人位戦五番勝負でストレート勝ち。(高校卒業直前の出来事だった)

つまり、女流棋界待望の天才少女だったわけです。その強さは本物で、公式戦で男性棋士に何回も勝っています。今最も注目されている女流棋士なのです。抜きん出た終盤力と出身地から「出雲のイナズマ」と呼ばれています。

さて、この本は「将棋世界」と同じくらいのサイズ(面積)なのですが、その中身の半分が里見香奈女流名人のカラー写真で構成されています。他の半分が里見香奈女流名人のエッセイなどの活字で、前半は「将棋への思い」が書き綴られています。エッセイのタイトルが直筆(印字)になっていたりと、読む側を楽しませてくれる仕上がりになっているのがとても良いです。

「私の将棋を支える大切な存在」と題して、家族の一人一人が紹介されているのですが、その背景画像は里見香奈女流名人が幼少時代に書いたと思われる絵(本人のものだとブログに書かれてあった)が所狭しと張り巡らされており、かなり癒されました^^

そして、本の後半には第36期女流名人位戦五番勝負には里見香奈女流名人の当時の心境が、第一局、第二局、第三局に分けて比較的長文が書き綴られています。タイトル戦について里見香奈女流名人が書いたものは、これまで少なかったので、購入してよかったと思った要因のひとつです。

また、第36期女流名人位戦五番勝負の行われた3局すべての解説も掲載されています。内容は自戦記というよりも、師匠である森けい二 九段が要所となる局面について質問し、それに里見香奈女流名人が答えるという形式です。局面図がゴム印で押したもので作られており(当然、印刷)、見る人を楽しませるための芸が細かいです。それから、詳しい読みが披露されているというわけではなく、解説は簡素なのですが、これまで本人の解説は珍しかったため、充分楽しむことができました。

まとめますと、この本はページ数の半分が写真で構成され、前半は将棋への思いや家族をはじめとする周りの方々の紹介、後半は第36期女流名人位戦五番勝負、が里見香奈女流名人の言葉で書かれており、ファンならば納得の出来だと思います。88~89ページの女流名人戦の清水市代女流名人(当時)と盤をは挟んでいる写真はとてもカッコいいです。(トレードマークの青いタオルも写っている)

里見香奈女流名人のファンならば、迷わず買いです。構えることなく軽い気持ちで読めます。将棋が持つ「おじさん的イメージ」とは程遠い将棋関係の本です。難しいことは書かれていません。だから、良いのです。

なお、満足度につきましては、里見香奈女流名人のファンであるか否かにより、大きく変わることをご了承ください。

Kana Log ← 里見香奈女流名人倉敷藤花のオフィシャルブログです。

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泣き虫しょったんの奇跡 完全版(書評)


阪田大吉の満足度:70%



この本は2005年11月に約60年ぶりに将棋のプロ入り編入試験に合格し、時の人となった瀬川晶司四段が、2006年に書き下ろした自叙伝を文庫化した本です。当時出版された内容に、プロ棋士になってから4年間の成績報告や、その後の見解を綴った「第六章 棋士」(全18頁)が加えられています。

この本の見どころは「著者がプロ入り編入試験という将棋界ではあり得ないルートでプロ棋士になったこと」と「奨励会(プロ棋士養成機関)を余儀なく退会させられた人が、その奨励会時代を克明に描いていること」です。

その二点はどちらも稀で、二つとも兼ね備えた人は今のところ後にも先にもこの本の著者である瀬川晶司四段だけです。

この本を読み始めた時、かなり素人の文章だなと思いながら読んでいたのですが、「第三章 奨励会」を読んでいるときには、その文章だからこそ伝わってくる何かがありました。
内容は主にプロ棋士になるまでの自叙伝で、幼少時代の家庭環境から、その後将棋を覚え、ライバルに出会い、プロを目指していく、といったプロ棋士の回顧録にはありがちな展開なのですが、他の作品と大きく違うのは、棋界の規則(年齢制限)により一度プロ棋士になる夢を断たれているのです。そういう人が脚色せずに素直に書いた奨励会時代だからこそ、文章に迫力があり、場面を想像するのが比較的容易で、話の世界に引き込まれました。

