光速の詰将棋(書評)

詰将棋の本

難易度:★★★★★★★★★★
満足度:★★★★☆

内容
看寿賞受賞の実績を持つ谷川浩司九段の初の詰将棋作品集。詰将棋パラダイスで入選したものや、NHK将棋講座の懸賞詰将棋で使用したものを含む全120題。7~15手詰の短編集。
全120題とは別に、章初めに「思い出の作品」として、15手詰1題と25手詰3題も収録されている。


構成
第40問までは1ページ2題、第41問以降は1ページ1題。問題図の上に難度を表示、問題図の下に手数とヒントを表示。めくって次のページに解答解説。


書評
私が1題に要した平均時間と正解率は次の通り。

棋力→将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の三段

項目問題数平均時間正解率
7手詰10問8分25秒100.0%
9手詰30問11分29秒93.3%
11手詰30問18分31秒90.0%
13手詰25問38分01秒88.0%
15手詰25問44分58秒80.0%
TOTAL120問25分45秒89.2%


私がこれまで書評を書いた将棋の本の中で、この本がダントツで一番難しかったです。

どの問題も、変化と紛れが盛りだくさん。

まずは問題図とにらめっこから始まります。しばらくは詰みそうな筋が全く見えてきません。

頭の中で王手の全幅探索みたいなことをやっていると、そのうち詰む筋や詰みそうな筋が複数見えてきます。

そして、どの筋が指定された手数で且つ詰将棋らしい手順で詰むのかの検証作業に入ります。

解答を決断し、正解を見ると、早詰みだと思っていた順に実は手数を伸ばす玉方の妙手があったり、正解だと思った順に早詰みの順があったり。詰将棋らしい手順があるので正解だと信じて、詰まない筋を一生懸命詰まそう詰まそうと、1時間くらい頑張っていたり。

なかには、まるで合駒問題のように1種類以外は何とか早詰みできるので、なかなか詰まないその合駒こそ正解筋だと信じて頑張って詰ましたつもりが、実はそれこそが唯一の逃れ筋になる合駒で、合駒させるその手順は不正解というすごい問題もありました。

そういう感じで、とにかく難問だらけでした。

玉の位置は意外にも一段目と二段目で過半数を占め、五~九段目というのは4題しかありませんでした。また、駒数も平均的には10枚前後と、難問の割に少なめです。

発売された当時から難しいという評判で、当時、将棋倶楽部24で2級だった私も発売日に購入したのですが、数問解いたら心が折れて、ずっと本棚で棋神のお守りと化していました。

今回は、将棋倶楽部24で二段の者が、どのくらいの頑張れば読破できるのか、将棋ファンにとってはとても役立つ資料になると思い、気合を入れて頑張りました。

おかげで、十手台の詰将棋は大抵解くことができるという自信がつきましたし、将棋クエストで四段や五段に勝つ確率が少しばかり上がったような気もします。

しかし、私(24で二段)が読むには二段階くらいレベルが高いと思ったのも事実。

したがって、私の満足度は星3つという気もしましたが、詰将棋作家としても定評のある谷川九段の作品集であることはこの本の大きな魅力で、星4つとさせて頂きました。


目次
ファーストステージ(7手詰全10問)
セカンドステージ(9手詰全30問)
サードステージ(11手詰全30問)
フォースステージ(13手詰全25問)
ファイナルステージ(15手詰全25問)
関連記事
記事タイトルとURLをコピーする

コメント
コメント投稿

トラックバック