第2回電王戦のすべて 第4局の感想

余談

「第2回電王戦のすべて」の第4局を読みました。

塚田九段の自戦記には、対局当日までにコンピュータ将棋との対局から得た気付きを
記した日記が織り込まれていました。

塚田九段の感覚によるボンクラーズの弱点が書かれていたり、それに基づく出だし4手とそこからの構想が練られていたり、対局後の記者会見で出てきた「昔の谷川浩司」の意味が書かれてありました。

他にもいつ頃に出場が内定し、いつ頃から準備を進めたのかも書かれていて、対策期間って随分短かかったんだなと思ったのが本音。

それから練習ソフトとしてボンクラーズを使うのは当然ですが、その代用にBonanza6.0を使った形跡がなかったのは意外。(書いてなかっただけだろうか?)

PuellaαはBonanza6.0の改造版なので、そちらの方が練習相手としてふさわしい気もするんですけどね(^^)。

まあ、それらが改善されたからといって、結果が改善されたか否かは別の話です。

第4局ではPuellaαが入玉を目指すというコンピュータ将棋の常識を覆す想定外が在ったからです。

塚田九段も自らの玉を入玉させた後はプエラ玉を討ち取る予定だったことが書かれてありましたが、私もそれが成功すると思って観てました。

その時の心境が対局者本人の言葉で書かれていたのはこの上なくおもしろかったです。

ほとんどぶっつけ本番同然の相手に、入玉の構想を成功させ、想定外の展開になりながらも引き分けに持ち込んだ塚田九段をすごいと思うし、それを見てやっぱりプロは強いなと思ったものです。

強調しておきますが、コンピュータ将棋対策として入玉させるのは有名ですが、市販の将棋ソフトにさえそれを成功させることはとても難しいことなのです。

第4局に対してはいろいろな見方がありますが、私には最もコンピュータ対策が盤上に現れた名局だと思っています。

しかし、老師のその観戦記の否定的な締めくくりには、少し違和感がありました。

プロ棋士vsコンピュータに熱くなりすぎていると老師のしめくくりに違和感が、冷めた目で見ていると賛同があるのかもしれません。第4局の内容に対する見解の違いはたぶんそこなのだろうと思います。

米長邦雄永世棋聖もその電王戦で採った作戦は、玉頭を厚くして敵陣に入城していく構想であり、コンピュータ将棋の計算が狂いだす欠陥を突いたものでした。しかし失敗しました。

米長永世棋聖を倒したボンクラーズの後継機と対局した塚田九段が採った作戦も「コンピュータ将棋の計算が狂いだす欠陥を突いたもの」であることは同じで、想定外のコンピュータ側の進歩があっただけで、構想自体は実現させていました。

その将棋には御大の意思が受け継がれていてまさに仇討ちにふさわしい内容で、開発者サイドにとってはコンピュータ将棋の欠陥を露呈され負けにも等しいような一局だったと私は思っています。

実際、観戦者が最も盛り上がった終盤戦は第4局だったように思うのですが、どうなのでしょうか。


それから、方々で言われているようにPuellaαの開発者である伊藤氏だけ「50の質問」がありませんでした。

伊藤氏と連盟のどちらが拒否したのかはわかりません。

しかし開発者サイドでは最も目立った存在である伊藤氏の分だけがないのは、「第2回電王戦のすべて」のタイトルを謳っている以上、1冊の本の価値として減点ポイントになるのは否めないでしょう。

第5局を読んだら、また感想を書きます。

そういえば、塚田九段の自戦記の中に、連盟は第3回電王戦に対して前向きなことが書かれていました。

8月21日の記者会見でどうなることやら(^^)。
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コメント
  • No title
    2013/08/20 00:58
    伊藤氏が拒否したんですよ。
    理由は「50の質問」だけだと真意が伝わらないと困るからだそうです。
    そのうち伊藤氏のブログで開発者から見た電王戦を書く予定らしいです。
    8月11日にニコ生の将棋ウォーズ中継で、
    ゲストで出演した時に伊藤氏が言ってました。
  • No title
    2013/08/20 05:40
    さらに補足しますと、8月11日にニコ生の将棋ウォーズ中継での伊藤さんの話では 現在は 将棋ソフト以外の開発をされているそうで噂になっていた囲碁ソフトの開発の話は否定されてました。



  • 2013/08/20 10:09
    伊藤さんの「50の質問」に関しては、
    先日のニコ生「将棋ウォーズ王位戦」でゲスト参加された際、
    「今までマスコミを通すとこちらの意図が伝わらない・曲解され、
    今回もその懸念があったので記載しませんでした。」
    といったニュアンスのコメントをされてました。
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