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2020年09月11日 記事公開
2021年05月17日 激指15との対戦結果を追加
2021年05月17日 総評を大幅修正
2021年05月17日 激指15との対戦結果を追加
2021年05月17日 総評を大幅修正
対応機種 | NINTENDO64 |
---|---|
発売元 | セタ |
発売日 | 1998年4月3日 |
最高棋力 | 激指15の1級【160分/124手】 |
特記事項 | ・段級位認定試験があった ・日将連ネットに接続できた ※どちらも期間終了 |
※棋力は激指1での推定。
※【】内は23局行った際の消費時間と手数の平均
目次
森田将棋64とは
森田将棋64とは、1998年4月にセタより発売されたNINTENDO64用の将棋ソフトです。
当時の強豪将棋AIだった森田将棋と対局できることに加え、このソフトを使って日本将棋連盟の段級位認定試験を受験できたことと、日将連ネットにアクセスできたことが大きな特徴。
ただし、段級位認定の方は20年以上前に応募期間が終了しており、森田将棋64を使って日将連ネットにはアクセス出来なくなっているはず。
なお、段級位認定の方は、日本将棋連盟に認定してもらえる期限が終了していますが、そのモードを使ってで遊ぶことはできます。
森田将棋64の主な機能

「対局室」COMのレベルは六段階。駒落ち、時間設定の選択可。COM同士の対局可。
「段級位認定」認定試験を受験出来るが、申請締切はすでに終了している。
「研究室」好きな局面を作って指し継ぐことが出来る。COMの指し継ぎも可能。
「詰将棋」詰将棋を作ってCOMに解かせることが出来る。
「環境設定」盤駒や読み上げ、音楽の有無を選択できる。
「名前変更」ユーザーの名前を入力。漢字に変換することも可能。
「日将漣ネット」日将漣ネットに接続できた。現在は接続不可。
■COMとの対戦の豆知識
COMとの対戦は最高棋力のL6だと通常1局2時間以上を使い、入玉形になってしまうと7時間以上を使ったこともありました。1段階下のL5だと持久戦にならなければ1局1時間弱くらいで許してくれます。
森田将棋64の段級位認定
20年以上前に応募期間は終了しているのですが、このカセットを使って、日本将棋連盟公認の段級位認定試験を受験することが出来ました。
今でもそのモードで遊ぶことはできます。
試験の流れは下の通り。
・第1局 ユーザーの持ち時間無制限
・第2局 ユーザーの持ち時間60分
・第3局 ユーザーの持ち時間30分
・第4局 ユーザーの持ち時間20分
・第5局 ユーザーの持ち時間10分
・次の一手全20問
次の一手問題は20問中14問が三択で、他の6問にはヒントがあるため、比較的簡単。
私が1時間程度で回答した結果はこの通り。

