
対応機種 | PlayStation |
---|---|
発売元 | 毎日コミュニケーションズ |
発売日 | 1998年12月3日 |
Lv5の棋力 | 激指15の初段【33分/127手】 |
特記事項 | ・水平線効果を排除 ・COMの消費時間は最長1手1分 ・開発版は第8回CSA選手権優勝 ・次の一手と詰将棋を各162題ずつ収録 |
※【】内は32局行った際の1局における消費時間と手数の平均
目次
最強東大将棋とは
最強東大将棋とは、1998年2月のコンピュータ将棋選手権で優勝した「IS将棋」をPlayStation用のゲームソフトとして移植したもの。思考ルーチンの開発者は棚瀬寧氏をはじめとする東京大学の大学院の学生たち。
主な機能
「対局」COMのレベルは0~5までの6段階。Lv4に勝利しないとLv5は選べない。
「定跡対局」COMとの指定局面戦で、81の定跡局面が用意されている。
「詰将棋」東大将棋に詰将棋を解かせる機能。
「棋力認定」次の一手問題を序・中盤戦と終盤戦に分けて各81題ずつ収録。
「棋譜鑑賞」大学将棋の棋譜が24棋譜収録されている。
「道場破り」昇級・昇段を目指してCOMと対局。
「目隠し対局」COMを相手に目隠し対局を行う。
「対戦詰将棋」詰将棋を初級編と中級編に分けて各81題ずつ収録。
「盤面編集」好きな局面を作成して対局することができる。
※COM同士の対局は出来ません。
※対局での持ち時間は無制限のほか、時間制限も付けられます。
最強東大将棋の棋力
棋力の検証
激指15を使って、最強東大将棋の棋力を客観的に検証してみました。
■東大将棋Lv5 vs 激指15の2級
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 142手 | 37分30秒 | 東大 |
第2局 | 137手 | 38分27秒 | 東大 |
第3局 | 97手 | 20分24秒 | 激指 |
第4局 | 118手 | 37分20秒 | 東大 |
第5局 | 82手 | 21分12秒 | 激指 |
第6局 | 123手 | 36分34秒 | 東大 |
第7局 | 101手 | 24分18秒 | 激指 |
第8局 | 116手 | 20分14秒 | 東大 |
東大将棋の5勝3敗
■東大将棋Lv5 vs 激指15の1級
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 76手 | 17分02秒 | 東大 |
第2局 | 136手 | 38分39秒 | 東大 |
第3局 | 73手 | 12分48秒 | 激指 |
第4局 | 137手 | 32分08秒 | 激指 |
第5局 | 130手 | 38分16秒 | 激指 |
第6局 | 129手 | 42分27秒 | 東大 |
第7局 | 165手 | 52分43秒 | 東大 |
第8局 | 149手 | 39分37秒 | 東大 |
東大将棋の5勝3敗
■東大将棋Lv5 vs 激指15の初段
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 235手 | 88分30秒 | 東大 |
第2局 | 269手 | 79分43秒 | 東大 |
第3局 | 101手 | 15分48秒 | 激指 |
第4局 | 134手 | 33分39秒 | 東大 |
第5局 | 74手 | 9分09秒 | 激指 |
第6局 | 139手 | 28分55秒 | 東大 |
第7局 | 104手 | 21分19秒 | 激指 |
第8局 | 109手 | 18分11秒 | 東大 |
東大将棋の5勝3敗
■東大将棋Lv5 vs 激指15の初段+
対局名 | 手数 | 消費時間 | 勝者 |
---|---|---|---|
第1局 | 201手 | 63分49秒 | 激指 |
第2局 | 135手 | 33分15秒 | 激指 |
第3局 | 99手 | 27分49秒 | 激指 |
第4局 | 113手 | 27分16秒 | 激指 |
第5局 | 88手 | 12分18秒 | 激指 |
第6局 | 128手 | 23分29秒 | 激指 |
第7局 | 101手 | 23分20秒 | 東大 |
第8局 | 110手 | 30分59秒 | 激指 |
東大将棋の1勝7敗
以上の結果より、東大将棋の最強レベル5は、激指15の初段と互角くらいの棋力ということになります。
気付いたこと
気付いたこととして、かなりの数の定跡手が入っており、67手までノータイムで指すこともありました。
また、当時はまだ新戦法だったゴキゲン中飛車の定跡も数パターン入っていたのは驚き。ただし、コンピュータがゴキゲンを指すのは見ませんでした。
コンピュータが振り飛車を指す場合は、三間飛車になることが多かったです。それはそれで驚き。
他には、13手詰めは見えているようです。一方で、自玉の17手詰めが見えていなかったことも確認しました。
いずれにしても、この当時の家庭用ゲーム機の将棋ソフトとしては、最高棋力であったことは間違いありません。
謎の対局終了について
上記検証をやっていた時のこと。
東大将棋の判断で強制的にユーザー側の負けを宣告されることがありました。

