第3回将棋電王戦公式ガイドブック(書評)

読み物

対象棋力:電王戦に興味があれば大部分は棋力に関係なく読める内容

阪田の満足度:85%(※第3回電王戦開幕前の満足度)


第3回将棋電王戦の開幕を前に出場棋士と出場開発者の準備や意気込みと、他の棋士や他の将棋ソフト開発者の現時点での見解や分析を伝える本。

一通り読み最初に思ったことは、プロ棋士側が随分とコンピュータ側に歩み寄りを見せた内容だったということです。

ほとんどプロ棋士サイド一色だった「われ敗れたり」、コンピュータ側に若干の歩み寄りを見せた「第2回電王戦のすべて」、さらに一層コンピュータ側に歩み寄りを見せた「第3回将棋電王戦公式ガイドブック」とそんな感じです。

もちろん日本将棋連盟が作っていますので主張が五分五分に展開されているわけではありませんが、棋士側と開発者の主張の比重は6:4、コンピュータ側に肩入れしても7:3くらいの内容構成になっていると思います。

これまでプロ棋士側の主張や見解を知ることができる情報源は幾つかありましたが、開発者側からの主張や見解を伝える情報源はとても少ない状況でした。

私はこの本を読み、将棋ソフト開発者達の苦労に対する理解が少しだけ深まった気がします。

例えばプロ棋士が負けられない対局に重圧を背負っている裏で、開発者達もまた強い将棋ソフトの実現と勝った時の風当たりの強さとのジレンマと戦っているのだと。

実際はそんな重々しい内容が書かれているわけではないのですが、電王戦PVの時とはかけ離れた開発者達の素顔の一端を垣間見ることが出来ました。

言うまでも無く棋士側の主張もおもしろいのですが、同じ将棋ファンでありながら違う価値観を持つ開発者達の主張に目新しいものが多く感銘を受けました。

また、強い将棋ソフトの歴史を語る上で絶対に欠かせない鶴岡氏(激指)、棚瀬氏(東大将棋)、保木氏(Bonanza)の言葉も綴られていたことは、そのソフトで遊んでいた者としてはとても興味深く満足できました。

大部分は電王戦に興味がある人ならば棋力を問わず誰でも読める内容ですが、将棋の話なので少なかれ図面と手順が出てきます。特に遠山五段の徹底分析(全11ページ)は読むだけでは難しいので全ての図面を激指13の盤面に並べて読みました。

そしたら各将棋ソフトの長所を示す局面としてあげられていた半分くらいで激指13でも同じ指し手や類似の手順が・・。それはともかく、そこにも私が知らなかった有益な情報がたくさんあったのは事実です。

それから、第3回電王戦の予想や対局者の意気込み、コンピュータ将棋の行く末を語る内容が多いので、買って読むのならば第3回電王戦が開幕する前であることをお勧めします。

もちろん、第3回電王戦が終わった後に読んでも得られるものは少なくありませんが、どちらが勝つかわからない状況だからこそ読んでいておもしろい部分が多いからです。

他に思ったのは、本が手元に届いた時はその体積を見て少し高いように思えたのですが、一通り読んだ後は内容が充実していたので不満は解消しました。

いずれにしても第3回電王戦に関するまとまった内容はこの本だけなので、第3回電王戦を観る前に読んでおけば正しい情報の下で一層楽しい観戦になることはまちがいないでしょう。

私の満足度は第3回将棋電王戦開幕前の限定付きで85%とさせて頂きます。

減点ポイントは羽生三冠の言葉が応援メッセージの100文字弱しかなかったこと。

それにしても巻末にある勝敗予想アンケートはこのブログで実施しているもの以上に圧倒的にプロ棋士よりですね(笑)


出版社サイトより

“プロ棋士対コンピュータ”この一冊であなたは時代の証言者に

昨年春に開催され、大反響を呼んだ“プロ棋士対コンピュータ”の「将棋電王戦」。その第3回が、3月15日に有明コロシアムで行われる第1局から開幕します。
本書は、世紀の対決をより面白く観戦するための公式ガイドブックです(日本将棋連盟発行)。全出場プロ棋士・ソフト開発者のインタビューはもちろん、多くの識者に取材を敢行。前回から大きくスケールアップした第3回電王戦の見どころ、楽しみ方、基礎知識を一冊に詰め込みました。将棋初心者も、コンピュータ将棋に詳しくない方も、安心して読める内容です。


第3回将棋電王戦公式ガイドブック 目次
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