ついでに、激指1の三段にも受験させてみました。

さらに、現在の最強AI「水匠2」にも受験させてみました。

水匠2はパーフェクトを出したのですが、同じ問題を再び解かせると満点ではない解答を出たりして、微妙な問題が20問中1~2問あるようです。
それでも、最高の三段認定を出すことは可能なわけで、「最強羽生将棋」に収録されていた問題に比べると、随分とクウォリティは高いと言えます。
加えて、日本将棋連盟からどのくらいの段級位を認定してもらえたのかを知ることができるのは、かなりおもしろいです。
日将連ネットについて
この森田将棋64のカセットのてっぺんには、なんとモジュラージャックが付いていて、そこに電話線のモジュラーを繋ぐとネット対戦が出来ていたようです。
しかし、私はこの機能を使ったことはありません。
現在はすでに接続できない状況になっています。
有料で、サイトへの接続料が1分10円(通話料は別料金)だったようです。
つまり、通話料込みで、1局1000円くらい掛かっていたということでしょうか。
セタは、初めてファミコンソフトにバッテリーバックアップを搭載した会社でもあり(その名は「森田将棋」)、つくづく、時代を先取りしていたのだと思います。
もし、森田将棋64で日将連ネットに繋いで遊んだことがある方がいらっしゃるならば、是非、当時の話を聞かせて欲しいところ。
森田将棋64の強さはどのくらい?
森田将棋64の棋力がどのくらいなのか、客観性を重視する意味で、PC版激指と対戦させてみました。
森田将棋64の最強レベル「L6」と激指15との対戦結果は下記の通り。
対局結果の詳細(←クリックで表示)
■森田将棋64レベル6 vs 激指15の2級
森田将棋の5勝3敗
■森田将棋64レベル6 vs 激指15の1級
森田将棋の3勝4敗1分
■森田将棋64レベル6 vs 激指15の初段
森田将棋の3勝5敗
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 219手 | 411分0秒 | 激指 |
第2局 | 127手 | 112分2秒 | 激指 |
第3局 | 52手 | 65分9秒 | 森田 |
第4局 | 130手 | 61分17秒 | 森田 |
第5局 | 129手 | 208分3秒 | 森田 |
第6局 | 117手 | 175分27秒 | 森田 |
第7局 | 182手 | 271分5秒 | 激指 |
第8局 | 107手 | 134分11秒 | 森田 |
森田将棋の5勝3敗
■森田将棋64レベル6 vs 激指15の1級
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 54手 | 52分55秒 | 森田 |
第2局 | 97手 | 75分4秒 | 激指 |
第3局 | 160手 | 208分33秒 | 森田 |
第4局 | 105手 | 118分20秒 | 激指 |
第5局 | 121手 | 202分16秒 | 森田 |
第6局 | 100手 | 101分48秒 | 激指 |
第7局 | 122手 | 121分54秒 | 激指 |
第8局 | 79手 | 83分21秒 | 引分 |
森田将棋の3勝4敗1分
■森田将棋64レベル6 vs 激指15の初段
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 152手 | 170分34秒 | 森田 |
第2局 | 127手 | 192分19秒 | 激指 |
第3局 | 173手 | 308分52秒 | 激指 |
第4局 | 92手 | 169分19秒 | 森田 |
第5局 | 100手 | 76分37秒 | 激指 |
第6局 | 146手 | 178分5秒 | 激指 |
第7局 | 127手 | 148分35秒 | 森田 |
第8局 | 106手 | 108分24秒 | 激指 |
森田将棋の3勝5敗
■激指15との対戦結果
対激指15の2級 → 森田将棋の5勝3敗【約78分/123手】
対激指15の1級 → 森田将棋の3勝4敗1分【約80分/120手】
対激指15の初段 → 森田将棋の3勝5敗【約73分/116手】
時間面の最長は411分0秒(219手)、最短は52分55秒(54手)
※【】内は消費時間と手数の1局平均。但し引分局は除く。
上の結果より、激指15の1級相当の棋力と見るのが妥当ではないでしょうか。
激指1とも対戦させていますので、そちらの結果も載せておきます。
対局結果の詳細(←クリックで表示)
■森田将棋64レベル6 vs 激指1の4級
森田将棋の3勝5敗
■森田将棋64レベル6 vs 激指1の2級
森田将棋64レベル6の3勝5敗
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 134手 | 150分48秒 | 森田 |
第2局 | 137手 | 91分5秒 | 激指 |
第3局 | 151手 | 206分42秒 | 激指 |
第4局 | 105手 | 127分38秒 | 激指 |
第5局 | 261手 | 445分13秒 | 森田 |
第6局 | 98手 | 159分45秒 | 激指 |
第7局 | 98手 | 62分47秒 | 激指 |
第8局 | 133手 | 190分56秒 | 森田 |
森田将棋の3勝5敗
■森田将棋64レベル6 vs 激指1の2級
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 79手 | 80分16秒 | 激指 |
第2局 | 105手 | 123分31秒 | 激指 |
第3局 | 92手 | 87分49秒 | 森田 |
第4局 | 159手 | 134分46秒 | 激指 |
第5局 | 112手 | 105分50秒 | 激指 |
第6局 | 135手 | 131分18秒 | 森田 |
第7局 | 119手 | 146分07秒 | 森田 |
第8局 | 162手 | 217分12秒 | 激指 |
森田将棋64レベル6の3勝5敗
■激指1との対戦結果
対激指1の4級 → 森田将棋の3勝5敗【約179分/140手】
対激指1の2級 → 森田将棋の3勝5敗【約129分/120手】
※【】内は消費時間と手数の1局平均
■気付いたこと
・ユーザー玉が11手詰め以下になると即座に詰ましてきます。13手詰めも2分ほど考えて詰ましたのを確認しましたが、こちらは1度しか例がないので確実に詰ますのかどうかは断定できません。
・定跡手順もある程度を認識しています。ただし、森田将棋側が飛車を振るところは見ませんでした。
・千日手になると自動的に引分になることも確認しました。
総評

森田将棋64は1998年当時の家庭用ゲーム機ソフトとしては非常に斬新だったとつくづくそう思います。
段級位認定試験を家に居ながらにして受験することが出来たり、インターネットを使って全国の将棋ファンと対戦出来たりと、時代を先取りしていました。
ただ、インターネット対局の方は普通の人と指しても1局約千円となかなかの金額で、それに人が集まっていたのかどうなのか。非常に興味深いところ。
段級位認定試験の方は、今となっては申請こそできませんが、日本将棋連盟がどのくらいの棋力を認定してくれていたのかを、今でも知ることはできます。
AIの方は初手合いならば町道場の初段前後の棋力があるのかもしれませんが、認定試験の時は対戦に限っては何度でもやり直しが可能なので、将棋倶楽部24で10級くらいあれば最高の三段を出すことが出来るのではないでしょうか。
過去作も含め、森田将棋で取得出来た三段というのは、そのくらいの棋力で可能だったのだろうと思います。
ところで、大河ドラマを髣髴させるオープニングや、メインメニューから他の画面に移る時に一瞬だけ姿を見せるSHOちゃん(日本将棋連盟のマスコットキャラ)のポーズが20種類くらいあったりする細かい演出は、ゲームの基本である遊び心が感じられて個人的には好みだったりします。
セタは家庭用将棋ソフト開発の最古参だけあって、将棋ファンが喜ぶものをよく押さえていました。
そういうわけで、森田将棋64は20年以上前の将棋ソフトとしては悪くはなく、むしろ良い部類に入るとソフトだと思います。
とは言っても、今となって魅力的なのは段級位認定試験(繰り返しますが申請期間は終了してます)くらいでしょうか。
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