対象棋力:電王戦に興味がある人なら棋力問わず
阪田の満足度:★★★★



内容は主に前半部分は「第1回電王戦」「第2回電王戦第4局」「第3回電王戦リベンジマッチ 森下九段vsツツカナ」でクローズアップされた出来事、後半部分は「電王戦FINALの出場者」に関連した話が書かれていました。

本書の3分の2近くは電王戦FINALに出場する棋士や開発者、将棋ソフトを紹介する内容になっているため、電王戦FINALの開催期間に近い時期に読む方が満足感は高くなりそうです。

電王戦FINALの開催期間中に発売された本であるため当然のことながら結果は書かれていません。

最後の方に予想は書かれていました。

それで、私くらい電王戦関連の記事をあちこちで読んでいる者になると、知っている内容も多かったのですが、初めて見る内容も結構ありました。

電王戦関連に関する情報では著者の松本氏ほど精通している人は少なく、私にとってこの本の内容はおもしろいと思うに充分でした。

例えば電王戦FINAL第4局は相横歩取りとなりましたが、既にこの本に村山七段がPonanza対策として相横歩取りを有力視していたことが書かれてありました。

そのため、電王戦FINAL本番で村山七段が負けた時、準備に対する否定的な意見も見られましたが、この本を読んでいた私にとっては、ちゃんと相横歩取りに誘導していましたし、準備不足を指摘する考えは打ち消され、単純に全ての分岐を研究し尽くすことが無理だっただけで、勝てる局面を本番で引けなかった、ただそれだけのことだと納得できました。


私がこの本の中で最もおもしろく思った部分はボンクラーズ(Puellaα)とその開発者について詳しく語られていた点です。

ボンクラーズについては知りたいと思っていても客観的に書かれ且つ信頼できる資料というのがかなり少ないからです。

それがあっただけでもこの本は私にとって充分なものでした。

巻末にこの本の著者が「奇」を好む旨が書かれています。

この本が「第1回電王戦」「第2回電王戦第2局」「森下電王戦システム」と話題性の高い対局ばかりに脚光を当てていることを思えば納得です。

私もそれらが電王戦の中では好きな対局で、それに優るとも劣らない対局は電王戦FINAL第2局でしょうか。

細かい注文を付けると所々に「それ、コンピュータ将棋と何の関係があるのだろうか?」と思う内容もありますが、全体的にはネットの無料情報だけでは得られない、電王戦好きにはおもしろいと思える内容が結構ありますし、これ一冊でコンピュータ将棋や電王戦について多くを知ることが出来ます。

後半部分が「旬な話題」で時間が経つと色あせ易いとも思えるので、電王戦FINAL開催期間に近いほど満足度が高くなることを繰り返し書いておきます。

電王戦FINAL第3局直前に読んだ私の満足度は80%とさせて頂きます。

本の最後の方に東大将棋の棚瀬氏やYSSの山下氏、BONANZAの保木氏の近況についても短めですが書かれてありました。

私は少し古い人間なのか、コンピュータ将棋と言えばその方々が代表格なので、そういう話もまたポイントが高かったりします。

私はFINAL以前の前半部分とラスト第9章がおもしろかったです。


<目次>
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