第41回JT杯(渡辺名人vs豊島竜王)の感想

プロ将棋
渋谷

10月17日に東京都渋谷区で第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦準決勝(渡辺明名人vs豊島将之竜王)が行われ、119手で豊島竜王が勝ちました。

■棋譜(日本将棋連盟)
http://live.shogi.or.jp/jt/kifu/41/jt202010170101.html

目次

感想


名人(三冠)vs竜王(二冠)の現将棋界頂上決戦。

戦型は豊島竜王が先手で相掛かり。

中盤は渡辺名人の方が攻勢で、54手△24飛で、渡辺名人が一本取った形。

その局面は飛車が対峙した形で、大駒が対峙した形は間に駒を挟めた方が指し難くなることが多いと言ったものですが、54手△24飛はまさにその状況。

以降、Abemaの形勢判断も60%以上、時には70%台で渡辺名人側に振れていて、チャット欄も渡辺竜王の勝ちみたいな雰囲気が続いていました。

実際、渡辺陣は手付かずで、駒得を確定させながら一方的に攻め込んでいたので、素人目にも豊島竜王の逆転する未来を描くのが難しかったのは事実。

そして、渡辺名人の70手△22角。金損しながらも相手の馬を取りに来た手で、角を手持ちにしたならば金損でも勝っているという意思表示。大盤の郷田九段は意外そうな感じながらも「決めに来た一手」である旨を解説していました。

しかし、AbemaのAIはその手に10%の減点。さらに数手を指し進めると豊島竜王持ちへと形勢判断が大逆転。

局面も渡辺竜王が一方的に攻めていた数手前までとは打って変わって、豊島竜王の反撃開始で、豊島竜王の方が主導権を握る展開になっていました。

そうは言っても、闘っているのは名人と竜王。勝負が簡単に決まるはずはなく、両者の指し手は、一手でも緩い手を指すと許さんぞ、と言わんばかりの難しい手の連続。

102手頃、解説の郷田九段も豊島陣も相当危ない旨を話していたのですが、実はその時、AIの評価は豊島竜王側に94%。

大盤の近くにそれを表示したモニタが有るらしいのですが、郷田九段はそこにある数字が見えてないそうで、そのおかげで、その数字が如何に乖離していたかが、示されているシーンでもありました。

Abemaの形勢判断の数値は高過ぎるので、下方修正した方が現実に近づくような気はします。まあ、盛り上げるという意味では今の方が良いのかどうかはわかりませんけど。

それはともかく、結局、豊島竜王が勝ち切ったわけですが、本局を最初からAbemaTVで観ていた人ならば、あの劣勢を逆転した豊島竜王はすごいな、強いなと思ったのではないでしょうか。なにせ、名人を相手に誰もが負けたと思っていた局面を逆転したのですから。

それにしても、名人対竜王の対局を、郷田九段の解説で、リアルタイムで観ることが出来るというのは、10年前ならば考えられない夢のような話。本当に素晴らしい番組でした。山口恵梨子女流二段の登場にも喜びの声で溢れていました。


AIの形勢判断


第41回JT杯 豊島竜王vs渡辺名人
※青色はGPSfish、赤色は水匠2
※AIの判断が正しいわけではありません。

トーナメント表


第41回JT杯20201017


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コメント
  • No title
    2020/10/18 09:13
    実際アベマの勝率はどういう風に設定しているんでしょうね。例えば評価値1000なら70%などと適当な数字を入れているだけなのか、プロの棋譜と勝敗データから評価値1000の局面の勝率を推定しているのか。後者ならもう少し実感に合う数字が出てくるはずなのですが。
  • Re:
    2020/10/20 02:14
    Abemaの勝率は複数のソフトの合議制と聞いています。その決め方はおっしゃられている前者の方で、まずまちがいないでしょう。私もおっしゃられている後者の方ならば棋士の感覚と近づいてくるように思います。
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