第1部難易度:★★★★★★★★★★
第2部難易度:★★★★★★★★★☆
満足度:★★★★☆

内容


「楽しみながら強くなる さわやかな詰将棋105」(1994年刊)と、「81マス どこでも詰ませる5・7・9手」(1999年刊)を合本文庫化した本。

前者は詰み上がり図に攻め方の駒が2枚だけ残る「清涼図式」にこだわった100題とあぶり出し5題。5~25手詰が全105題。

後者は81マス全マス目に玉を配置した81題と、その他24題。5~9手詰が全105題。

著者の岡田敏氏は詰将棋パラダイスに700回以上の入選実績を持つ詰将棋界の大御所。


構成


  • 第1部 楽しみながら強くなる さわやかな詰将棋105

1ページ1題。ヒントと難易度表示有。手数表示無し。但し、第100問までは手数順に並んでいる。めくって次のページに解答解説。

  • 第2部 81マス どこでも詰ませる5・7・9手

1ページ1題。ヒントと難易度表示有。手数表示無し。第81問までは何手詰めかはランダム。第82問以降は手数順に並んでいる。めくって次のページに解答解説。


書評


  • 第1部 楽しみながら強くなる さわやかな詰将棋105

私が1題に要した平均時間と正解率は次の通り。

棋力→将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の四段

項目問題数平均時間正解率
5手詰2問2分04秒100.0%
7手詰2問2分19秒100.0%
9手詰20問5分40秒100.0%
11手詰21問10分00秒95.2%
13手詰16問12分43秒100.0%
15手詰19問28分32秒84.2%
17手詰16問27分59秒81.3%
19手詰5問69分47秒60.0%
21手詰1問111分20秒100.0%
23手詰2問62分00秒100.0秒
25手詰1問60分00秒0.0%
TOTAL105問20分43秒90.5%


本のタイトルや章タイトル(第1章 初級者向き45問)などの言葉から、その難易度を判断してはいけない典型的な本。

やや難しめの11手詰さえもが初級向き。そういう表現は昭和の詰将棋界の風潮なのだろうと思います。「塚田正夫の詰将棋」でも11手詰が「初級向」になっていました。

難易度は私がこれまで書評を書いた本の中で最も難しい部類。谷川九段の「光速の詰将棋」と同等の難易度です。

23手詰めの入玉形の問題がありましたが、それと同じかそれ以上に難しい問題が10作品くらいは収録されていました。

問題図に中段玉や入玉形というのはそれほど多くはありません。全体の1割くらいでしょうか。

駒数もそれほど多くはないのですが、変化や紛れが多くてとにかく難しい。19手詰めの問題に17手の変化がある、そういう感じの問題が多数。

問題図下にあるヒントは、正解筋を見つけた時に初めて納得するものが多いのですが、第100問までは詰上がり図で攻め方の駒が二枚しか残らない「清涼図式」であることがわかっていますので、それが強力なヒントになっています。

一つの作品に大駒限定合と打ち歩回避が入っているのがあり、解き終わった後にすごい作品だと思っていたら、御自身の作品に辛い評価の作者が「上等の部類」だと解説していました。やはり、苦労して解くと、詰将棋作品の良さは伝わった来るものだとつくづく思いました。

普通な難度の詰将棋だと思って読み始めたならば、数問で心を折られるでしょう。逆に、最初から骨のある問題にチャレンジしようと思って読んだならばきっと満足できます。有段者向けの問題集です。


  • 第2部 81マス どこでも詰ませる5・7・9手

私が1題に要した平均時間と正解率は下の通り。

棋力→将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の四段
項目問題数平均時間正解率
5手詰25問7分19秒86.0%
7手詰34問16分39秒94.1%
9手詰45問18分23秒88.9%
TOTAL104問15分14秒89.4%

※初版第102問は持ち駒が誤植のため除外


実戦形は少なく、ほとんどがパズル的要素満載の問題集。私がこれまで解いた5~9手詰では一番難しかった気がします。

盤上の駒数はほとんどが10枚程度。81マス全ての升目に玉が配置されていることが最大の特徴。中段玉、下段玉が27題以上ずつ収録されており、そういう本は珍しく、良い本だと思いました。

ただし、どの問題も変化と紛れが盛沢山で、妙技や妙防が入っているため、上段玉も下段玉も難易度は大して変わりません。

それから、手数表示がなく、ランダムに出題されているため、答えを見る時は結構ドキドキします。

何故ならば、玉方に妙防があることも少なくなく、正解と思った手順が実は玉方の妙防を見落としていたりして、早詰みの順だったなんてことも時々あるからです。そのあたりは、結構おもしろいです。

私にとっては読みを鍛えるのにちょうど良い難易度で、問題のクウォリティも非常に高く、詰将棋集の傑作だと思いました。


  • まとめ

他の詰将棋集と比べると、初手の王手と、玉方の妙防が多く、かなり凝った作品が多かった印象。

タイトルに「使える詰み筋が身につく」とありますが、この本を読んで身につくのは、実戦的な詰み筋ではなく詰将棋を解くための使える詰み筋(または詰みの感覚)だと思います。表紙の文言から受けるイメージは、中身の難易度とは差があるような気もします。

しかし、詰将棋の良問が大量に収録されており、骨のある難しい問題を期待している人ならばきっと満足できるでしょう。詰将棋に難しい問題を求めている人向けの本だと思います。

大御所の作意をたくさん堪能できますし、解説からどういう手順が評価されているのかを知ることもできます。

私も第1部を読んでいる時は、難し過ぎて何度も心が折れそうになりましたが、全題を解き終えた時には、達成感がハンパではなかったです。

第2部は将に私が求めていた詰将棋集でしたが、第1部は私には難度が高すぎたため、満足度は星4つとさせて頂きました。強ければ強いほど評価が高くなる作品集だと思います。


目次


第1部 楽しみながら強くなるさわやかな詰将棋105
第1章 初級者向き45問
第2章 中級者向き32問
第3章 上級者向き23問
第4章 付局5問(感謝の気持ちのあぶり出し)

第2部 81マス どこでも詰ませる5・7・9手
第1章 上段の部27問
第2章 中段の部27問
第3章 下段の部27問
第4章 全段の部24問

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