対象棋力:棋力は高いほど楽しめるかも(初心者・初級者向けではない)
阪田の満足度:100%
まず、レビュアーである私のことを少しだけ書いておきますが、初めて遊んだ家庭用ゲーム機対応の将棋ソフトはファミコンの森田将棋で、PCエンジンの初段一直線、スーパーファミコンの早指し二段森田将棋をはじめ、これまで将棋ソフトを50本は購入しています。
ゲーム機用では金沢将棋シリーズ(極、金沢将棋、最強羽生将棋)を好きだったのですが、PC用では最初は東大将棋を好きで、2001年からは激指フリークになっています。
激指は「1」「4」「7」「9(激指スペシャル)」「11」「12」「13」「14」を所有しています。
将棋ソフトユーザーとしては、結構な筋金入りであることを、このブログを読んでくれている方ならば、誰もがご存知でしょう。
さて、激指14についてですが、どうしても強さが気になる方が多いようです。
メーカーが2年前に発売した激指13と同一条件で対局させて、2189勝1180敗だったと公表していますので、それ以上の事実は出てこないでしょう。
激指13はすでに第3回電王戦の出場ソフトと遜色ない強さだと、あるプロ棋士が言ってました。(第3回電王戦は将棋ソフトの4勝1敗)
それに65%の確率で勝てるのが激指14ということになります。
フリーソフトと比較したい人も多いようですが、もし将棋ソフトに強さ以外を求めていないのであれば、激指向きの方ではないかもしれません。
将棋ソフトの棋力向上は未だに日進月歩で、どんな最強ソフトが現れても、数ヵ月後には最強ではなくなるのが常です。
なお、大樹の枝やtanuki-は64bitのパソコンでしか動かせませんが、激指14は32bitでも普通に動かすことが出来ます。
昨今は「強さ」が満足感の占める割合は下がっています。
それでも満足感の大きな要因であることはまちがいありません。
しかし、他のソフトと対戦させない限り、その強さを人間が実感することを出来ない現状、強い又は弱いは噂が作る部分が大きかったりします。
そのため、飛躍的に強くなっているにもかかわらず、それを認められなかった激指もこれまでにたくさんありました。
実は、2年スパンで見るとどの激指も素晴らしく強くなっているのですが、これまでの激指シリーズ(ナンバリング)は1年スパンで発売されているため、その棋力向上を不当に評価されているものも少なくありませんでした。
ところで、激指14は激指シリーズで初めて2年越しで登場しており、そのためか「強くなった」「素晴らしい強さ」と絶賛されています。
実際、その棋力向上を実感出来る人間なんてほとんどゼロなわけで、将棋ソフトの強さに対する評価は事実よりも噂が作るものであり、「強さ」を気にするのならば強いという噂が先行している激指14は問題ないでしょう。
ハイスペックPCで動かしている人が、Aperyやponaxよりも強いと言っているのだから、普通に使う分には充分過ぎるくらい強いはずです。
本当はメーカーが発表している「激指14」と「激指13」との勝率は、「激指12」と「激指11」の勝率と大して変わりません。
(激指12の思考ルーチンの向上は実感できるほど素晴らしかったと私は思っている)
それで、実際に私が使ってみてどうだったのかと言うと、例えば七段+で棋譜解析させると激指14の方が激指13の3分の2の時間で終わることもあれば、同じくらいの時間で解析終了することもありました。
中盤までや、始めから終わりまで一方的に差が付いている将棋は激指14の方が随分決断が早いのですが、入り乱れ且つ際どい将棋になっているとあまり変わらないくらい思考する、そんな印象を受けました。
激指13と比べると、少しばかり速くなっている、そんな感じです。
実際に時間を測ったりもしたのですが、サンプル数が少ないため、棋譜解析時間は激指13と比較して、体感で平均8~9割の時間になっていた印象、と書いておきます。
なお、激指14の棋譜解析の最高棋力は激指13と同じ七段+です。
また、最高棋力の「Pro+」を堪能しようと思うのならば、動かすPCの性能もCPUはCore iなんとかを使っていて、メモリも4Gか8Gくらいは必要でしょう。
激指14のPro+は激指13七段+の3倍くらいの時間を使います。上に書いた性能くらいのPCでないと、とてもじゃないですが、長考過ぎて楽しむことは出来ないでしょう。
次に激指14の二大セールスポイントのひとつである指導対局について。
これまでの激指にも有った機能ですが、これまでは激指が悪手、疑問手と判断した時に小窓が出て文字で教えてくれたり、形勢評価グラフを見ながら指すだけでした。
ぶっちゃけ、初段棋力までしか対応していませんし、普通に検討モードをぶん回しながら指すのと違いがわからず、私はこれまでほとんど使用することがなかった機能でした。
激指14の指導対局も基本的には同じなのですが、悪手、疑問手の時は小窓ではなく、女流棋士の音声で知らせてくれます。