それから、第1章の「恩師」というのが、将棋関係の方でないというのが、ぼく的にはなかなかポイント高いです。人生の恩師だったのですね^^第二章以降は、熱烈な将棋ファンなら知っているアマ棋士やプロ棋士がぞろぞろ登場し、その人たちの素顔を垣間見ることができました。ちなみに、ライバルというのはアマ棋界で有名な渡辺健弥さんです。繰り返しになりますが奨励会員の日常を描いた「第三章 奨励会」は、棋界に興味がある人ならば必見です。

やや拍子抜けしたのは、ぼくにとっては話のメインイベントだと思っていた「プロ入り編入試験」における対局については、思ったほど詳しく書かれていなかったことです。その檜舞台にたどりつくまでのプロセスが、この本のテーマだったようです。

この本は、サラリーマンを経て、プロ入り編入試験を合格するという、将棋界では奇跡と言われる出来事を成し遂げた瀬川晶司四段の真実の姿を知るには必見の本です。「瀬川晶司四段の生い立ちや人物像」それから「奨励会」を正しく理解したい人におすすめの一冊です。

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ボナンザVS勝負脳(書評)


対象棋力:将棋ソフトに興味がある方
阪田大吉の満足度:80%



2006年の世界コンピュータ選手権で、将棋ソフト「ボナンザ」が初出場初優勝の快挙を成し遂げ、一世を風靡しました。

この本は、その「ボナンザ」の製作者である保木邦仁さんと、竜王 渡辺明さんがコンピュータ将棋に対する考えを包み隠すことなく披露してくれている本です。

保木さんが書いている部分では、「ボナンザ」がどのようなことを主眼に入れて計算をはじき出しているのかが説明されています。そこでは、「ボナンザ」に限らず、将棋ソフトの思考回路を学ぶことが出来ます。ただ、できる限り噛み砕いて書かれてはいるようですが、専門的な話が多く、難しかったです。

渡辺竜王が書いている部分は、将棋ファン必見です。「ボナンザ」との公開対局の前に渡辺さんが「ボナンザ」対策として準備していた作戦や、将棋ソフトの弱点、将棋ソフトがどのくらい強いのか等を、具体的な例を挙げながら語ってくれています。
また、実際対局した時に、渡辺竜王の脳裏を駆け巡った感情を事細かく文章にしている点は、話に引き込まれてしまいました。
それから「ボナンザ」に対する考えばかりでなく、「トッププロがどのような指し手の読み方をするのか」とか、「どのくらいがんばったら、プロになれたのか」とかも書かれてあり、棋力向上に対するヒントもありました。

2人の対談も人間(渡辺)とコンピュータ(ボナンザ)の手の内を明かしあってるのですが、大変興味深い内容が書かれています。

最後の約10ページが、将棋やボナンザとは全く関係ない、科学的な難しい話で終わってるのは解せませんでしたが、全体的には、コンピュータ将棋について、製作者側ばかりの見解のみでなく、竜王という最高峰の棋士が評論しているところが、この上なくおもしろかったです。

私はこの本を読んで、将棋ソフトの思考回路に対する知識が飛躍的に深まりました。
将棋ソフトに興味がある方には、お薦めできる一冊です。

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別冊宝島 羽生善治 考える力(書評)


対象:羽生名人に興味がある人(棋力問わず)
阪田大吉の満足度:70%




羽生名人を題材にした100ページちょっとのデラックスな雑誌(B5サイズ)です。雑誌と言っても中に宣伝はまったくありません。羽生名人に直接関わったことがある人たちの作文集といったところでしょうか。当然、羽生名人のロングインタビューもあります。

これまで、羽生名人の生い立ちを語ったり、その素顔に迫る本はたくさん出ていますが、この本の特徴は写真(モノクロ)がいっぱい掲載されていることです。そのため、ビジュアル的にも羽生名人を理解していくことができます。(「羽生のにらみ」もありました。)

全体的には羽生名人の偉業を関係者(主に記者)が讃えるような内容なのですが、この本でしか知ることができないおもしろい内容をいくつか挙げてみます。

まず「羽生善治39歳 いま、私の考えること」と題してのインタビューですが、「羽生マジック」「竜王戦4連敗」「震え」の真相が語られており、ファン必見です。

次に「羽生善治のスーパー上達講座」と題して、将棋の上達方法をレベル別に説いているのですが、短い文章にもかかわらず「これぞ極意!」という感じです。

そして、米長会長と中原十六世名人がそれぞれ「私と羽生善治」をテーマに語っているのですが、これもベリーグッドです。特に中原先生による羽生名人の強さの分析や、「上座問題」に触れられえいる部分は、将棋ファンとして満足できる内容でした。

