第38回NHK杯(羽生五段vs大山十五世名人)の感想

プロ将棋
将棋20200517

第70回NHK杯テレビ将棋トーナメントがコロナウィルスの影響で中断しているため、5月24日は第38回大会の「羽生善治五段vs大山康晴十五世名人」が再放送されました。

目次

感想


昭和のナンバーワンと平成のナンバーワンが対局している極めて貴重な映像。

大山十五世名人は当時65歳。対する羽生五段は18歳。

65歳でA級棋士ですから、如何に超越していたかを証明しています。

戦型は大山十五世名人が後手番でツノ銀中飛車。

大山十五世名人といえば、四間飛車が有名ですが、中飛車も結構指していたようです。

現代中飛車とは異なりますが、ツノ銀中飛車を好きな人ならば、この上なく参考になる序盤戦。

かなりマニアックな話になりますが、後手の左金がいつ、どこに動くのかが非常におもしろかった次第。

私のような素人は、中飛車の左金は32に上がるのが固定観念ですが、大山十五世名人の左金は、相手の動き方によってどこに動くが決まっておらず、いつ動くのか、どこに動くのかに、何とも言えないおもしろさがありました。

それから、中盤の飛車を振り直す位置もおもしろい。中飛車の飛車が、掟破りの玉飛接近形の袖飛車に振り直していたところも、如何にも大山流。名人に定跡無しとは、まさにこれ。

普通の人だと、そこは玉を守るための銀か金の定位置。大盤では森九段が袖飛車を予想していて、聞き手の永井さんは驚いていたので、やっぱり大山流なのだと、つくづくそう思いました。

ただし、如何に大山流であっても、バランスを保つのが異常に難しい、達人しか指しこなせないやり方なので、真似したいとは思いません。

中盤以降は、当時18歳の天才が十五世名人に優るとも劣らない読みと大局観で指しまわし、83手~85手では大山名人も想定外だった手筋の歩の連打を繰り出すと、最後は際どい斬り合いを制してビクトリー。

この後、第38回大会が伝説のトーナメントになるのは周知の通りですが、この映像を見て、大山十五世名人はおもしろい将棋を指していたのだと、本当に強かったんだと、つくづくそう思いました。

参考までに7~8年前の最強コンピュータ(既にプロ超えと言われていた)だと、差が付いたと判断するのは投了数手前です。

次週は同じ第38回大会の谷川名人vs羽生五段。こちらもおもしろいはず。


コンピュータの形勢判断


第38回NHK杯 羽生五段vs十五世名人 形勢評価グラフ
※青色はGPSfish、赤色は水匠2
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。


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コメント
  • No title
    2020/05/25 21:08
    後手の中飛車が先手の棒銀をいなして、袖飛車から玉頭戦に持ち込むという面白い展開でしたね。確かに大山名人の振り飛車の左金の動きはよく注目していました。

    結果は分かっているのですが、あらためて観ると、終盤は振り飛車側も飛角が働いて悪くない様に見受けましたが・・・。最後の方の羽生(当時)五段の打った▲6五角が効いたのでしょうか。

    昭和の大名人と、この後平成の永世七冠となる棋士との対決だけに見ごたえがありましたね。

  • Re:
    2020/05/26 18:40
    ▲65角打が、どのように対処しても後手の戦意が削がれる、強烈な決め手でしたね。

    本局は組み合わせがこの上なく、NHK杯屈指のお宝映像だったと思います。
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