満足度:★★★★★
難易度:★★★★★☆☆☆☆☆
内容は寄せの部分図の問題が全200問。実戦で役立つものが多数。
正解はほとんどが必至手順(一部即詰み有)で明解なので、解いた後にスッキリ感もあります。
寄せ方の種類別に分けられていて、さらに基本問題→応用問題の順に解き進めるようになっているため、少しずつ難しいことに挑戦することで、理解が深まりやすい作りにもなっています。
そのあたりは、学びやすい形が出来上がっている数学の問題集と共通するものがあり、さすがは東大生が作った問題集という印象。(著者の金子タカシさんは東大卒で元アマ竜王)
しかも良問揃いで、実戦で即使える手順も多数あります。
この本は1988年に高橋書店から発売された「寄せの手筋168」を加筆修正した本です。
「寄せの手筋168」は2000年頃には近所の本屋では手に入らない状況になっていたのですが、ネット上でも「読めば強くなる良書」との噂が広がり、将棋ファンにとって最も欲しい本になり、オークションでも中古本の相場が3500円前後でした。
その後、2003年に復刊ドットコムで復刊され、1800円で販売されたのですが、発行部数は数百冊程度(初回は確か200冊)でしたので、再びオークションで3500円前後の取引が続いていました。
それが2010年に浅川書房から復刊されることが決まった時には、ネット上のあちらこちらで将棋ファンの喜びが飛び交ったのを今でも覚えています。
長々と書きましたが、「寄せの手筋168」はそのくらい欲しがられていた本だったというわけです。
それで、この本を読むと強くなれるのかと言いますと、将棋倶楽部24で5級から初段くらいまでの人ならば、ちゃんと自分の頭で考えて解き進めたならば強くなれるはずです。
将棋倶楽部24の三段・四段(県大会上位レベル)くらいになると響きは薄いようです。
もし、将棋倶楽部24の級位レベルで、初段に到達したいという志があるのならば、「寄せの手筋200」は押さえておいた方が良いです。必ず役に立つ日が来ます。
実戦で役に立つ寄せの基本技が網羅されている、そういう感じの本なのです。(網羅されているだけでなく、自分で考えながら読み進めるようになっているので身に付きます)
さて、8年ぶりに解いた、私のタイムや正解率を書いておきます。
棋力→将棋倶楽部24の二段、クエスト10分の四段
項目 | 問題数 | 平均時間 | 正解率 |
---|---|---|---|
基本問題 | 118問 | 1分46秒 | 96.6% |
応用問題 | 64問 | 4分41秒 | 81.3% |
復習問題 | 18問 | 2分50秒 | 88.9% |
TOTAL | 200問 | 2分12秒 | 91.0% |
8年前に比べると正解率は5%上がったものの、所要時間は1分増えていました。
強くなったのか弱くなったのかとても微妙。やはり1年に1回くらいは読み直した方が良いのかもしれないと思いました。
実際、読み終わった直後はネット将棋での終盤力が少しだけ上がった気もします。
さて、私の満足度は5段階評価の「5」です。敢えて言うならば、「寄せの手筋168」の時は各問題の難易度が「基本」「必須」「応用」だったのが、この「寄せの手筋200」では「基本」と「応用」だけになってしまったこと。もうひとつ、その「基本」「応用」の文字が見辛いこと。他は完璧です。
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