マイナビ 将棋レボリューション 激指15
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将棋レボリューション激指15について、率直な感想を書き綴ります。
目次
私の将棋ソフトユーザー歴
まず、私の将棋ソフトユーザー歴を書いておきます。
初めて遊んだ家庭用ゲーム機対応の将棋ソフトはファミコンの森田将棋です。
以来、SFC用の将棋ソフト「早指し二段森田将棋」やPS用ソフト「東大将棋」「極」「柿木将棋」「AI将棋」、N64用ソフト「最強羽生将棋」、PC用は「東大将棋6」「東大将棋無双」「激指」など、かれこれ50本くらいは購入しました。
激指は「1」「4」「7」「9(激指スペシャル)」「11」「12」「13」「14」「激指定跡道場4」「15」を所有しています。
ネット上にある対戦用の将棋ソフトでも大抵遊んでいます。筋金入りの将棋ソフトフリークであることは、このブログを読んでくれている人ならば誰でも知っているでしょう。
棋力は将棋倶楽部24の二段で、将棋クエスト10分の四段です。
さて、激指15について書いてみます。
まず、激指14との比較から。
激指14の時から進歩した点として「対戦用COMのレベルが一段階アップ」「次の一手問題生成機能の実装」「指導対局のさらなる充実」がパッケージで強調されている三大特長。
激指15の三大特長
三大特長1 対戦用COMのレベルが一段階アップ
通常対局の時、激指14では「Pro+」が最高棋力でしたが、激指15では「Pro+2」に一段階アップしました。
どの程度の棋力差なのか、激指15pro+2 vs 激指14pro+を時間無制限で11局やってみたところ、激指15の8勝2敗1分でした。
消費時間も激指15の方が約半分くらいしか使ってなかったことから、イロレートで100点か200点くらい棋力が向上しているのだろうと思います。
激指14の「Pro+」の段階で、初手合いだとプロ棋士でも勝てないレベルのはずで、それよりもさらに強くなっているということになります。
ただし、昨今の最強コンピュータは激指15よりもさらに強いことも書いておきます。
三大特長2 次の一手問題生成機能の実装

これは激指に限らず、今までの将棋ソフトにはなかった新機能。
最初から用意されている問題ではなく、激指がPCをグオングオン唸らせながら、その場で実戦図の次の一手を作成します。(グオングオン唸るのが嫌な場合は、設定で探索並列度を下げれば大丈夫。ただし、作る時間が長くなる)
出来上がる問題図は対抗形など、ありそうな局面が多いです。
とてもおもしろいのですが、正解が明解ではないケースも多々あり、解答を示した激指すら問題図を検討させると、最善手がコロコロ変わるなんてことも少なくありません。
市販の完成された次の一手問題集のように、正解を見つけた時のスッキリ感が無いのは否めません。
激指が次の一手問題を作ってくること自体はおもしろいのですが、生成される問題は完成度が低いというのが正直な感想。
三大特長3 指導対局のさらなる充実
今作で指導してくれる先生は、香川女流三段と渡部女流三段。
先生方が対局中に時々、音声で「ここは銀を活用したいところですね」などと、指導してくれます。
激指14の時もこれは強化するとさらに面白くなるのではないかと思っていましたが、セリフのバリエーションが少し増えたことで、これは優れた付属機能だと確信しました。
セリフはそんなに多くはないのですが、何回かは遊んでみたいという気にはなると思います。これは良いです。
強さの魅力が頭打ちになりつつある昨今、将棋ソフトの魅力増強の突破口はこういうところにあり、女流棋士を連れてくることが出来るマイナビならではの秀逸機能だと思います。
セールスポイントとなっている三大特長については、以上が本音の感想。
他の機能についてもコメント程度の感想を書いておきます。
激指15 その他の機能
- 通常対局
- 女流と七番勝負
- 検討モード
- レーティング戦
- 詰将棋レーティング戦
- 詰棋バトル
- 次の一手バトル
- 実戦詰将棋道場
- 七段を倒せ!実戦編
- マイナビ女子オープン棋譜鑑賞
- キャラクターと対局
- 詰みチェック
- 棋譜解析

レベル設定は14級からPro+2までの31段階。
ぶっちゃけ、14級とかは、初心者の棋力とは全く異質です。序盤は有段者並みの駒組みだったり、そうかと思えば不自然な駒損をやってきたりして、不自然な悪手で強さを調整している感は否めません。
初段は将棋倶楽部24の1~2級の強さで、そちらは比較的、人間に近い指しまわしですが、以前のバージョンの方が人間っぽい指しまわしのように思いました。
突如、こちらの棋力では見えない、同等の棋力の人では絶対にやってこない、鋭い攻め込み方をしたりして、必勝形が1手で必敗形に変わることも少なくなく、人間っぽい指しまわしが売りだった激指も、徐々に人間離れしているように思えたのが正直な感想。
まあ、それでも、未だに初段前後の人が遊ぶCOMとしては、激指よりも人間に近い手を指すCOMは少ないような気もします。
香川女流三段と渡部女流三段の音声が搭載されていて、二枚落ち→飛車落ち→角落ち→平手の順に七番勝負を行います。
激指14の時まではその強さに何の違和感もありませんでしたが、今作では仮想女流棋士の棋力がかなり上がっています。
激指14の時は普通に平手まで行けたのですが、激指15では私の棋力だと飛車落ちで勝つのは至難の技になっています。
これでは楽しめる人が少ないのではないのだろうかと、思ってしまいました。