羽生善治 考える力 (別冊宝島 1666 ノンフィクション)棋譜は部分的なものがほんの少し出ている程度で、将棋がわからない人でも問題なく読み進めることができる内容です。最初に羽生名人の有名な話が10の伝説として紹介され、最後に羽生名人の年譜が付けられていますので、羽生名人を全く知らなかった人でも、この一冊を読めば、羽生名人をよく知ってる人に変身するしょう。すでに羽生ファンだという人が読んでも、新たな発見がいくつかあると思います。


私の満足度が70%に抑えられた理由は、カラー写真が表紙以外になかったことと、記者の話が中心で友達レベルの視点から見た羽生論がなかったことです。それでも羽生名人を知るには、この本を読むのが一番手っ取り早いと思います。

この本は雑誌なので、店頭からすぐに消える可能性があります。購入を検討している方には早めの決断をお勧めします。

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名人を夢みて 森内俊之小伝(書評)


対象棋力:棋譜並べができる人
阪田大吉の満足度:70%



NHK将棋講座の平成19年4月号から平成20年3月号まで連載された「森内俊之小伝」に自戦記、棋譜を加えてまとめた本です。
前半6割が観戦記者である椎名龍一さんの文章による「森内俊之小伝」で、後半4割が森内俊之十八世名人によって詳しい解説が付けられた自戦記3つと、要所の10手位に簡単な解説が付けられた18棋譜とで構成されています。

私が勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが、森内俊之十八世名人の人物像というと、山ほどある羽生名人のことを描いた文献の中の、いわば羽生名人サイドから見た森内像であり、その真相に迫る文献が少なかったように思えます。この本は、森内サイドから見た比較的素顔の森内像に迫ることができる本です。私は、この本を読み、初めて、森内俊之十八世名人の真実の姿の一端に触れることができたように思います。この本では森内俊之十八世名人の幼少期から、将棋を知った小学生時代、奨励会時代、名人・永世名人位獲得までの道のりが、当時の心境や生活とともに描かれています。

例えば、これまで私は、森内十八世名人の小学生時代と言えば、第7回小学生名人で谷川浩司八段が解説を務め、羽生少年が優勝し、森内少年は3位だったという、それっぽっち文章で終わってしまうエピソードしか知りませんでした。しかし、この本を読み、3位になった裏話や、羽生少年との差が何であったのかを少しばかり知ることができました。

本の中で著者である椎名龍一さんが、森内十八世名人は周りに気を遣う性分である旨を何度も書いているのですが、本書の後半の自戦記を見るとそれも納得です。詳しく解説された自戦記の3つのうち、2つがなんと敗戦局なのです。なかなか出来ることではありません。また、その詳しく書かれた3つの自戦記を見て、その対局相手(郷田、佐藤、羽生)に強い闘志を燃やしていたのだろうかと、憶測が芽生えました^^;

他にも、要所の10手ほどに手短な解説が付けられた棋譜も18棋譜あるのですが、その中の第2回都下小学生名人の決勝戦となる対羽生戦は全将棋ファン必見です。すでに小学生とは思えない高段の終盤力があるのは間違いないのですが、そこには機械よりも正確な両永世名人の現在の姿とはかけ離れた二人の少年の姿を見ることができます。

また、永世名人資格取得後、「名人は選ばれたものがなる」という有名な通説に対し、「自分が選ばれたとは思えないんです」と言う森内俊之十八世名人には感動しました。名人になるチャンスは誰にでもある、という意味に受け取れます。他の永世名人が言っても説得力がありませんが、十八世名人が言うと希望の言葉に聞こえます。聞こえない人も、この本を読めば聞こえるようになると思います。