説明書には、持将棋はユーザーで判断する旨が書かれているのですが、何故上の局面でユーザー側が負けになるのでしょうか?
なお、上記局面では4四の地点に後手の馬があります。
そして次の対局でもまたまた負け宣告で強制終了!

今度は5四の地点に後手の歩があります。
どちらの局面でも、後手の駒があと一枚、敵陣に打たれたならば激指で宣言法を使おうと構えていたのですが、どちらも点数は満たしていても、敵陣にある駒の数が1枚足りません。
すなわち、上記の局面は宣言法を使うにはフライングで、実は宣言した方が負けになるパターンでは?とツッコミたくなった次第。
マイナビの将棋ソフトは、その後、持将棋の時の宣言法を取り入れているのですが、この段階ではまだ未完成で、実験段階のものが上記のように間違って挨拶してしまったのだろうか、それにしてもその後のソフトでもCOM側が勝利宣言することはないのですが、ならば上の誤作動は何なのだろうかと、謎が謎を呼びました。
最強東大将棋の対戦詰将棋
ユーザーが攻め方を、コンピュータが玉方を持つ対戦詰将棋が「初級」と「中級」に分かれて、各81題ずつ収録されています。
盤面81マスそれぞれの地点が問題番号になっていて、正解するとその部分の隠し画像が現れます。
81問全部正解だと目出度く、盤面に描かれている女流棋士の画像が現れるという、その後のマイナビのソフトでも継承された得意の構成。
まず、初級を解いてみました。
各問題制限時間7分(秒読み30秒)

3手詰め35問、5手詰め46問が出題されていました。
1問平均の消費時間は操作時間込みで
3手詰め → 34秒
5手詰め → 65秒
浦野先生のハンドブックシリーズよりも、ほんの少し難しい程度だと思います。
つづいて、中級を解いてみました。
各問題制限時間7分(秒読み30秒)

5手~15手詰めで、平均手数は11.6手。
手数に比して、並よりも難しい問題ばかり。
例えば入玉形の15手詰めや、合駒問題の15手詰めなど。
どこが、中級かと。明らかに有段者向け。
私よりも棋力が上でないと、解くのが苦痛だと思います。
最強東大将棋の棋力認定
次の一手問題を序・中盤編と終盤編に分けて各81題ずつ収録しており、その正解率によって棋力が認定されます。
盤面の各地点が問題番号になっていて、正解すると画像が現れるのは上記の対戦詰将棋と同じ。
さて、まずは序・中盤編を解いてみました。
各問題制限時間5分(秒読み30秒)

こちらは次の一手が当たればそれで正解。
正解率100%だと二段になるようですが、厳し過ぎっ!
見ての通り、1問間違えただけで初段認定でした。
私が98%を正解するくらいですから、特に難しいわけではありません。
つづいて、終盤編も解いてみました。
各問題制限時間5分(秒読み30秒)

