天野宗歩の平手戦より。(当時26歳?)
△8六歩▲同歩と一本付き捨てを入れた局面。
後手の次の一手は、やっぱり・・、天野宗歩です!!!

先手の田中順理は今でいうところの真剣師で「勢州の鬼」と呼ばれ恐れられていたそうです。(この時代の多くの棋士が真剣師で、天野宗歩もその類に漏れない)前名を久田彌三郎(ひさだやさぶろう)と言い、「棋聖 天野宗歩手合集」の中にも幾つか棋譜がありました。
ところで上記の対局は2手目△6二銀を天野宗歩が指しています。2手目△6二銀はレアな指し手でプロの前例がとても少ない出だしです。古くは天野宗歩の技術面での師である大橋柳雪も指した手で、現代将棋では羽生名人(当時)が公式戦で数局指したことは有名です。また、2手目△6二銀と言えば鈴木英春さん(元奨励会三段)が開発したかまいたち戦法の後手番の初手だったりします。
他には木村義雄名人も数局指しており、そういった名前から察しても2手目△6二銀は天才にだけ許されたスゴイ一手なんだと感慨深く思えてくるわけです。
さて、2手目△6二銀から始まるこの対局は「三歩がぶつかる有段将棋ここにあり」みたいな中盤戦が繰り広げられ、その小競り合いから発展して迎えたのが上の局面です。
飛車をたったの一つだけ進め、▲4五銀への誘惑を掻き立たせる形にして、且つ先手陣両翼に不安を覚えさせるその一手は間違いなく超ド級の大技です^^!
その形を見れば誰だって次は▲4五銀の手筋の一着に誘導されるでしょう。実際に田中順理は▲4五銀と指しました^^
その対局では大技はそれだけでは収まりません。その後も飛車角が盤上所狭しと大暴れする大技が連発します。田中順理も負けじと投了する数手前に将棋ファンなら絶対に喜びそうな超大技な受けを見せており、「さすが勢州の鬼と恐れられていただけのことはある」と妙に納得させられました。
それから余談ですが、その対局を激指9で棋譜解析した結果が下記の画像です。

プロ並みに強い激指9も天野宗歩の指し手に決定的な疑問手を指摘できません。こういったことからも天野宗歩が実力十三段だというのもまんざらな話ではないことが私のような素人でも知ることができます^^
それはさておき、「天野宗歩 VS 田中順理」の平手戦、これは将棋ファン必見の棋譜だと思います^^!
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