基本的なことは激指14と同じですが、定跡活用時に「プロ間(公式戦で現れた回数)」「最近10年(公式戦で現れた回数)」が復活。
思考の限界は激指14と同じ「Pro+11」まで。
激指15よりも強いソフトはWEB上にゴロゴロありますが、検討モードは激指が最も使いやすいです。私は今でもプロ棋戦の形勢判断を知る際は激指を使っています。
最近の最強ソフトの評価値は、人間の感覚とはかけ離れ過ぎており、またユーザビリティが低いという点もあってか、プロ将棋の形勢判断をCOMにやってもらう際は、指が勝手に(本能的に)激指のアイコンをダブルクリックするのが私の日常です。
COMを相手に将棋倶楽部24のまねごとをやる機能です。自分の棋力が数値化され、それなりに信用できます。
ネット将棋をやる前に、このレーティング戦をやると、自分のその日の調子がだいたいわかります。
また、ネット将棋を散々やった後、このレーティング戦をやると、すごく弱くなっているのもわかります。コンピュータは常に同じ強さで、それに連敗しまくるからです。
私はそういう風な感じで活用しており、結構役立つ機能です。
棋力分析もあり、「定跡力」「序盤力」「中盤力」「終盤力」「詰将棋力」が示され、その評価に疑問に思う点もあるのですが、数百局を指すと、「うーん、確かに自分はこういう感じかもしれない」と思う棋力分析になっていました。

ただし、同じ棋力のCOMは、定跡から外れるとこちらが同じ手順を指す限りにおいては同じ手を返してくるので(※定跡手順で分岐してくるので当然の如く、ワンパターンではない)、500局も1000局もやってると半分くらいの対局は攻略手順がわかってきます。
まあ、500局も1000局も遊べれば充分だとは思いますけど。
コンピュータがその場で作り出す問題を解いて、その正誤によって自分の段級位(点数)が上がったり下がったりして、延々と遊ぶことが出来ます。
コンピュータが作り出す問題は、余詰めや駒余りが普通で、それは特に問題ないのですが、飛角図式に似た問題が多いという特徴があります。
早い話、市販の問題集とはかけ離れた「なんじゃこりゃあ?」という問題図が多いのですが、ちゃんと詰みはあるので特に不都合はありません。
制限時間があり、五段問題や六段問題は私の棋力で読み切るのは不可能ですが、適当に(勿論、こう指すと詰みそうだなくらいの直感は使ってますが)王手をかけてると勝手に詰みます。
詰将棋を好きな人ならば、数時間かそれ以上はのめり込むことが出来ると思います。
週刊将棋に掲載された3手・5手詰が全432問と大量に収録されています。実戦形ではなく、パズル的要素が高い問題ばかりですが、良問揃いであるのも事実。
こちらが攻め方の手を指すと、コンピュータが玉方の手を返します。詰将棋を好きな人ならば、とても嬉しいオマケ。
週刊将棋に掲載された「段・級位認定次の一手」を全250問収録。
級位者コースは次の一手を当てるだけですが、有段者コースは先手を持って、コンピュータを相手に勝ち切らなければ正解にはなりません。
それをやれば、評価値50000の局面でも、勝ち切ることがどんなに難しいことなのかを知ることが出来ます。
プロ将棋を見て「ポカ」だの「悪手」だの言ってる人に、是非やってもらいたかったりします(笑)
それはともかく、これも実戦力を鍛えることが出来る嬉しいオマケです。
激指7の時から搭載された、激指同士の対局から詰みのある局面1000問を集めた機能。詰みのある局面で激指を相手に指し継ぎます。
これは激指7の時から好評でしたが、私はどのナンバリングでも200問くらいは解くのですが、完走どころか半分も解いたことはありません。
やっぱり、世の中には1000問完走するつわものもゴロゴロ居るのでしょうね。見習いたいものです。
用意された勝勢や優勢の局面を激指七段を相手に指し継ぐ機能。おもしろい機能だとは思いますが、私は自分以外の人がつくった局面を指し継ぎたいとは思わない人なので、あまりやったことがありません。
普通に激指の三段や四段と通常対局で遊びたかったりします。そもそも、次の一手有段者コースとの違いがよくわからなかったりします。
無いよりはあった方が良いですが、個人的には特に必要としてない機能。
やっぱりマイナビの商品なので、マイナビが主催する棋戦の棋譜が入っていて欲しいし、それを実現しているのは嬉しいこと。
ただ、解説がほとんど無いのは良しとして、観たい棋譜を探すのが一苦労。何故か棋譜鑑賞時には検討モードも使えなかったりと、ユーザビリティがかなり低いです。
少し惜しい形になっている感は否めません。
個性的なキャラクター8名と、ユーザーの好みの段級位で対局することが出来る機能。
激指14のレビューの時も書きましたが、私はこの機能で遊んだことがありません。個性的な棋風はネット対局場で間に合っているので、この機能を必要としていないのだろうと思います。
私が持っている激指では「9」の時からずっと付属されている機能なので、アニメ系の絵が好きな固定ファンが居るのだろうなあ、くらいに思っています。
今やコンピュータ将棋ソフトには搭載されていて当たり前の機能。
詰みの有無を確認する際はこれで間に合いますが、最短手順を知りたい場合はフリーの「脊尾詰め」の方が良いと思います。(15はまだ未確認ですが、過去の激指の最短手順は最短でないことがよくありました)

