対象:中飛車の本なら何でも欲しいというコレクター
阪田の満足度:★★☆☆☆
第1章「中飛車急戦法」は中飛車が先手番。初手▲5八飛はずっこけますが、初手を▲5六歩に変えて手順を前後させれば問題ないです。中飛車を指す人なら一度はやってみたい派手派手しい変化が幾つか紹介されています。

第2章「中飛車本格戦法」は中飛車が後手番。△3二金を好まないツノ銀中飛車が解説されています。

第3章「中飛車自戦記」はタイトルそのままで、米長先生の自戦記が書かれてあります。
この本はゴキゲン中飛車が世に出る遥か前の1974年に書かれた本で、私は5筋位取り中飛車やツノ銀中飛車の仕掛け方を期待したのですが、知りたい内容というのはほとんどありませんでした。
5筋位取り中飛車に対しては序盤の駒組みのみ、ツノ銀中飛車については少しだけ書かれているのですが、耐え忍ぶ指し方のみで、試してみたいと思うような変化はなかったです。
米長先生は向かい合った角の間に飛車を置く筋や、例えば先手番で△7七角成(角交換)▲同桂と取る筋を好きらしく、一方で後手番で△3二金と締める筋を好きでないらしく、その辺りは私とは真逆であるため、以降の手順に興味が湧かなかったというのもあるのかもしれません。
しかし、結果図の多くは特に中飛車が良いわけでもなく、実戦譜も中飛車で勝ったのではなく、中・終盤の剛力でなぎ倒している棋譜という感じで、ここに書かれている中飛車の変化が魅力的に見えなかったのも事実。
この時代の中飛車は今と違って受け身の戦法なので、第2章「中飛車本格戦法」の内容に妙に納得はしました。
洗練された中飛車の定跡書が数多ある現在、中飛車苦難の時代に書かれた今では誰もやらない古い変化をいまさら覚える必要はないと思いました。
それでも自戦記は加藤九段や内藤九段との対局が例の米長節で書かれていて、そこは素直におもしろかったです。また、発刊当時に読めば、違った感想が出たのだろうということも付け加えておきます。
※レビュアーの棋力
将棋倶楽部24の二段
将棋クエスト10分三段(最高2000台)
<主な内容>
第一章 中飛車急戦法
第二章 中飛車本格戦法
第三章 中飛車自戦記
第一例 加藤九段
第二例 関根八段
第三例 内藤九段
第四例 有吉八段
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