第2回電王戦のすべて 第3局の感想

余談

「第2回電王戦のすべて」の一番おもしろい部分は出場棋士の自戦記です。

そのため棋譜を並べないとおもしろさの半分も伝わらないと思います。

将棋初心者の方でも激指の検討モードをONにした盤上で並べれば問題ありません。

私もそうやって読んでいます。


さて、第3局の「船江五段vsツツカナ」は本番前に開発者の一丸氏がその最新版を船江五段に提供しているので、船江五段がツツカナの何を恐れ、どういう癖があるのかが少しばかり書かれています。

「少しばかり」になったのは、本番でツツカナが4手目△7四歩と指すようにプログラムされていたため、船江五段の研究手順が盤上に現れることがなかったからです。

しかし、船江五段はその件に関してもコンピュータが強くなる戦型をやられるよりも4手目△7四歩の方が歓迎だった旨が書かれてあり、その前向きな人柄は尊敬に値します。

ツツカナの思考ルーチンは出場プログラムの中で最も優秀だと誉が高かったのですが、ぶっつけ本番と言っても過言でない力戦形になったにもかかわらず、船江五段は大優勢の局面まで築きました。

しかし最後は時間がなくなりしかも疲労困憊の状況であったため悪手を連発し逆転されましたが、船江五段は言い訳をすることもなく、それを自分の弱さだと戒めています。


第3局で観戦者が最も盛り上がった94手目△6六銀は、観る人によって様々な見解がありドラマチックな一手でした。

94手目

ニコファーレで解説していた鈴木八段が「ハッタリ機能はないんですよね?」と言っていたため、「バグ」か何かだと思っていた人も少なくないようです。

実際はバグでも水平線効果でもなく、ツツカナの最善の一手でした。

ツツカナが指したくらいの一手で、それをタダ捨てだと判断するには数段の棋力が必要です。

ツツカナは5手プラス17手詰めを正確に読めていなかったという内訳。

最近の将棋ソフトは詰みに対する嗅覚を鈍くして、詰み以外の部分を飛躍的に強くする傾向があります。

そのため、数手進めた局面で十数手詰が現れることを見落して判断していることが時々あります。

94手目△6六銀がまさにそれでした。

しかし、96手目でそこに気付き修正してくるあたりは、常に局面ごとの最善手を探し続け「点」と表現されるコンピュータらしい将棋でした。(※対して人間の将棋は「線」)


ツツカナの94手目があまりにもドラマチックだったため、それについて長々と述べましたが、「第2回電王戦のすべて」にはその他の手についても船江五段の分析のみならず、ツツカナ、ponanza、激指の分析などおもしろいことがたくさん書かれてあります。(特に船江五段の自戦記は必見)


ところで「激指の目」で使っている激指は大会用の最新版なのでしょうか。その読み筋は激指12と結構違います。同じ激指なのに。


それから船江五段の自戦記の最後に書かれていた「私が忘れかけていた大事なもの」というのはその章のタイトルである「感謝」でしょうか、それとも「山ほどあるやらなければならないこと」でしょうか、はたまた他の何かでしょうか?

読解力不足なのか、最後に謎が残ってしまいました(^^)。


第4局を読んだらまた感想を書きます。(塚田九段の自戦記を読みたかった!)
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