谷川浩司の将棋指南2(ファミリーコンピュータ)

将棋ソフト
2020年11月18日に書いた記事で、棋力検証と総評を中心に修正しました。

谷川2

対応機種ファミリーコンピュータ
発売元ポニーキャニオン
発売日ディスクは1987年11月13日
カセットは1988年03月18日
最高棋力激指15の9級【11分/124手】
特記事項詰将棋40題収録
次の一手20題収録

【】内は50局対局した際の1局における消費時間と手数の平均

目次

谷川浩司の将棋指南2とは


ファミコン界最強
☆得意戦法を持った<刺客四天王><無敵の名人>との対局。しかも指し手が驚くほど早い。
☆実戦向「詰将棋」40題と「次の一手」20題で谷川浩司があなたの棋力を判定。
●対局(入門者~2級向き) ●次の一手(初段~四段向き) ●詰将棋(5級~二段向き)

引用元:カートリッジ版パッケージ裏面

1987年11月にディスクシステム用のソフトとして発売された後、1988年3月にカートリッジで発売された。

なお、続編である「3」もファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されているが、「1」はMSX用ソフトのみで、ファミリーコンピュータ用ソフトとしては発売されていない。


主な機能


【対局】五人の棋士との勝ち抜き戦。ラストボスとは五番勝負。
【詰将棋】5~11手詰全40題を収録。
【次の一手】選択式で5手指し進める問題が全部で20問。最後に棋力判定がある。


谷川浩司の将棋指南2の棋力


棋力の検証


この「谷川浩司の将棋指南2」がどのくらいの棋力であるのかを確認すべく、その最強レベルと思われる最後の登場キャラである五人目の棋士(谷川九段)を激指15のレート戦で戦わせてみました。

なお、将棋指南2先手番は五番勝負ユーザー側1勝0敗時、将棋指南2後手番は五番勝負ユーザー側2勝0敗時を使用しました。

10級(600点)スタート
shogishinan2-0.jpg

最終レート 693点(9級)
最高レート 740点(9級 36局目で到達)

対8級 1勝3敗0分(勝率0.250)
対9級 16勝12敗2分(勝率0.571)
対10級 8勝4勝4分(勝率0.667)

上の結果から、谷川浩司の将棋指南2の最高棋力は激指15の9級に相当すると考えるのが妥当ではないでしょうか。

なお、最後の五番勝負はユーザーの成績で谷川九段の戦型が決まっているらしく、ユーザー側が0勝0敗の時は四間飛車、1勝0敗の時は矢倉、2勝0敗の時は中飛車となっているようです。

そういうわけで、四間飛車も指すのですが、上の検証結果には反映されていません。


それから、最初に登場する棋士とラストボスの棋力が異なるのか否かも実験してみました。

棋士の強さの検証(クリックで詳細表示)
手番は決まっており、一人目はCOMが先手、五人目(ユーザー側2勝0敗)はCOMが後手


■将棋指南2一人目 vs 激指15の11級
対局名手数消費時間勝者
第1局114手10分35秒指南
第2局122手12分17秒指南
第3局79手6分22秒激指
第4局114手10分34秒指南
第5局102手10分10秒指南
第6局114手10分37秒指南
第7局114手10分37秒指南
第8局124手16分27秒指南
第9局112手12分36秒指南
第10局122手12分16秒指南

将棋指南2の9勝1敗

■将棋指南2一人目 vs 激指15の10級
対局名手数消費時間勝者
第1局146手14分18秒指南
第2局106手22分49秒指南
第3局95手7分28秒激指
第4局139手12分12秒激指
第5局134手15分28秒指南
第6局109手9分22秒激指
第7局95手7分33秒激指
第8局115手8分34秒激指
第9局121手9分52秒激指
第10局76手5分02秒引分

将棋指南2の3勝6敗1分

■将棋指南2一人目 vs 激指15の9級
対局名手数消費時間勝者
第1局75手5分18秒激指
第2局107手8分03秒激指
第3局97手6分16秒激指
第4局99手7分58秒激指
第5局107手8分04秒激指
第6局53手2分23秒激指
第7局59手3分46秒激指
第8局29手1分09秒激指
第9局69手3分41秒激指
第10局107手8分06秒激指

