
ネット上にある無料でダウンロードできるBONANZAなどの将棋プログラムは、それを動かすパソコンの性能が高ければ高いほど、同じ時間での指し手(1手5秒など)は強くなります。
それと同じように、市販の激指も性能の良いパソコンで動かせば強くなるのではないかという旨の質問を、ときどき頂くことがあります。
結論から書きますと、市販の激指はどのパソコンで動かしても、段級位が同じならば同じ強さです。どの激指からかはハッキリと覚えていませんが、取説にもそのことが明記されるようになりました。
これまでにも何度かその話をしましたが、本当にそうなのかどうか、少し不安にもなったので(笑)、昔の激指を今どきのPC(Core i7)で動かして、その最高レベルと何十局かずつ対局してみました。
結果は下の通りです。(私の棋力→将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分→通常1900台後半)
激指1(2001年発売)→ 時間無制限でやれば最高レベル三段に2回に1回は勝てます。
激指4(2004年発売)→ 時間無制限でやれば最高レベル四段に5~10回に1回くらい勝てます。
激指7(2007年発売)→ 時間無制限でやれば最高レベル五段+に50回に1回くらい勝てます。
▲大吉 vs △激指1三段
将棋盤
0手
ギャグみたいな話になりますが、私がその頻度で勝てるということは、強くはなっていないということです。
これだけでは何の証明にもなっていませんが、上記の激指を持っている将棋倶楽部24の有段者がこの記事を見ているはずで、それを動かしているPCに関わらず、大勢がそんなもんだと納得しているのではないでしょうか。
2001年に発売された激指1の動作環境は、Pentium 133以上、メモリ32MB以上となっています。
当時はメモリ256Mを標準搭載しているNECのPCが新品で14万円弱でした。(ワード・エクセル付き)
そのような時代背景にあったソフトを、Core i7で動かしているのですから、パソコンスペックと激指の強さの関係を知るには充分でしょう。
当時、私の棋力は将棋倶楽部24の6級以下で、激指レーティング戦でも同じくらいの級位だったような不確かな記憶があります。
その頃は、激指などという代物には県代表クラスでないと勝てないと信じていました。
少なくとも、2008年が終わるまでは、激指を「1」であろうと、絶対に勝てない相手だと思い込んでいたので、激指の最高レベルと対局することはほとんどありませんでした。(買った直後に、2~3回対局するくらい)
ところが、2009年の正月に、将棋倶楽部24で最高初段になっていた私が何気に激指1の最高レベルである三段と対局してみたら、大勝利となりびっくり仰天。
その頃になってようやく、将棋倶楽部24の最高初段もあれば、勝つことが出来る相手だと、私の中で判明しました。
その後(2013年頃?)、私の棋力も将棋倶楽部24の二段まで上がり、時間無制限で頑張れば、激指4や激指7にも勝てることが判明しました。その頃は、Core2DUO、メモリ2Gのパソコンで動かしていました。
そして、その勝つ確率は、上に書いたのとさほど変わらない数値だったと思います。私の棋力は今でも将棋倶楽部24の二段なので、動かすパソコンがCore2DUOであってもCore i7であっても、激指の強さは変わってないということになります。
もちろん、最強レベルと対局する場合、COMが次の一手に着手する時間は大幅に短縮されるので、正確には強くなっているのですが、強い指し手を指すようになるわけではありません。
そもそも、激指に限らず、古い将棋ソフトは大局観や判断基準が正解とはかなりずれているため、投了図までの全てのパターンを読み切るまで計算し尽すとどうなるのかはわかりませんが、少なくとも今のレベルのコンピュータでは何百、何千時間考えようと、たいして強くはならないのだろうと思います。(基準をまちがっているため、どんなに頑張っても正確な値を算出できないはず)
例えば激指1では序盤での角の価値が、金駒二枚分くらいだという固定観念があるのか、中飛車の71角からの攻撃にすぐ引っ掛かります。

本題に戻りますが、Core2DUOで動かしていた頃、私は激指1のレート戦で二段でした。
最近、Core i7で動かして再び激指1のレート戦をやってみたのですが、やっぱり二段でした。
激指1の初段は、激指11の初段と同じくらいです。私が将棋倶楽部24で最高初段の頃に、激指11のレート戦で初段でした。(※参考までに激指14の初段はもう少し弱くなっているようです)
そして、将棋倶楽部24の二段になってからは、激指1のレート戦でも二段でした。上に書いたように、6級の頃も激指1の6級といい勝負だったので、激指1の段級位は将棋倶楽部24のそれに合わせていることが予想されます。(※激指11の級位は将棋倶楽部24のものと比べると随分弱い)
下は最近やってみたその成績表です。1400点からスタートしました。

気になる人も居るかもしれませんので、念のため書いておきますと、二段(1800点)とは11勝12敗でほとんど互角です。
1日2~3局と決めて、集中してやれば100局消化する前に二段に到達するのだろうと思いますが、如何せん、やり始めると止まらない性分なものですから、1日20~30局を戦いだします。
頭がフラフラになっても、「はい、次」「はい、次」みたいな流れ作業で、モダンタイムスのチャップリンのように思考は止まり、手だけは動き、そのくせ指が本能的に(成立しているかどうかをよく精査しないといけない)過激な順を選んでいる、そういう状況で戦い続けています。
我ながら困っています。それでも最高到達点からは100点ダウン以内でその日を終えていたと思います。
それはともかく、持ち時間10分(秒読み30秒)で、二段と互角ですから、時間無制限でやれば三段と互角に戦えることが嘘でないことはわかるでしょう。
三段には普通に勝てるのですが、持ち時間10分(秒読み30秒)だと、見たことのない局面を提示されると時間が足りなくなり、優勢をひっくり返されたりして、その状況ではなかなか互角に戦えないというのが現状です。
1日2~3局で1局を集中してやれば、三段到達も行ける気はします。しかし、性格上、それは無理かもしれません(笑)
激指7との対局では、対局後に定跡道場4で調べると、結構な確率で中盤までを1000点くらいの優勢になることがあります。
しかし、激指7の終盤力は異常な強さで、ものすごい粘りを見せられ、悪手を指したが最後、光速の寄せで一気に負けになるのが常です。(3000点以上から逆転されたことも何度かあって、その時は泣きたくなりました・・。)
激指1、激指4、激指7、そして私との棋力関係は下のような感じです。
○序盤(私は序盤は下手です)
激指7≧私=激指4>>激指1
○中盤(他人からは中盤が一番上手いと言われます)
激指7>私=激指4>激指1
○終盤(自分の中では終盤が一番好きです)
激指7>激指4>激指1≧私
なお、激指の名誉のために書いておくと、
激指定跡道場4と私の力関係は、序盤・中盤・終盤全てが
激指定跡道場4>>>>>私となります。
プロでも勝てないような化け物になっています。
ちなみに、激指は「15」の発売が決定していることもお伝えしておきます。(発売日等は未定)
もうひとつ、私が昔の激指で遊んでいることを書いていますが、それらが今のPCで動くかどうかは当然ながら保証の対象外です。そもそも新品は売ってないはずですし、バグを修正するファイルもネット上から消え失せている状況であることも、お伝えしておきます。
私は大の激指ファンで、激指について語り出すとついつい長くなってしまいました。参考になれば幸いです。
マイナビ 激指 定跡道場4
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