それと四段棋力までの対応になったこと以外は、これまでと大して変わらないのですが、女流棋士の音声で知らせてくれるという改良が、ユーザーに与える満足感としては飛躍的な改善だったりします。
音声のバリエーションはそんなに多くはないし、その機能を使うことで上達できるのかと問われると結構疑問ですが(指導が的確なのかどうか、疑問に思うことも時々ある)、今までの指導対局とは比較にならないほど面白味が増しているので、やってみようかなという気にはなります。
今はまだ実験段階で、今後すごいことになる可能性がある、そういう機能に思えました。
他の機能も少しばかり遊んでいるので、コメント程度に感想を書いておきます。(※激指13と比較して特別に様変わりしたものはない)
【レーティング戦】
これはハッキリ言って良いです。私も激指のレーティング戦をやるようになって、ネット将棋をあまりやらないようになりました。そのくらいおもしろいです。
現在、2級スタートから33局やって23勝9敗でR1612点(初段)の最高R更新中です。
他の棋力は知りませんが、私の棋力付近だと序盤以外は自然な強さでした。(序盤は定跡通りに指してくるのでほとんどプロ)

【女流と七番勝負】
これもおもしろいです。駒落ちは平手では味わえない別のおもしろさがあります。有名女流の声がするのも二重丸。
ただ、激指13と比較した時、矢内女流、岩根女流、現役の歴代名人が居なくなりました。
代わりに、香川女流が新登場!(もちろん竹俣女流も登場)
【キャラクターと対局】
実は、これまでの激指を含め、この機能を使ったことはほとんどありません。
【次の一手バトル】
級位コースだと50問中42問正解の1582点で2級でした。(2時間ほどで終わらせた)

級位コースは次の一手を指し正解・不正解が表示されるだけですが、有段者コースがおもしろい。
激指を相手に指し次ぐ形になっており、いくら次の一手で正解手を指しても、相手玉を詰まさなければ正解になりません。
勝勢であるのはわかっていても、指し進めていると時々ひっくり返されます。これは本の問題集だと実現できないおもしろさがあります。
【詰棋バトル】
3手詰めと5手詰めを併せて108問。3手詰めと言っても初段クラス対象で、パズル性重視の難しい問題です。初手は大抵、絶対に有り得ないところに捨て駒する一手で、それを心得れば級位の人でも解きやすくなるかもしれません。私にとってはうれしい108題です。
【実戦詰将棋道場】
激指同士の対局で詰みのある局面を集めた1000問。ユーザーが激指を相手に指し継ぎます。まだやってませんが、激指7の時から実装された好評のオマケ機能で、これはそのうちやる予定。
【七段を倒せ実戦編】
これもまだやってません。こういうのをやり込めば強くなるのだろうと思いますが、他人の指し掛けを指し継ぎたいという気持ちが乏しく、これまでの激指でもほとんどやったことがありませんでした。確か激指11から実装された機能です。(※激指11の時は六段を倒せ)
【詰将棋レーティング戦】
東大将棋6などにもあった機能で、激指では「13」の時から実装されました。激指がその場で作成する詰将棋(駒余りOK、余詰め多数)を10分以内に解き上げ、詰ますと点数アップ、逃げられると点数ダウンという企画。
これもズバリおもしろいです。ただ、私のような棋力の者がすでに七段+を認定されているのはサービスが良過ぎます。現在Proを目指していますが、その域は私の棋力だと結構厳しい。

パッケージには「13」の時よりも自然な形になった旨が書いてましたが、あまり変わらない不自然な形ばかりのような気はします。
高段問題は飛角問題に似たような形ばかりが出題されて、問題図から詰み上がり図を読むのは私の棋力だと無理なのですが、テキトーに駒を動かしていると、勝手に詰みます。
あと、時々三段問題とか言って難しい問題を出題し、こちらの点数を31点持っていくのですが、Pro+の問題と難度の差がよくわかりません。何の嫌がらせなんだと。
語り出すと止まらなくなるくらい、おもしろいのは事実。
【マイナビ女子オープン棋譜鑑賞】
マイナビ女子オープンの第9期予選までの棋譜が全て収録されています。
これは当然、有った方が良いです。マイナビのソフトですからね。
女流は振り飛車が多いので、その鑑賞は随分楽しめそうです。
指し手の解説は、たま~~に付いている程度。別にそれでいいです。特に問題なし。
【検討モード】
私にとってはこれが一番、激指の魅力。「13」の時と同様に深読みします。「13」の時は七段+13まででしたが、「14」ではPro+11まで検討します。
定跡の有無も選択でき、候補手を10まで表示させることができます。
これが最高の機能で使い勝手も良く、これがあるからやっぱり激指です。

私の思い込みなのかもしれませんが、手に入る将棋ソフトの中では、激指の形勢判断が最もブレが少なく、且つプロの形勢判断に近いような気がします。
