第70回NHK杯(片上七段vs大橋六段)の感想

プロ将棋
大盤解説2

7月12日に第70回NHK杯1回戦(片上大輔七段vs大橋貴洸六段)が放送されました。

棋譜:NHK杯(公式サイト)
(※毎週、月曜日に更新されています)

目次

感想


戦型は後手の片上七段が対局前に予告した通りの振り飛車(四間飛車)。

20年以上前からあったノーマル四間飛車の出だしでしたが、片上七段の22手△62金が最近時々見る趣向。振り飛車側が美濃囲いではなく、金無双を予感させる62金は、少し前まではほとんど見なかった趣向。(それが耀龍四間飛車らしいですが、その本を書いている大橋六段を相手に使ったのは何故?)

後手の囲いはその後、83銀・73桂・72玉・62金の形に発展したのですが、この形は先日の竜王戦(藤井七段vs杉本八段)でも見ました。他の振り飛車の先生がやっているのも見たことがあり、理想形のひとつなのだろうかと、記憶に残った次第。(通常の銀冠とは微妙に違う形)

これに対し、大橋六段は銀多伝の左右対称バージョンで対抗。このあたりの、飛車先の戦だけでなく、陣形に厚みを加えて模様を良くして行く勝負のあり方は如何にもプロ。

そして、大橋六段が47手▲38角打と意外な場所に角を打ちこむと、片上七段も53角打と自陣角には自陣角で対抗。

私のような素人は、大駒は次に成れる場所か、両取りできる場所に打たないと損という固定観念を脱却できないのですが、プロは平気で自陣角を打つのだからすごい。

その後、片上七段が50手△25桂の桂馬と歩の交換、いわゆる25桂ポンで勝負に出たのですが、大橋六段がその桂馬を飛車で取った後の、飛車の移動した場所がすごい。

大橋六段が飛車を逃がした場所は53手▲45飛と、如何にも飛車のその後の逃げ場に窮しそうな狭い場所。しかしその手で1歩を取り返しており、それで飛車を逃がすことが出来るのならば桂馬の丸儲け。

そううまく行くのだろうかと思って見ていたら、その後20手くらいのやり取りで、大橋六段に巧い技が出て、駒勘定的には五分となりましたが、盤上の形勢は大橋六段優勢。

そこからは片上七段も相手陣にアヤを付けて勝負に出たのですが、大橋六段の自玉の寄りと相手玉の寄りを見極める、いわゆる速度計算は正確で、最後は片上七段の後手玉が即詰みとなり、113手で大橋六段の勝利。

藤井七段に勝ち越している数少ない棋士、それを納得させる大橋六段の隙の無い素晴らしい指しまわしがあった一局ように思います。

AIの形勢判断


第70回NHK杯1回戦第9局
※青色はGPSfish、赤色は水匠2
※AIの判断が正しいわけではありません。

トーナメント表


第70回NHK杯テレビ将棋トーナメント
第70回NHK杯20200712

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