一文字駒

4月14日に第69回NHK杯1回戦(屋敷伸之九段vs長谷部浩平四段)が放送されました。

棋譜:NHK将棋(公式サイト)
(※毎週、月曜日に更新されています)


<感想>
戦型は37手までほぼノータイムで進む角換わり腰掛銀の定跡形。

後手の屋敷九段が38手△65歩と仕掛け、そこからしばらくは長谷部四段の方だけが少考しながら指し手が進む中盤戦。屋敷九段の準備の作戦だったということでしょうか。

屋敷九段の攻めは非常に積極的でしたが、長谷部四段は冷静に受け切って反撃開始。

一時は、屋敷九段の飛車は長谷部四段の馬に追い回され、屋敷九段の玉も逃げ道を狭められ、駒の流れ的には長谷部四段のペースだったはずですが、時間面では81手(▲57銀)で長谷部四段が考慮時間全てを使い切ったのに対し、屋敷九段の考慮時間は残り5回。

そして、屋敷九段が6回目7回目の考慮時間を使って指した82手△37歩打の手裏剣は、解説の木村九段をも感嘆させた勝負手。

さらに84手△83飛と蚊帳の外に追いやられていた飛車に喝を入れると、再び解説の木村九段が「ほーー、この3手はさすが忍者」と奨励会同期生の指しまわしを絶賛。

さらにさらに、86手△24歩の継続手がすごい一手。攻めている反面、自玉も大ピンチになりかねない、虎穴に入らずんば虎子を得ずのような一手で、さすがは史上最年少タイトル獲得の記録を持つ天性の勝負師。

この辺りからしばらくは、屋敷九段ペースに変わったかのようにも見えたのですが、栃木県で81年ぶりの棋士・長谷部四段が105手に観戦者を魅了する▲75桂打(歩頭の桂)を放ち、それが将棋ソフト激指もひっくりの絶妙手で、勝負の流れは再び長谷部四段の方に向かっていたかもしれません。

しかし、長谷部四段は30秒将棋。110手△57成銀を▲同玉と取り、角のラインに入ってしまったのがやや疑問手らしく(最善は同金?)、数手進むと局面は屋敷九段勝勢でハッキリした感じ。

最後、22の成桂を72の地点まで王手で押し売りし続けたのは印象的。途中で△同玉と取れば事件もあったようですが、屋敷九段はその手は食わず、最後は先手玉を即詰みに討ち取り137手で勝利。際どい局面での指しまわしはさすがでした。

木村九段の絶妙の解説もあり、両対局者の棋風が伝わってくる、好手が幾つも出ていた素晴らしい対局だったと思います。


<コンピュータの形勢判断>
第69回NHK杯1回戦第2局 形勢評価グラフ
※青色はGPSfish、赤色はdolphin
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。


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