ですから、やっぱり激指なのです。
【詰みチェック】
「13」の時は、最短手順のチェックでも最短手順でないことが時々ありましたが、「14」ではどうなのでしょうか。(まだ、やり込み不足)
これも将棋ソフトには必要不可欠な機能ですが、激指のそれが最も優れているわけではないと思います。
さて、激指とは基本的に将棋の勉強のために使うソフトです。
使う人によって、最高のアイテムになり得ますし、価値を見出せないことだってあり得ます。
これまでの10数年間、激指に対する評価を見てきて、激指に満足できない人には3つの法則があります。
一番目は棋力の問題で、将棋初心者に近いほど激指に対しての評価は低くなる傾向があります。
これは激指が初心者向けに作られていないことに起因します。付属の問題図なども初段クラスでようやく楽しめる、そういうものばかりです。
実際、最低レベルの14級と対局してみましたが、序盤に付け入る隙はなく、そのくせ中・終盤は不自然なただ捨てを連発してきて、初心者が楽しめるそれとは違う気がしました。
初心者が遊ぶ場合は、その満足度はハム将棋にはかなわないと思います。
二番目は強さのみを求める人からも、不当な評価を受けがちです。
上にも書きましたが、将棋ソフトの棋力向上は日進月歩なので、どうしても後発には勝てません。何事もそうなのかもしれませんが、将棋ソフトの場合はその期間がとても短いのです。
それにしても、1万回やっても激指に1回も勝てない人が激指のことを「弱い」とか、激指をいったい何に使っているのだろうかと不思議に思うことはあります。
三番目は以前に激指を買ったことがある人。
例えば、激指13を持っている人は、激指14を買っても満足度は低いでしょう。
理由は大した違いがないからです。
以前に買ったのが激指1や激指2ならば、大いに満足すると思います。
つまり、買ったことがある人でも、その時期が古ければ古いほど満足度は上がります。
強さが格段に違ってきますし、入っている定跡も新しくなっていますし、付属機能は充実していて、10年前の激指とはもはや全く別の将棋ソフトなのです。
満足には個人差がありますので、一概には言えませんが、1年で平均100点(前バージョンに5勝3敗)ペースで棋力向上しているのが激指です。大雑把ですが、それを知ることで激指の棋力向上のだいたいの度合いを前もって知ることができるでしょう。
オマケとして、メーカーが発表している最低動作保証環境を満たしていないパソコンで、激指を動かそうとしている人も購入してはいけません。
そんなもん、買う前にちゃんと確認しないといけません。
なお、メーカーは最低動作保証環境をメモリ512Mとしていますが、それで動かすことはできても、七段とかと対局すると延々と次の一手を指してくれないでしょう。
初段くらいならば対局できると思いますが、五段以上になると長考過ぎてとても対局できる状況ではないはずです。
いろいろ書きましたが、激指14がこれまで発売された激指のなかで、最も優れていることは言うまでもありません。
もし、「将棋をとても好きで棋力もそこそこ」「感想戦を一人で気の済むまでやりたい」「前に激指を買ったのは随分昔のこと(または買ったことがない)」といった条件が揃っている方ならば、激指14はきっと最高の将棋アイテムとなってくれることでしょう。
私は対局した後は必ず激指の検討モードを使って、「どこが悪かったのか」「どう指すべきだったのか」を確認しています。
また、NHK杯やネット中継のある棋戦を観る際は激指の盤上に棋譜を並べ、優劣を確認しています。そうすることで、プロ将棋をより楽しく堪能することが出来ています。
私にとって激指以上の将棋アイテムは今のところ存在しません。
比較対象になり得るものすら存在しません。(比較対象は常に前バージョンの激指)
やっぱりPC版激指は、ユーザー視点で15年も育まれてきただけあって、そのくらいずば抜けた将棋ソフト(将棋アイテム)だと思います。
<対応OS>
Microsoft(R) Windows(R) 10(日本語版)(64bit/32bit対応)
Microsoft(R) Windows(R) 8.1(日本語版)(64bit/32bit対応)
Microsoft(R) Windows(R) 8(日本語版)(64bit/32bit対応)
Microsoft(R) Windows(R) 7(日本語版)(64bit/32bit対応)
<最低動作保証環境>
CPU:Intel(R) Pentium(R)III 800MHz以上
メモリ:512MB以上搭載
HDD:600MBの空き容量
ディスプレイ:High Color以上
その他:インストール時にCD-ROMドライブが必要
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