第61期王位戦七番勝負第2局の感想

プロ将棋
札幌3

7月13日・14日に北海道札幌市で行われた第61期王位戦七番勝負第2局は、藤井聡太七段が144手で木村一基王位に勝ちました。この結果、七番勝負は藤井七段の2勝。第3局は8月4日・5日に兵庫県神戸市で行われます。

■投了図
藤井七段が2連勝(王位戦中継ブログ)

■棋譜(日本将棋連盟)
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/61/oui202007130101.html

目次

感想


木村王位が先手で相掛かりとなった第2局。

藤井七段の初めての封じ手となった40手は△86歩でした。

そこから藤井七段は積極的に動いていったのですが、中盤は千駄ヶ谷の受け師の術中に嵌まった形となり、藤井七段苦戦。大盤解説も木村王位ペースを明言。

91手では居玉の藤井七段の後手陣に対し木村王位が△53角成。「53のと金に負けなし」という格言があるのですが、53にあるのはと金よりも強力な馬なので、Abemaの大盤解説はもとより、誰の目にも藤井七段の後手玉は風前の灯。

AbemaのAIも木村王位側に65%くらいで振れていました。なにせ、先手玉はほとんど手付かずで、藤井七段の後手玉だけが最終盤だったのですから。

しかし、残り時間も少ない中、最善手で凌ぎ、粘る藤井七段。チャット欄はすでに木村王位が勝ったかのような様子で、意気消沈していた藤井ファン。

木村王位の99手▲42銀打(王手)が決め手級の一手で、郷田九段や戸辺七段の大盤解説も、これはもう逆転は不可能だろうという雰囲気でした。AbemaのAIも一時は木村王位側に85%ほどを示していました。

それでも大盤でも確実な寄せは見つかっておらず、藤井七段は凌ぎ続け、AIの形勢判断も70%くらいに押し戻されたりして、こうなると藤井七段の抜きんでた終盤力と1分将棋での凄まじい強さを知る人からは、木村九段の残り時間が数分になるとワンチャンスあるかもと、そういうチャットもチラホラですが流れていました。私もひょっとするとと思いながら観ていました。

そして、109手で両者の残り時間は4分。依然として木村王位に80%付近で振れるAbemaのAI。

122手△53香打。藤井七段のその一手は攻防の一手で、これまで全く寄せの手掛かりがなかった先手玉でしたが、その一手で王手が掛かる形になりました。

それまで木村王位の勝利を疑わなかった大盤でも、少し疑問の雰囲気も醸し出し、ひょっとするとが芽生えた瞬間でした。しかし、AbemaのAIは依然として木村王位側に70%付近。

両者ほとんど1分将棋の中、藤井七段の124手△26角打は、自陣も相当に危うい中、攻めに活路を見出そうとする、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉がピッタリの一手。

それに対し、1分将棋になっていた木村王位は125手▲42歩打と攻め合いを決断。ところがその時、AbemaのAIに異変が!

チャット欄では「うわああああああああ」「藤井七段逆転」「うわあああああああ」と藤井ファンの歓喜のチャットの大洪水。

AIの表示が終盤で初めて、藤井七段側に振れた瞬間でした。その数値は55%前後でしたが、本当に奇跡でも見ているかのような大逆転劇の瞬間でした。

勝負はまだわからないと思いながら見ていたのですが、1分将棋でも藤井七段の寄せとその大局観は正確で、そのまま優勢を拡大していくと、最後は木村王位の王手ラッシュを振り切って、144手で藤井七段の勝利。

これほどの大逆転劇は、これほど耐えて耐えて耐えての逆転劇は、少なくともタイトル戦では1年に1局あるかないかだと思います。この対局の終盤をリアルタイムで観ていて、本当に良かったです。2020年度の名局賞候補だと思います。

AbemaTVの番組終了時には、その視聴者数がまたまた「5m」とか、物凄い数字になっていました。将棋界には今、あの大連勝時の盛り上がりが再来してます。藤井七段、本当にすごいです。


AIの形勢判断


第61期王位戦第2局 形勢評価グラフ
※青色はGPSfish、赤色は水匠2
※コンピュータの判断が正しいわけではありません。

第61期王位戦七番勝負日程


第1局 7月01日・02日 愛知県豊橋市
第2局 7月13日・14日 北海道札幌市
第3局 8月04日・05日 兵庫県神戸市
第4局 8月19日・20日 福岡県福岡市
第5局 8月31日・9月01日 徳島県徳島市
第6局 9月14日・15日 神奈川県秦野市
第7局 9月28日・29日 東京将棋会館 


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