棋譜の善し悪しをコンピュータがボタン一発でチェックし、全局面の評価値をグラフで示し、各局面の最善手も表示します。COMのレベルは初段から七段+まで。
何故かCOMの最高棋力が激指13の時と同じ七段+で止まったまま。
まあ、自分の棋譜をそれよりも強いレベルで判断してもらってもしょうがないのですが、七段+で止まっているのはやっぱり不思議。
それはさておき、とても便利な機能で、棋力向上に役立つ機能。
詰み逃しや、駄目にしてしまった一手を素早く知ることが出来ます。
棋譜解析機能と検討モードのユーザビリティの高さが、激指が多くの将棋ファンに愛され続けている主要因のひとつだと思います。
マイナビ 将棋レボリューション 激指15
まとめ
以上、各機能について本音でズバズバと書き綴りました。
激指14と比べると、大差はないです。
強さは100点か200点増し、女流棋士のセリフが少し増えたこと、次の一手生成機能が追加されたこと、収録問題が大幅に増加されたこと。そのあたりが目に見えて進化した点。
激指14が少しばかりパワーアップしたのが激指15と言ったところ。前に激指を買った日が近ければ近いほど満足度は下がるし、遠ければ遠いほど満足度は上がる、そんな感じでしょうか。激指は毎回、そんな感じです。
20年近く前の話ですが、激指も最初は「通常対局」「レーティング戦」「棋譜解析(当時は激指盤面への棋譜の貼り付けは不可、現在はKIF形式やCSA形式など一部可能)」「詰みチェック」だけしか付属されてなく、盤駒の画像もしょぼく、それでも将棋ファンは満足したものです。
あれから、毎年少しずつ機能が追加され、約19年の歳月を経て、現在の遊べる機能盛沢山の形に進化しました。
グラフィック面での進化が10年ほど行われていないのは寂しいですが、激指以上の将棋ソフトは何かあるのかと問われますと、実はありません。
将棋ソフトで激指よりも完成度が高く、将棋ファンを喜ばせることが出来るソフトはないのです。(あったら教えて欲しい)
なお、将棋ソフトに強さだけを求めている人は、激指を買う必要はないです。激指よりも遥かに強いコンピュータが、WEB上で無料で手に入るのですから。そういう人には全く向いていません。
しかし、私の場合、将棋上達の過程において、そういう無料ソフトが役立った記憶はほとんどありません。
無料ソフトはもともとはプログラマー向けの代物で、将棋ファンに遊んでもらうことを目的に作られたものではないためか、ほとんどが2、3度さわったらそれっきりになりがちです。
一方、激指は「マイナビ」という将棋書籍や将棋ソフトにおける最大手が、将棋ファンを楽しませることを目的に作った代物であるため、収録されている問題の質はこの上なく高いですし、何かと遊べる機能があるため、私は激指1を買って以来19年間、実は激指を扱わない日はほぼありません。(主には激指レーティング戦やネット将棋で指した棋譜を棋譜解析して遊んでます)
最強ということにこだわりがなく、激指でまだ遊んだことがない(又は10年以上買い替えてない)、且つ初段近い棋力(将棋倶楽部24の5~6級くらいはないと収録問題の半数も解けない)がある人ならば、それなりに満足が得られるソフトだと思います。
繰り返しになりますが、棋力面以外だと、激指よりも完成度が高いソフトは今のところ存在しないのですから。
それでも、最強を冠するソフトが今でも大きな魅力になっていることも事実で、私の満足度は五段階評価で★4つとさせて頂きました。
阪田の満足度 → ★★★★☆
対応OS、最低動作保証環境など
■対応OS
Microsoft(R)Windows(R)10(日本語版)(64bit/32bit対応)
Microsoft(R)Windows(R)8.1(日本語版)(64bit/32bit対応)
Microsoft(R)Windows(R)7(日本語版)(64bit/32bit対応)
■最低動作保証環境
CPU:Intel(R)PentiumⅢ(R)800MHz相当以上
メモリ:512MB以上
HDD:600MB以上の空き領域
■その他
ディスプレイ:High Color以上
パッケージ版はインストール時にCD-ROMドライブが必要
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