将棋指南2の0勝10敗

■将棋指南2一人目 vs 激指15の8級
対局名手数消費時間勝者
第1局121手15分24秒激指
第2局85手5分20秒激指
第3局85手3分36秒激指
第4局103手8分16秒激指
第5局75手5分07秒激指
第6局57手3分34秒激指
第7局151手10分35秒激指
第8局160手14分43秒指南
第9局115手7分59秒激指
第10局69手4分40秒激指

将棋指南2の1勝9敗



■将棋指南2五人目 vs 激指15の11級
対局名手数消費時間勝者
第1局124手13分05秒指南
第2局124手13分10秒指南
第3局174手21分47秒指南
第4局124手13分05秒指南
第5局124手13分09秒指南
第6局124手13分07秒指南
第7局124手13分07秒指南
第8局138手27分41秒指南
第9局124手13分05秒指南
第10局77手5分30秒激指

将棋指南2の9勝1敗

■将棋指南2五人目 vs 激指15の10級
対局名手数消費時間勝者
第1局81手4分54秒激指
第2局75手4分31秒激指
第3局112手13分16秒指南
第4局124手12分39秒指南
第5局112手13分16秒指南
第6局112手13分13秒指南
第7局112手13分14秒指南
第8局97手8分59秒激指
第9局112手13分14秒指南
第10局112手13分18秒指南

将棋指南2の7勝3敗

■将棋指南2五人目 vs 激指15の9級
対局名手数消費時間勝者
第1局136手12分59秒指南
第2局158手15分29秒指南
第3局133手11分17秒激指
第4局133手11分17秒激指
第5局89手5分43秒激指
第6局134手11分13秒指南
第7局128手13分55秒指南
第8局128手13分56秒指南
第9局89手5分43秒激指
第10局128手13分58秒指南

将棋指南2の6勝4敗

■将棋指南2五人目 vs 激指15の8級
対局名手数消費時間勝者
第1局105手8分03秒激指
第2局105手8分04秒激指
第3局144手16分19秒指南
第4局87手5分37秒激指
第5局105手8分03秒激指
第6局172手18分14秒指南
第7局139手13分39秒激指
第8局105手8分00秒激指
第9局144手16分19秒指南
第10局105手8分01秒激指

将棋指南2の3勝7敗


※同じ組み合わせで手数が同じ対局は投了図も同じです。時間が微妙に違うのは同じ局面に合流するまでの手順が違うためです。

まとめ
一人目 13勝26敗1分【102手/9分】
五人目 25勝15敗【120手/12分】
※【】内は手数と使用時間の平均

以上の結果から、五人目の方が強いのかもしれません。



気付いたこと


・千日手引分を認識してません。
・相手玉の3手詰は見えていることも多いですが、必ず読めているわけではないようです。
・1手詰めの頓死を喰らっているのも見ました。
・序盤中盤の指し手は早く、終盤でも長くて1分程度、稀に2分ほど考えることもあります。
・各棋士、指し手はワンパターン。


将棋指南2の詰将棋


40題の詰将棋問題が収録されています。

手数は3~11手詰めで、各問題図にヒントや手数の表記はなく、「5ふんで○きゅう」と書かれてあるのみ。

COMとの対戦詰将棋形式になっていて、プレイヤーは攻め方の指し手を入力します。

出題順は手数順に並んでいるわけではなく、難易度別に並べたつもりのようですが、急に中段玉の難しい問題が出てきたりして、全体的な難易度は明らかに高いです。

参考までに私の回答結果を手数別にまとめてみました。

私の棋力:将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の四段
手数問題数平均時間正解率
3手詰3題3分33秒100.0%
5手詰9題2分55秒100.0%
7手詰13題5分17秒92.3%
9手詰14題11分25秒100.0%
11手詰1題40秒100.0%
TOTAL40題6分39秒97.5%

1問だけある11手詰は有名な古典作。

11手詰以外は、各手数、普通の詰将棋の3倍くらいの時間が掛かりました。簡単な問題もあるのですが、全体的には難易度は高いです。私にとって特に難しかったのは26問目、31問目、35問目でした。

