電王戦FINAL第2局の感想 - 将棋のブログ

電王戦FINAL第2局の感想

2 Comments
3月21日に高知県高知城で行われた電王戦FINAL第2局は
永瀬拓矢六段がSeleneに88手で勝ちました。

(追記 公式記録は89手でSeleneの王手放置反則負け)

<本局の進行>

先手はSeleneで相居飛車(10時開始)



プロの手順とは違うSeleneの序盤



後手から角交換



先手は右玉


後手は銀冠



66手目を永瀬六段が長考(中盤の難所)



そのまま夕食休憩(17時~17時30分)



永瀬六段の82手目は決断の一着



永瀬六段が88手目に驚愕の△2七角不成



大駒不成に対応していないSeleneがバグを起こし王手放置(19時頃)



関係者の1時間に及ぶ協議の末、Seleneの反則負け(20時頃)


<感想>
本局はどう見ても永瀬六段の研究範囲の序盤ではなく、
双方の残り時間が1時間半ほどになった頃はこれまでの
棋士の負けパターンが頭をチラつきました。

夕食休憩の66手目、大決戦前の局面ですが、その頃も
プロ棋士の見立てはややSeleneに傾いているように
言われていました。

ところが、永瀬六段の86手目△1六角はそれを打つ前
からは、大盤解説でも永瀬六段が勝ちになっている
のではないかと言われていた状況。

そして88手目△2七角不成がサプライズ!

サプライズなんてものではなく、私の感覚では
電王戦史上最も驚いた一手。

置き間違えたとしか思えませんでした。

ところがその直後にざわめく対局室。

その時はSeleneがバグを起こして投了したと伝え
られていたのですが、実はSeleneが選んだ89手目は
▲2二銀の王手放置!

これはもう、問答無用でSeleneの反則負けです。

もちろん、1時間近い関係者の協議の結果、88手で
永瀬六段の勝ちになりました。


それからこの対局を語る際に知っておくべきは
88手目の局面が永瀬六段の勝勢であったということ。

永瀬六段勝勢は激指13もやねうら王も認めていて、
そういう局面で永瀬六段は必殺の禁断の秘技を使っています。

知らない方も多いはずですが最近のコンピュータ
将棋は少しでも多くの指し手を読むために実戦では
ほとんど出てくることがない大駒不成を読まない
ようにプログラムされていたりします。

例えば激指11は大駒不成の順が入っている詰将棋は
7手詰でも正解手順を読めないことがよくあります。

Seleneの場合は読めないだけではなく、バグを起し
てしまったわです。

それを永瀬六段が知っていたというのは、相当に
Seleneを研究していたということ以外他なりません。

電王戦でのプロ棋士の勝ち方はひとつではなく、序盤
攻略を成功させる方法や力でねじ伏せる方法、評価
値の欠陥を付く方法などいろいろとあります。

本局はプロ棋士の技量とコンピュータのバグを
引き出す勝負師の研究努力が目に見えてわかり、
これぞ電王戦!と言うにふさわしい話題性抜群の一局でした。

電王戦で観たかったものがこの対局にたくさんありました。

永瀬拓矢六段は素晴らしい棋士だと思います。




<投了図 激指13七段+5の形勢判断>
電王戦FINAL激指13の評価値


<投了図 やねうら王の形勢判断>
やねうら王の評価値


<激指13の形勢評価グラフ>
電王戦FINAL第2局激指13の形勢評価グラフ
※投了図は深読みするほど評価値が後手にブレる。



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Comments 2

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かみかぜ  
No title

個人的意見ですが事前貸出ありという条件を開発者側が飲んでくれてるのだから
永瀬さんがもし早い段階で致命的バグを見つけていたのであれば修正依頼しても良かったのではないかと思います。
あのまま不成を繰り出さずやねうらおの評価値が+500から-2000に反転して勝つ方が感動的だったかなぁと考えると少しもったいない気もします。

2015/03/22 (Sun) 10:01 | EDIT | REPLY |   
静岡県民  
No title

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本当は、前回までの電王戦で、プロの差し手を見てコンピュータ側の評価値が豹変する(すなわちコンピュータの評価値より人間の判断の方が優れている場合がある)状況が現れて欲しかったと思います。
前回までの結果は、探査局面の大きさだけで、ミスをするか、しないかだけの結果がほとんどだったと思います。(三浦九段vsGPS戦を除き)
森下九段のリベンジマッチで証明されたとは思いますが、リベンジマッチということでインパクトが、、、
ちょっとだけ残念です。

2015/03/22 (Sun) 11:43 | EDIT | REPLY |   

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