椎名龍一さんの文章は、とても流暢で、読みやすいです。しばしば白黒写真が掲載されているのもグッドです。加えて、森内俊之十八世名人の自戦記はおもしろいです。解説付棋譜18棋譜は、ほとんどが相居飛車で、振り飛車しかわからない私には、やや不満でした。(森内十八世名人のターニングポイントとなる対局を中心に掲載している関係上、仕方なかったのかもしれませんが。)
逆に居飛車ファンにはそこがさらにポイントが高くなる部分だと言えます。

全体的にはこの本はなかなかの良書だと思います。羽生名人を中心に将棋界を眺めてしまうのは、多くの将棋ファンに共通の心理だと思いますが、たまには違う視点から将棋界を見るのも新鮮な気持ちになれると思います。

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編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと(書評)


対象:将棋界に興味がある全ての人
阪田大吉の満足度:70%



元「将棋世界」の編集長で、「聖の青春」の著者である大崎善生さんのエッセイです。
もともとは、2002年に「週刊現代」で「これも一局」というタイトルで1年間連載されていたものを単行本化したのがこの本です。
一番上の画像は2006年に文庫化された本の表紙ですが、私が読んだのは左の画像の2003年に発売された大きめの本の方です。(書かれている内容は同じと思う)

内容は、長年プロ棋士と関わってきた著者である大崎さんが、その関係者(主にプロ棋士)との思い出話をネタに、46の小話をかなりくだけたノリで展開しています。
加藤先生を描いた「讃美歌鳴り響く千駄ヶ谷」、森下先生を描いた「挨拶の帝王」といったふうに。

本のタイトル「編集者T君の謎」は、本書に収められている46の小話のタイトルのひとつというだけで、その大崎さんのお気に入りの後輩である「T君」が、全編にわたって登場しているとか、そういうわけではありません。表紙としてはいろいろなキャラクターの登場を予感させる文庫本(一番上の写真)の方が正しいのかもしれません。

将棋業界の特殊なキャラをクローズアップしている傍ら、プロ棋士の制度に疑問を訴える一面も時々見られました。特に最終話の「これでいいのか将棋界」では、将棋のプロの給与形態とチェスのプロの給与形態を比較し、将棋のプロの在り方に疑問を述べるあたりは、間近で見ていた人の言葉だけあり、説得力があります。


全体的には将棋ファンなら絶対に喜ぶ面白い話も結構あるのですが、ページ数を一生懸命稼いだようなスカな話もありました。(例えば、「将棋は苦し、酒は楽し」)
多数のプロ棋士を軽く扱っている文面は、プロ棋士を神のように崇める風潮がある将棋ファンには違和感があるかもしれませんが、反面、そういう将棋ファンに対してプロ棋士を普通の人間に近づけ親近感を持たせてると言えるかもしれません。

それにしても、日本将棋連盟フランス支部長をポチと呼んだり、タイトル戦で対局者である谷川先生の横に据えられている水を飲んでしまった話は、頂けませんでした。

プロ棋士全体をプロ棋士でない人が間近で見るということは、滅多にない状況であり、そこでの事柄を克明に描いているこの本は、将棋業界を知るという意味においては1級資料だと思います。
読んでみればわかりますが、登場人物の多くが身近な存在に思えるように浮かび上がっています。

「讃美歌鳴り響く千駄ヶ谷」をはじめ、「パチスロの神様」「アマチュアになり損ねた男」など、他にも将棋ファンの間では有名な将棋業界雑学とでもいうべきものがたくさん書かれてあります。

将棋業界に居る人達の素顔を知りたい、という方にはお勧めの一冊だと思います。

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[新装版]勝負のこころ(書評)


対象棋力:将棋に興味がある全ての人               
阪田大吉の満足度:70%



将棋史上NO1の実力者の誉れが高い大山康晴十五世名人が将棋指しの立場から書いた人生哲学書です。別の言葉で表すと、大山康晴十五世名人語録集と言ったところでしょうか。
1976年に発刊された本ですが、2009年に新装版として増刷されました。

昔からある諺や大山十五世名人が考えた教訓が62項目書かれてあり、1つにつき4~5ページ分の大山十五世名人の経験談と共に説かれています。ひとつひとつが短い話なので読みやすく、それでいて全ての話が「勝負師大山康晴のこころ」として一貫してますので、大山十五世名人をよく知らない私にも、その人物像が浮かび上がったように思えました。勝負に対して厳しく、将棋に対して誰よりも真剣であったことがよく伝わってきました。