将棋指南2の次の一手


次の一手が20題収録されており、各問題図から5手を指し進めるのですが、先手の全ての手に選択肢が用意されており、3度目の選択の後に100点満点中何点の出来なのかが表示されます。ヒントや解説はありません。

連続で20題全部を解くと、その回答結果により棋力を判定してもらえます。

私がやってみた感想ですが、将棋ソフトにおける次の一手問題のあり方としては最高傑作と思うのですが、惜しいことに明解でないことが多い気がしました。

昭和の問題集にありがちな、「あれ?これってハッキリとした正解手順はあるのかな?」という問題図が多いのです。

それをわかりやすく伝えるために、私と将棋ソフトの回答結果・判定結果を表にまとめておきます。

なお、将棋ソフトの最善手が選択肢にないことも少なくなく、その場合は選択肢にあり且つ最も上位に表示された候補手を選びました。

プレイヤー満点の数総得点認定棋力
わたし4題1115点2級
激指411題1650点二段
激指1512題1585点初段
水匠211題1530点初段

棋力認定は四段まで?あるようですが、昨今の最強ソフトが初段認定という時点で、問題が微妙である可能性は高いです。

問題図はソフトの評価値で±300くらいの局面が多く、且つ選択肢の中にソフトの評価が数十点しか変わらないものがあることも少なくありません。すなわち、明解でない問題も少なくないようです。

1問1問を採点してくれるので、おもしろいことはおもしろいのですが、採点してもらった後にモヤモヤ感が残ることも多いのは事実。プロがやるとどのくらいの点数が出るのかは非常に興味深いところ。


総評


谷川2の2

私はこのソフトについては発売された当時から知ってましたが、実際に遊んだのはこの記事を書く(2020年11月18日)少し前のこと。

もともとはディスクシステム用のソフトで、当時はそのソフトを任天堂に送ると詰将棋と次の一手の新しい問題に書き換えてもらえるサービスがあったのだとか。(書き換えられたディスクは今となってはプレミアム)

さて、この「谷川浩司の将棋指南2」ですが、ファミコンソフトとしてはなかなか強い方だと思います。「森田将棋」の方が少しだけ強いのですが、そちらの総消費時間は2時間弱で8級、こちらは10分程度で9級なのだから、時間面を考慮するとこちらの方が強いのかもしれません。

ファミコン版森田将棋の発売以来、COMが1時間も2時間も使うのは当たり前になっていたのですが、このソフトの消費時間が短いのは長所のひとつ。

他にも本当に棋風が個性的なキャラが用意されているのも優れているポイント。このソフトには定跡というものが無いようですが、キャラたちは特定の位置に飛車を振ると、あとは一目散にそれに応じた囲いを築きます。

初心者を脱却した人みたいな感じで、非常に良いです。初心者を脱却した人には良い練習相手になるのではないでしょうか。

短所は各キャラがワンパターンであるため、優勢になる手順を発見すると、それがすなわちそのキャラの攻略パターンになることです。これは、当時の将棋ソフトはほとんどがこの短所を持っているので、仕方のないことではあります。

それから、COMの強さは初心者に毛の生えた程度ですが、問題集の方は有段者も唸るガチの将棋ファン向けの問題が多数であることも書いておきます。COMとの対局に満足してる方は、解けなくて当たり前の問題ばかりなので、落ち込まないように!

ところで、デザインは将棋世界の四コマ漫画でお馴染みのバトルロイヤル風間氏で、雷が鳴り響くタイトル画面は格好良いとはかけ離れていて、稲光に映し出される5人のシルエットがギャグっぽくて笑えます。将棋が明るい感じになっていてグッドです。

全体的には当時の将棋ソフトとしては良作だと思います。「内藤九段の将棋秘伝」は卒業した、という方におすすめです。

谷川浩司の将棋指南2
ポニーキャニオン 1988年3月18日
関連記事
記事タイトルとURLをコピーする

コメント
  • 管理人のみ閲覧できます
    2022/10/01 12:32
    このコメントは管理人のみ閲覧できます
コメント投稿

トラックバック
    パンくずリスト
  • ホーム
  • »
  • »
  • 将棋ソフト
  • »
  • 谷川浩司の将棋指南2(ファミリーコンピュータ)