なんと、2級認定でした!
こちらは次の一手が当たるだけでは駄目で、問題図からコンピュータを相手に指し継いで、勝利することで初めて正解。
次の一手自体は8割以上を正解したと思うのですが、その後を1手緩むといっぺんに負けになったりして、勝ち切るのは大変。
しかも、相手の最後の猛攻も強烈で、正確に受けると勝てるのですが、5分で20手前後を読み切るのは難しいです。
どのくらいの棋力があると初段認定されるのか、どのくらいの棋力があると二段認定されるのか、非常に興味深いところ。
ちなみに私は将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の四段です。
おもしろいのですが、認定される棋力が低すぎっ!
システム自体はおもしろいので、以降のマイナビの将棋ソフトに継承されています。
どうでもいいことですが、私はある問題で90手以上を粘って結局負けて、具合悪くなったりしてました・・。
総評

ほかにも「道場破り」もやってみたのですが、そちらは最も厳しい激辛道場で余裕の四段認定。初段からやって四段昇段までは、一度だけ時間切れで負けました。
さて、最強東大将棋は発売日から間もない頃に購入しました。当時の将棋ソフトは「コンピュータ将棋選手権優勝」が最高のキャッチフレーズになっていて、店頭で見つけるや否や即購入を決断。
20年以上前のことなので、当時のことはハッキリとは覚えてないのですが、当時の私は推定で将棋倶楽部24の10級以下だったはずですが、この最強東大将棋のレベル5にとき―どき一発が入っていた記憶はあります。
あと、詰将棋や次の一手問題については、数問解いただけでやる気が失せていたのも覚えています。
それでも、当時から最も充実した将棋ソフトという認識はありました。
最近再び遊んでみて発見したのは、NINTENDO64の最強羽生将棋よりも強いことと、2001年12月発売のWINDOWS版激指よりも300点ほどしか差が無いことです。
つい最近まで、東大将棋と羽生将棋は互角くらいだと思っていたのですが、この最強東大将棋の方が明らかに強いようです。
また、プレイステーションで動かす東大将棋が、3年後に発売されたパソコンで動かす激指と300点ほどしか差が無いのは驚きでした。
東大将棋は1局に30分くらいを使うのですが、激指も当時の並のパソコンだとそのくらいを使っていたと思うので、そう考えると本当に驚きでした。
このソフトが凄かったのは、強さだけでなく、長くとも1手1分で指すことと、水平線効果を排除したことです。
このソフトが発売されるまでは、将棋ソフトの長考は異常で、1手10分はザラ、30分以上考えることもありました。異常とは書きましたが、当時は最強モードだとそれが普通でした。
そして30分考えて何を指すかと思いきや、全くの無駄な王手、いわゆる水平線効果(=人間には無駄な一手に見えてもコンピュータは延命したと考えている)な一手で、最強コンピュータに勝つのもただ事の作業ではありませんでした。
それらを一掃することに成功したのだから、ユーザーの満足度が上がるのは言うまでもありません。本当に画期的な将棋ソフトでした。
当時としては優れた将棋ソフトであることは、多くの将棋ファンが認めていたはずで、その証として、このソフトの発売から数年間は東大将棋シリーズが将棋ソフトの最高峰という認識の人が多かったのではないでしょうか。
さすがに今のWINDOWS版激指などと比べると見劣りしますが、初段を目指している人の対局相手としてはむしろこちらの方が良い相手のような気もします。(※同じ互角の棋力でも、テキトーに手抜きする相手よりも全力で向かってくる相手の方が良い)
また、問題も良質なものが364題も入っており、将棋倶楽部24の初段前後、または将棋クエストの三段前後の人ならば、1週間くらいは遊べると思います。(ただし、プレステ1で遊べる環境がないと遊べません)
なんにしても、1998年当時は最高の将棋ソフトだったと思います。ただし、初心者や初級者向けではありませんのでご注意下さい。(※対局相手としては初段を目指す人向け、問題の半分は有段者向け)
東大将棋と対局してみた
最後に私が東大将棋と対局した棋譜をドヤ顔で貼り付けておきます。
▲わたし
△東大将棋Lv5
将棋盤
0手

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