盤外戦術がうまかったとか、麻雀が好きだったとか、受けの大山とか評されていますが、なぜそのような評価になったのか、この本を読むことで答えを知ることができました。ちなみに「受けの大山」と評されるのはあまり好きではなかったようです。

それから、坂田三吉、升田幸三、中原誠といった大物棋士を、どのように思って見ていたのかが書かれてありとてもおもしろかったです。彼らに尊敬の念を抱いていたことはよくわかりました。
他にもプロの序盤に対する考え方も克明に書かれており、それを知ることにより、今後、名人戦等を見る時は、序盤の緊張感を少しは知ることができそうです。

目次の項目の中に「助からないと思っても助かっている」という言葉がありますが、これは将棋でアマ日本一になった方の数名が好きな言葉として挙げている有名な言葉で、私もこの本を読み、その言葉の価値がわかりましました。自分の対局でも生かせそうな気がするそんな言葉です^^

この本のテーマは「人生哲学」であり、先日紹介した羽生名人の「決断力」と同じです。平成最強の棋士と昭和最強の棋士の考え方を見比べてみるのもおもしろいと思います^^
この一冊の中に昭和最強の棋士 大山十五世名人の「勝負のこころ」が今でも生きており、時代を越えて私たちに語りかけてくれているようなそんな気がする本でした^^

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決断力(書評)


対象棋力:ほんの少しでも将棋に興味がある方
               
阪田の満足度:60%


タイトルは「決断力」ですが、決断力の話も書かれてはいますが、集中力や直感力そして継続の重要性、幼少時代の思い出、といった多岐にわたる分野を将棋を媒体にして語られた云わば「将棋名人羽生善治哲学書」といった内容です。
言い換えれば、羽生名人のこれまでの将棋の世界での経験とそこで考えたことをまとめ上げたような本です。

自分流に解釈すると、「羽生善治」を比喩的に表現した言葉が「決断力」であって、内容は羽生名人の将棋人生論です。「決断力」というテーマに縛られて読むと、読み終わった後、結局趣旨はなんだったのかをつかめないかもしれません。内容は飽く迄も羽生名人の将棋人生論であり、羽生善治哲学です。

私がおもしろいと思った言葉は、

・リスクの大きさは、その価値を表している
・その駒が光って見えたりすることもある
・あとからしたミスのほうが罪が重い
・新手一生から新手一回になってしまった
・将棋は駒を通しての対話である

といった言葉で、将棋にはもちろんのこと日々の生活の中でも役立ちそうです。何事も一番になった天才の言葉は重みがあり参考になります^^

それから、「はじめに」の話はかなりおもしろかったです。上座問題については聞いたことはあったのですが、その当時の羽生名人の本音はこの本で初めて知りました。将棋ファンには特に読んでほしい部分です。

この本を読んで私が思ったことは、羽生名人は勝負師というよりも芸術家だということです。そして、名人とは最も将棋が好きな人でもあることもわかりました。羽生名人は将棋に勝つことだけでなく、将棋の将来をも考えています。

この本はすでに40万部発行されており、おそらくは将棋関係の本で一番売れた本だと思われます。

ただ、おもしろいことはたくさん書かれてありますが、将棋指しは盤上での表現が一番魅力的で、「羽生の頭脳」や「羽生善治の終盤術」の方がおもしろい本に思えました^^;

それでも将棋名人羽生善治がどういう考えを持った人かを将棋を知らない方も簡単に知ることができる良い本です。

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イメージと読みの将棋観(書評)


対象棋力:将棋倶楽部24の12級~七段、ヤフーの青~赤
阪田大吉の満足度:70%



将棋世界で連載されている大好評企画の単行本化です。今年一番売れた棋書ではないでしょうか。私は発売前に予約していたにも関わらず手に入らず、発売から1か月以上経ってようやく第3刷の本が手に入りました。

内容は、テーマ図に対し、羽生善治、谷川浩司、森内俊之、佐藤康光、渡辺明、藤井猛のトップ棋士6人が、その後の読み筋を披露し、先後のどちらが有利かを結論付ける、という進行です。テーマ図は形成不明の難解なものばかりで、6人の意見が先手有利、後手有利、互角に別れるものばかりです。それだけにトップ棋士の大局観を見比べるのがおもしろいです。

