永世名人2(PlayStation)

将棋ソフト

対応機種PlayStation
発売元コナミ
発売日1996年12月20日
最高棋力激指15の4級【77分/138手】
特記事項・江戸時代の古棋譜22局を収録
・予測読み機能搭載

※【】内は24局行った際の消費時間と手数の平均

目次

永世名人2とは



永世名人は、吉村信弘氏が開発した将棋AIで、それをPlayStation用として移植したゲームソフトで、当時のゲーム業界王手のコナミが発売した。

開発用の永世名人は、1990年の第1回世界コンピュータ将棋選手権で優勝している。なお、1996年1月に開催された第5回世界コンピュータ将棋選手権では10位だった。


主な機能


「対局」COMのレベルは6段階。駒落ちの設定も有る。
「棋譜再現」永世名人2で対局した棋譜を再現できる。
「盤面編集」好きな局面を作成できる。
「詰め将棋」盤面編集で作った詰将棋を解く。
「機能」BGMや読み上げの有無の選択。古棋譜22棋譜のロードなど。


永世名人2の棋力


永世名人2の棋力がどのくらいなのか、PC版激指15を使って、客観的にその棋力を検証しました。(※検証したのは最強のレベル5)

結果は下の通り。
※以下、消費時間は全て、永世名人2の消費時間


■永世名人2Lv5 vs 激指15の3級
対局名手数消費時間勝者
第1局147手62分24秒激指
第2局128手60分58秒永世
第3局179手97分39秒激指
第4局183手131分0秒激指
第5局92手28分30秒激指
第6局104手22分1秒激指
第7局163手52分11秒永世
第8局165手236分54秒永世

永世名人の3勝5敗

■永世名人2Lv5 vs 激指15の4級
対局名手数消費時間勝者
第1局170手83分55秒永世
第2局111手41分34秒激指
第3局118手65分28秒永世
第4局111手79分53秒激指
第5局123手30分5秒永世
第6局110手40分16秒激指
第7局162手85分35秒激指
第8局131手48分20秒永世

4勝4敗の引分


■永世名人2Lv5 vs 激指15の5級
対局名手数消費時間勝者
第1局117手83分18秒激指
第2局188手99分53秒永世
第3局88手34分8秒永世
第4局150手97分49秒激指
第5局152手78分22秒激指
第6局172手129分27秒激指
第7局141手108分4秒永世
第8局107手41分40秒永世

4勝4敗の引分


以上の結果より、激指15の4級くらいと見るのが妥当でしょうか。但し、激指の段級位は早指しでの棋力であるため、1局で1時間以上を使う永世名人2の実際の棋力は、もっと下ということになります。

駒得重視はこの当時の将棋ソフトの特徴でもありますが、永世名人2は終盤の一手を争う忙しい時でも、僻地にある相手駒を、持ち駒まで使って取りに行くなど、過剰な駒得重視ぶりも見られました。(受けても過剰で、持ち駒を使ってまで、僻地の歩を守ったりします)

ほかに、対局中は9手詰めは見えているようですが、11手詰め以上は見えていないようです。


古棋譜


永世名人2には、江戸時代の古棋譜が全部で22局分収録されています。

内訳は、初代大橋宗桂(8棋譜)、大橋宗古(4棋譜)、天野宗歩(10棋譜)です。

ゲームタイトルに「永世名人」の名が使われているので、実在した永世名人の棋譜を収録したのは、粋な洒落でしょうか。

なお、初代大橋宗桂は一世名人、大橋宗古は二世名人で、天野宗歩は永世名人ではありません。天野宗歩は家元の出身ではないため名人にはなれなかったのですが(当時の名人は世襲制)、江戸時代最強の誉れが高い棋士です。

ところで、初代大橋宗桂と天野宗歩は、将棋ファンならば名前くらい聞いたことはあると思うのですが、大橋宗古はそれほど有名ではないと思います。

なぜ、大橋宗古がチョイスされているのか?

収録されている棋譜のうち、大橋宗桂と大橋宗古の対戦相手は、全てが本因坊算砂。

宗桂の方は収録されている8つの棋譜が現存する全てなので何も思わなかったのですが、宗古の方は収録棋譜以外の他の対戦相手の棋譜も残っています。

加えて、取説には「一世名人である初代本因坊算砂」と書かれてありました!

私も知らなかったのですが、一世名人を初代本因坊算砂とする説もあるらしく、どちらの説でも通用するように、この形を取ったということでしょうか。「やるな、コナミ」と思った次第。

ゲームとは関係のない話が長くなりましたが、「宗桂1」として収録されている棋譜は現存する最古の棋譜で、「天野10」として収録されている棋譜は遠見の角で有名で相手も後の11世名人(伊藤宗印)です。

天野宗歩が強いのは、歩の使い方を見ただけでもわかりますし、大技が随所で炸裂しているのもズバ抜けて強かった証。


総評


私はこのソフトを発売日頃に購入しているはずですが、正直に書きますと、あまり遊んだ記憶はありません。最強レベルにあっさり勝ってしまったことが理由だと思います。

COMとの対局以外にできることは、古棋譜の鑑賞くらいで、それを楽しいと思うためには有段の棋力が必要で、当時級位だった私は古棋譜を所有する満足感はあっても、それを眺めて楽しめるレベルではなく、COMの最強レベルに対局で勝つと、それでゲームクリアだったのだろうと思います。

COMの棋力は最強でも、機種は違いますが半年前に発売されている「最強羽生将棋」よりも下で、同じPlayStation用ソフトでこの2年前に発売された「柿木将棋」とも大差はありません。

ゲーム業界大手のコナミが発売したソフトなので、遊ぶ前は期待もあったのですが、それまでに発売されていた将棋ソフトに比べて際立った部分はほとんどなく、期待外れだったというのが当時の心境。

盤駒は、当時のプレステ用の将棋ソフトの中では綺麗な方で、背景を含めた色合いは明るく、それが唯一コナミらしさを感じるところでしょうか。

今遊ぶならば、将棋倶楽部24で10級を目指す人、将棋クエスト10分で初段を目指す人、そういう人たちの練習相手にちょうど良いかもです。

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