柿木将棋(PlayStation)

将棋ソフト
新 刊

新 刊



対応機種PlayStation
発売元アスキー
発売日1994年12月22日
最高棋力激指15の5級【74分/119手】
特記事項・プレステ初の将棋ソフト

※【】内は16局行った際の消費時間と手数の平均

目次

柿木将棋とは


柿木将棋は世界コンピュータ将棋選手権に1990年の第1回から参加している、当時の強豪将棋AIをプレイステーション用に移植したソフトで、1994年12月に発売されました。

開発用の柿木将棋は、1993年12月に行われた第4回世界コンピュータ将棋選手権では2位でした。

また、プレイステーションで発売された初めての将棋ソフトだったようです。


主な機能


「対局」COMのレベルは5段階
「盤面編集」好きな局面を作り指し継ぐことができます。
「表示」盤面を反転させることなどが出来ます。
「設定」乱数使用の可否や、BGM、盤面などを選択できます。
「棋譜再現」柿木将棋で指した棋譜を再現できます。
「データ」メモリーカードがあれば、棋譜などを保存できます。

柿木将棋の棋力


柿木将棋の棋力がどのくらいなのか、PC版激指15を使って、客観的にその棋力を検証してみました。(調べたのは柿木将棋で最強のレベル5です)

結果は下の通り。
※以下、消費時間は全て、柿木将棋の消費時間

■柿木将棋Lv5 vs 激指15の6級
対局名手数消費時間勝者
第1局106手54分32秒柿木
第2局112手60分30秒柿木
第3局114手31分10秒柿木
第4局97手117分54秒激指
第5局115手64分22秒柿木
第6局119手65分32秒柿木
第7局45手21分4秒柿木
第8局167手116分18秒柿木

柿木将棋の7勝1敗


■柿木将棋Lv5 vs 激指15の5級
対局名手数消費時間勝者
第1局87手19分10秒激指
第2局112手86分2秒激指
第3局149手130分8秒激指
第4局168手82分43秒柿木
第5局113手61分12秒柿木
第6局92手88分26秒激指
第7局215手93分27秒柿木
第8局88手95分35秒激指

柿木将棋の3勝5敗


以上の結果から、激指15の5級くらいと見るのが妥当でしょうか。但し、激指の段級位は早指しでの棋力なので、1局で1時間以上を使う柿木将棋の実際の棋力は、もっと下ということになります。

終盤に近付くにしたがってコンピュータの考慮時間も増えるのは、どのソフトでも共通で、柿木将棋も同じです。

ただ、通常は長くとも1手10分程度で指すのですが、1度だけ40分以上考えたことがあって、その時はバグを起こしたのか、PlayStation本体がぶち壊れたのではないかと心配しました。ともかく、20分以上の長考もあることはありますが少ないです。

寄せよりも駒得が好きなのもこの頃の将棋ソフトの特徴でしょうか。寄せたら勝つのに、駒得に走って、ひっくり返されているのを何度も目撃しました。

柿木将棋が勝つ基本パターンは、全駒みたいな形で勝つか、相手が9手詰め以下の頓死筋に入ってしまったかの、どちらかになっていることが多かったです。

あと、対局中、9手詰以下は読んでいるようですが、13手詰め以上は読めてないことが確認されました。


柿木将棋の詰将棋


門脇芳雄氏が編集協力したという詰将棋全20題が収録されています。

収録されている問題は7~19手詰で、詰めパラ系の結構な難問集です。

後半の問題は、市販の同手数の問題集と比較すると、最高レベルに近い難度かもしれません。

詰将棋解答選手権の一般戦の問題と変わらないくらいの難度だと思います。

そもそも、問題の半数は大道詰将棋や古作物です。問題図にも説明書にも作者名は書かれていないのですが、不要駒のある問題や、大道詰将棋の有名な問題があり、そのことに気付きました。問題の残り半分は門脇芳雄氏が過去に専門誌などで発表した作品のようです。

それから、問題には解答が付いていません。答えを知るには、柿木将棋の「詰将棋を解く」の機能を使う必要があります。

それで、出題順は手数順には並んでおらず、初めはテキトーなのだろうかと思っていたのですが、柿木将棋に詰将棋を解かせているうちに、柿木将棋が解答を見つけるまでの消費時間の順に並んでいることを発見しました。

参考までに、各問題について、私と柿木将棋の消費時間も表にまとめておきます。

番号手数大吉柿木
第1問73分32秒0秒
第2問94分26秒2秒
第3問957秒2秒
第4問74分58秒3秒
第5問930分25秒3秒
第6問115分16秒4秒
第7問1111分11秒6秒
第8問96分14秒8秒
第9問111分47秒28秒
第10問111分16秒32秒
第11問191時間52分39秒54秒
第12問1127分7秒55秒
第13問1914分14秒1分58秒
第14問1313分10秒2分2秒
第15問111時間42分49秒2分10秒
第16問114分8秒2分37秒
第17問1732分32秒4分9秒
第18問155分17秒6分6秒
第19問1525分30秒11分9秒
第20問1541分48秒14分20秒
AVERAGE1222分23秒2分23秒

柿木将棋にとっての難しいと、人間にとっての難しいには若干の違いを発見したのは、ちょっとした収穫。(私の方が先に解けた問題も1題だけあり、かなり自信になりました)

とにかく後半は、どこから手を付けたらいいのかわからないような、初手がたくさんあったり、最初は全く詰み筋が見えないと思いきや、しばらく眺めていると詰み筋だらけで、どうやったら玉方は指定された手数まで長引かせることができるだろうかと、そういう類の問題が幾つもありました。

いずれにしても、収録されている問題は、明らかに有段者向けの内容だと思います。


総評


今見ると、グラフィック面はかなりショボいです。タイトル画面と盤や駒台の木目はPlayStationらしいですが、他はファミコン画面のような感じ。

もっとも、当時の将棋ソフトは強さが最重要で、購入当時はグラフィック面が気になった記憶はありません。

強さの方は、当時は将棋ソフトの最高峰でしたので、将棋ファンからは普通以上の評価を受けていたはず。

私も95~96年頃に購入したはずですが、時々、その最高レベルに勝つことで、「私は結構強いのかもしれない」と思い、満足感を得られていたのを覚えています。(数年後にネット将棋をやることで、実はそうでもなかったことに気付くことになるのですが)

それで今回、久しぶりに遊んでみて思ったのですが、このソフトは柿木将棋シリーズの初期の作品だけあって、柿木将棋のルーツを垣間見た気がします。

柿木将棋シリーズはその後、詰将棋を創る人達の間で重宝されるソフトに成長していったのですが、本作では詰将棋作家が編集した20題を、柿木将棋が苦戦した順に並べている点などを見て、柿木将棋のルーツがあるような気がしました。

本作は対局モードは級位者向けで、オマケで付いてる詰将棋は有段者向けと、バランスは決して良くはないのですが、まあ、昔の将棋関連の商品にはありがちです。

メインは当然ながら対局モードですから、級位向けの将棋ソフトということになります。

久しぶりに遊んだ私の感想としては、初期の柿木将棋を知ることが出来た満足感や、難解な詰将棋20問を全部解いた充実感はありました。その昔、私が将棋倶楽部24の10級くらいになる過程で、練習相手として使ったソフトのひとつであることも書いておきます。

最後に、私が柿木将棋レベル5と指した棋譜も付けておきます。

先手:わたし
後手:柿木将棋
将棋盤

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