6人の大局観を見比べるだけでもおもしろいのですが、用いられているテーマ図が興味深いものが多いことはおもしろさに拍車をかけます。例えば、「いきなり筋違い角で勝てるか?」「角頭歩戦法は通用するか?」「阪田三吉、端歩のナゾ」「ゴキ中超急戦の結論は?」「最古の棋譜は現代にも通じる?」等々です。

幕間として、「1時間で何手を読むか」「上達法」「千日手に対する持論」といった旨のテーマに6人が答えているのですが、これがまた興味深い内容です。
また、巻末に谷川十七世名人と羽生十九世名人の「21世紀の将棋を語る」と題した座談会が掲載されており、二人が大山・升田の将棋をどう評価しているのか、最近の序盤の研究に対してどのような考えを持っているのかを語ってくれています。しかし、何故その座談会に十八世名人が居ない?と思ってしまいました。

注意してほしいのは、この本を読んでも棋力向上にはさほど影響はないということです。飽くまでもトップ棋士の大局観を見比べて楽しむ本であり、手筋を覚えて強くなるという本ではありません。

この本は棋力が低くてもトッププロ6人の大局観を見比べて楽しむことができますし、棋力が高い人はそれに加えてトッププロの読みの手順を堪能できる、そういう本です。

それにしても、5人の中年棋士達が局面をつくった対局者に敬意を表しながらコメントしている中、「先手の人、あまり強くないですね」「△8二飛は大山先生の失着でしょう」と強気のコメントを繰返す渡辺先生は、さすが永世竜王です。包み隠さない率直な意見はベリーグッドです。

個人的には、序盤編、中盤編は定跡手順の範囲内にあるものが多く、6人の最強棋士の意見を聞くのがおもしろかったのですが、終盤編は自分の実戦では100%出てこない局面であることもあり、6人の大局観を見比べる以外おもしろさを求めることができなかったというのが本音です。よって、満足度は80%の予定が70%へとダウンしました。ただし、強くなればなるほど終盤編の方が味わい深く感じるのかもしれないなとも思いました。

本の内容とは関係ないのですが、連盟から出版されていたこれまでの本は固くてパリパリの紙が使われていたのですが、この本は薄くてしなやかな質の良い紙が使われている点もグッドです。

総括すると、将棋ファンならば本棚に並べておきたい1冊です。もし、今この本の価値がわからなかったとしても、将来強くなった時に面白い本だなと思う日が来るのではないでしょうか。

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新・アマ将棋日本一になる法(書評)


対象棋力:全将棋ファン
阪田大吉の満足度:80%


アマ将棋の全国大会で優勝した経験を持つ8人の方が書いた自叙伝です。加えて真剣師3名の武勇伝を彼らと面識があった宮崎国夫さんが書き綴った作品が掲載されています。(「強豪列伝」は宮崎国夫さんの他の著書からの抜粋です。)

タイトルを見て「なにも日本一にならなくてもいい」と思われる方も、一読する価値があると思います。全国大会で優勝した8名それぞれが「初段になるまで」と「県代表になるまで」の将棋の勉強法を丁寧に書いてくれているからです。

8名は複数ある同じテーマに沿って話を進めているので、8人の考えが共通するものもあれば、全く反するものもあり、おもしろかったです。

テーマは大まかに、将棋を覚えた年齢やお勧めの本を答えてもらう「一問一答」「初段になるまでの勉強法」「県代表になるまでの勉強法」「日本一になるまでの勉強法」「スランプ脱出法」「ネット将棋に対する考え」「対プロ戦の心構え」「思い出の一局」といったところです。将棋ファンならば興味深いテーマばかりだと思います。

他にも将棋に関する思い出が書かれてあるのですが、山田敦幹さんのアマ名人戦決勝の話は、私もその放送を見ていただけに、正直うけました^^;

宮崎国夫さんが書いた強豪列伝はかなりおもしろかったです。平畑善介さんと大田学さんは、この本を読んで初めて知ったのですが、そんなすごい人が居たんだとただただ驚いたのですが、将棋ファンとしての重要な知識が身に付いてよかったです。

