近年の将棋ソフトの棋力向上は目覚ましく、今ではその強さはプロ棋士と同等とも言われています。
将棋ソフトが強くなればなるほどプロ棋士の指し手との一致率は高くなると考えている人も少なくありません。
将棋は一手一手変わっていく局面で正しい判断を繰り返した方が勝つ確率が高いゲームです。
その意味で将棋ソフトが強くなればなるほど名人や竜王の指し手と一致していくと考えることは方向性としては正しいと思います。
しかし将棋というゲームは、少なくとも人間が考え付くレベルでは勝ち方は一通りではありません。
勝利にたどり着く過程ではプレーヤーの個性が色濃く現れるゲームです。
例えば相手は大駒を失い攻めの拠点すらない終盤戦を思い浮かべて下さい。
あなたならどのような勝ちを目指しますか?
ある人は失敗後の負けを恐れずガンガン駒を渡しながら最短の寄せを目指すかもしれません。
ある人は相手の無理攻めを最後まで丁寧に受け、受けつぶしを狙うかもしれません。
ある人は双方の玉とは全く関係のない離れたところで駒得を目指し、全駒を狙うかもしれません。
勝ちにつながっている以上どれが正しくてどれが正しくないということはなく、その人の個性や美学が端的に現れる、それが将棋です。
1局の将棋の全ての局面に勝ちにつながる指し手が一通りしかないのであれば、将棋ソフトとプロの指し手の一致率は100%に近くなるでしょう。
しかし実際はほとんどの局面で勝ちにつながる指し手が多数存在します。むしろ唯一の絶対手を求められる局面の方が少ないです。
私の持論はさておき、ここでプロ棋士とbonanzaの指し手の一致率を調べてみます。
bonanzaが定跡として認知している指し手は計算から除外されています。
表中の赤い字は同じ棋譜での検証で一致率が高い方です。
公平性を保つためにタイトル戦の棋譜は第1局に限定しています。
2008年に公開されたbonanza2.1と2011年に公開されたbonanza6.0との棋力差は将棋倶楽部24のレートで300点(大駒一枚分)前後の差があると推定されます。
上の結果を見た時にどう思いましたか?
この4年間で将棋ソフトの棋力面での進化に伴いプロ棋士との指し手の一致率は上がったというのは事実です。
次にどの程度一致率が上昇したのかを調べてみました。
上記棋譜でbonanza2.1の検証局面は733局面でした。
そして最善手との一致が377手(一致率51.4%)、
最善手と次善手を合わせての一致が506手(一致率69.0%)です。
一方、bonanza6.0の検証局面は738局面でした。
そして最善手との一致が409手(一致率55.4%)、
最善手と次善手を合わせての一致が527手(一致率71.4%)です。
※将棋ソフトはバージョンアップに伴い定跡として認知するデータが変わるので同じ棋譜でも検証局面の総数も変わります。
4年の間にプロ棋士とbonanzaの最善手との一致率が4.0%、次善手込との一致率が2.4%も上昇していることが確認できました。
ところで、この4年の間にbonanzaは大駒一枚ほど強くなっているのですが、それでも次善手込との一致率は2.4%の上昇にとどまっているという見方もあります。
すでにbonanza6.0はプロ並みの強さがあり、これがさらに強くなれば今度はプロでさえ理解できない手を指すようになるわけですから一致率という観点からは逆に乖離するとも考えられます。
別の言い方だと一致率とは似れば似るほど高くなるわけで、この場合は棋力が近ければ近いほど一致率が高くなるはずです。プロ棋士と将棋ソフトの棋力は今が最も近いわけで、今後は将棋ソフトの方が強くなっていくわけですから一致率も乖離していくという理屈です。
今後、まだまだ一致率は上昇するかもしれません。しかし100%に向かって収束するのではなく、そろそろ限界値に近付いているのではないかと考えるのですが如何でしょうか?
話に続きがあります。近日中に書く予定。
将棋ソフトが強くなればなるほどプロ棋士の指し手との一致率は高くなると考えている人も少なくありません。
将棋は一手一手変わっていく局面で正しい判断を繰り返した方が勝つ確率が高いゲームです。
その意味で将棋ソフトが強くなればなるほど名人や竜王の指し手と一致していくと考えることは方向性としては正しいと思います。
勝利にたどり着く過程ではプレーヤーの個性が色濃く現れるゲームです。
例えば相手は大駒を失い攻めの拠点すらない終盤戦を思い浮かべて下さい。
あなたならどのような勝ちを目指しますか?
ある人は失敗後の負けを恐れずガンガン駒を渡しながら最短の寄せを目指すかもしれません。
ある人は相手の無理攻めを最後まで丁寧に受け、受けつぶしを狙うかもしれません。
ある人は双方の玉とは全く関係のない離れたところで駒得を目指し、全駒を狙うかもしれません。
勝ちにつながっている以上どれが正しくてどれが正しくないということはなく、その人の個性や美学が端的に現れる、それが将棋です。
1局の将棋の全ての局面に勝ちにつながる指し手が一通りしかないのであれば、将棋ソフトとプロの指し手の一致率は100%に近くなるでしょう。
しかし実際はほとんどの局面で勝ちにつながる指し手が多数存在します。むしろ唯一の絶対手を求められる局面の方が少ないです。
私の持論はさておき、ここでプロ棋士とbonanzaの指し手の一致率を調べてみます。
bonanzaが定跡として認知している指し手は計算から除外されています。
表中の赤い字は同じ棋譜での検証で一致率が高い方です。
公平性を保つためにタイトル戦の棋譜は第1局に限定しています。
2008年に公開されたbonanza2.1と2011年に公開されたbonanza6.0との棋力差は将棋倶楽部24のレートで300点(大駒一枚分)前後の差があると推定されます。
上の結果を見た時にどう思いましたか?
この4年間で将棋ソフトの棋力面での進化に伴いプロ棋士との指し手の一致率は上がったというのは事実です。
次にどの程度一致率が上昇したのかを調べてみました。
上記棋譜でbonanza2.1の検証局面は733局面でした。
そして最善手との一致が377手(一致率51.4%)、
最善手と次善手を合わせての一致が506手(一致率69.0%)です。
一方、bonanza6.0の検証局面は738局面でした。
そして最善手との一致が409手(一致率55.4%)、
最善手と次善手を合わせての一致が527手(一致率71.4%)です。
※将棋ソフトはバージョンアップに伴い定跡として認知するデータが変わるので同じ棋譜でも検証局面の総数も変わります。
4年の間にプロ棋士とbonanzaの最善手との一致率が4.0%、次善手込との一致率が2.4%も上昇していることが確認できました。
ところで、この4年の間にbonanzaは大駒一枚ほど強くなっているのですが、それでも次善手込との一致率は2.4%の上昇にとどまっているという見方もあります。
すでにbonanza6.0はプロ並みの強さがあり、これがさらに強くなれば今度はプロでさえ理解できない手を指すようになるわけですから一致率という観点からは逆に乖離するとも考えられます。
別の言い方だと一致率とは似れば似るほど高くなるわけで、この場合は棋力が近ければ近いほど一致率が高くなるはずです。プロ棋士と将棋ソフトの棋力は今が最も近いわけで、今後は将棋ソフトの方が強くなっていくわけですから一致率も乖離していくという理屈です。
今後、まだまだ一致率は上昇するかもしれません。しかし100%に向かって収束するのではなく、そろそろ限界値に近付いているのではないかと考えるのですが如何でしょうか?
話に続きがあります。近日中に書く予定。
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