小池重明さんは「将棋界の事件簿」でほんの少しエピソードをかじっていたのですが、そこでは触れられてないたくさんのカッコいい武勇伝が載っていました。「月下の棋士」に出てきた「死神十兵衛」は小池さん(=ジュウメイ)がモデルだったこともわかりました。

全体的な感想としては、詰将棋や定跡書などを読むことも将棋の勉強になりますが、たまには、こういった本を通してアマという同じ環境で達人になった人たちの話を聞くのも棋力向上に役立つのではないかと思います。この本を読むことにより優勝者達の一致する勉強法、真剣師達の一致する勉強法を知ることができたことは収穫でした最後に私は、この本を2回以上繰り返して読みたくなる良書だと思いました。

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聖の青春(書評)


対象棋力:全将棋ファン
阪田大吉の満足度:70%



この本には、幼少時に短命を知らされ、純粋に将棋のためだけに生きた村山聖という人の生きざまが描かれています。世に将棋に命を懸けたと豪語する人は多けれど、村山聖(むらやまさとし)ほど将棋に命を懸けた人は存在しないでしょう。彼は6歳の時に将棋を覚え、それから人生の全てを将棋に懸けました。名人位を獲るために。口先だけの全てではなく、亡くなる寸前まで将棋のことだけを考えた、そういう人の物語です。

彼の病にむしばまれた命を支えたのは名人位獲得への執念であり、親、師匠をはじめとする彼を取り囲んだ友でした。
この本の中には、村山聖を取り巻く将棋界の人達の人間模様が鮮明に描かれています。森信雄、谷川浩司、羽生善治、佐藤康光、先崎学、滝誠一郎、etc。

村山聖のこの世で最後に残した言葉は、本当に泣かせます。

巻末には、村山聖が文字通り命を懸けた熱戦譜であり名局が8局掲載されています。将棋ファンならばそれを見てさらに村山聖の燃え上がる命の一手を読み取ることができるでしょう。

ドキュメンタリーとしては、すばらしかったのですが、ラストの方で大崎さんの心の情景の描写が強調されすぎているのが、個人的にはやや残念でした。

描かれている内容は村山聖と親睦が深かった作者をはじめ、親兄弟、師匠、等、村山聖に一番近かった人たちの記憶が新しいうちに編み上げられているので、異色の天才村山聖を知るにはこれ以上の本はないと思われます。将棋ファンであれば是非読んでおきたい一冊です。

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将棋界の事件簿(書評)


対象棋力:プロ将棋界に興味がある方
阪田大吉の満足度:70%



作者である田丸さんがプロ入りした昭和40年代以降の将棋界の出来事が、プロ棋士の立場から述べられている一種の暴露本とでもいうべき内容が書かれてあります。

九段昇段規定、将棋会館の歴史、名人戦契約問題、升田・大山をはじめとする大物棋士の話、女流棋士制度、千日手規定、林葉失踪騒動、アマ強豪の話、等々、この一冊を読めば、将棋界の出来事を大まかに知ることができます。将棋界の出来事が思い出話のように、はたまた世間話のように書き綴られているのですが、出てくる登場人物は当然プロ棋士達で、その人たちの人格がわかりやすく浮き上がってくるかのように描かれています。

ここ十年近く前から将棋に興味を持った私にとっては、それ以前の棋界の動きを短時間で知ることが出来てよかったです。

名人戦契約問題はこの本が出版された後にも勃発したのですが、その背景を知るには絶好の本でした。そのあたりは、総会決議が云々の話が出てきて大人向けのやや難しい内容ではありました。

林葉失踪事件についても数ページ程触れられていましたが、事件のメインである元名人との件は数文字だけで流されていました。故人である大山・升田については、包み隠すことなく大胆なほどに語られていましたが・・・。

プロを破ったアマ強豪についても紹介程度ですが、書かれており、伝説のアマ強豪棋士 小池重明さんについても当然のように書かれてありました。

田丸さんのプロになるまでの思い出話も貧乏学生ならぬ貧乏奨励会員の泥臭い生きざまに妙に好感が持てる、そういう内容でした。

全体的には田丸八段しか知らないような話も多く将棋界に興味がある人を必ず魅惑する内容だとは思います。この一冊を読むことで昭和40年代以降の将棋界の歴史を大まかには知ることができるのではないでしょうか。

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