
対応機種 | スーパーファミコン |
---|---|
発売元 | ポニーキャニオン |
発売日 | 1993年10月29日 |
最高棋力 | 激指15の9級【26分/134手】 |
特記事項 | ・プロ棋士5名が実写で登場 ・次の一手50問収録 ・詰将棋50題収録 ・各棋士による講座有り |
※【】内は30局行った際の1局あたりの消費時間と手数の平均
目次
将棋風林火山とは
将棋風林火山とは、1993年10月29日にポニーキャニオンから発売されたスーパーファミコン用の将棋ソフト。
その構成は、同社よりファミコンで発売された「谷川浩司の将棋指南2」とよく似ているが、本作は実在の5人の棋士(神吉、林葉 小林健、塚田、谷川)が実写と音声を使って登場し、問題もパワーアップしている。
ただし、棋力の方はそれほどパワーアップしていない。
主な機能

「プロフィール」登場する5人の棋士のプロフィール
「対局」各棋士との対戦で、勝ち抜かないと次の棋士を選べない。
「次の一手」各棋士から10題ずつ全50題。全てを解き終えると棋力が判定される。
「詰め将棋」各棋士から10題ずつ全50題。
「講座」各棋士の得意戦法やとっておきの戦法が手短に解説されている。
「駒の選択」一字駒と二文字駒の二種類を選択できる。
将棋風林火山の棋力
棋力
2021年1月6日に棋力確認した時は、将棋風林火山の棋力を激指15の9級相当だと判断しましたが、それだと前作(谷川浩司の将棋指南3・ファミコンソフト)、前々作(谷川浩司の将棋指南2・ファミコンソフト)と同等の棋力で、そんなことがあるのだろうかと思い、再び棋力確認をやってみました。
将棋風林火山の対局モードで最後の棋士として登場する「谷川浩司」先生が、激指15のレーティング戦でどのくらいの点数を出すのか!?
結果は下の通り。
なお、普通にやると将棋風林火山の方は全く時間が足りず時間切れを起こすため、レトロフリークのオーバークロック機能を使用しました。
10級(600点)スタート

最終レート727点(9級)
最高レート727点(9級 50局目で到達)
対8級 0勝4敗0分(勝率0.000)
対9級 10勝12敗1分(勝率0.455)
対10級 17勝4敗1分(勝率0.810)
対11級 1勝0敗0分(勝率1.000)
この成績は、「谷川浩司の将棋指南2」「谷川浩司の将棋指南3」と比べて、ほとんど同程度の9級相当で間違いないです。
ユーザー玉の詰み発見に関しては「将棋風林火山」が最も長い手数を読むにもかかわらず、棋力が同程度になるのは不思議でもありますが、幾ら頑張って対局させてもそれ以上の結果は得られないと思いました。
なお、レーティング戦の成績表で居飛車しか使ってないのは、製作者サイドが谷川先生を居飛車しか使わないように設定してあるだけで、逆に振り飛車しか指さない先生居ます。
2021年1月の棋力確認(クリックで詳細表示)
将棋風林火山がの棋力を客観的に判断するため、激指15と対戦させてみました。
風林火山の方は最後に登場する谷川九段を模したAIで対戦させました。
■対戦結果
対激指15の10級 → 風林火山の8勝2敗【33分/156手】
対激指15の9級 → 風林火山の4勝6敗【28分/134手】
対激指15の8級 → 風林火山の3勝7敗【18分/112手】
※【】内は風林火山が1局で使った平均時間と、一局の平均手数。
以上の結果から、激指15の9級相当だと考えられます。
風林火山の方は最後に登場する谷川九段を模したAIで対戦させました。
■対戦結果
対激指15の10級 → 風林火山の8勝2敗【33分/156手】
対激指15の9級 → 風林火山の4勝6敗【28分/134手】
対激指15の8級 → 風林火山の3勝7敗【18分/112手】
※【】内は風林火山が1局で使った平均時間と、一局の平均手数。
以上の結果から、激指15の9級相当だと考えられます。
気付いたこと
●着手は比較的速い
指し手は比較的速く、序盤は5~10秒程度、中盤は10秒程度、終盤でも大抵は30秒以内で1分~3分ほど考えることも時々あります。ユーザー側が入玉しそうになると5分くらいを考えることもごくまれにありました。
基本的に着手完了までの時間は短いのですが、将棋指南2に比べると体感で1.5倍くらいの時間を使います。
●メジャー戦型の定跡手順が各戦法10~20手ほど入っている模様
各棋士の棋士が得意の戦型で戦うのはファミコンソフト「将棋指南2」と同じですが、将棋指南2では一目散に同じ陣形に囲っていたのが、風林火山では相手の指し手に応じて駒組みをするように各棋士に数パターンの定跡が入っているようです。(但し、パターン数は多くはない)
●7手詰め以下は見逃さない
相手玉が7手詰め以下になっていると、大抵は詰ますようです。将棋指南2が3手詰め以下ならば高確率で詰ましていたのに比べると、詰み部分に関しては随分と強化されていることがうかがえました。
●棋風はかなりの受け将棋?
相手陣へはなかなか攻め込みません。持ち駒が駒台一杯になっても、それを過剰なまでに自陣に打ちまくります。
●将棋指南2との比較
将棋指南2に比べると、詰将棋力は明らかに強化されているのですが、なかなか攻め込まないためユーザー側の玉がピンチになる確率は大して変わらず、そのためか、強化された詰将棋力も炸裂するチャンスは少なく、全体的な棋力は大して変わっていないのだろうと思いました。
また、将棋指南2が美濃や木村美濃など堅く囲ってたのに対し、風林火山の5人目(谷川COM)はたまに矢倉に囲うくらいで、それ以外は堅く囲いません。それも大して強くなってない原因のひとつだと考えられます。
ただし、風林火山の方が序盤でのコンピュータの指し手が多彩になっていることから、攻略するのは難しくなっているはずで、人間の体感では風林火山の方が強く感じられるかもしれません。
次の一手
5人の棋士から10題ずつが出題されているのですが、各問題は問題図から1手目・3手目・5手目を考える3つの小問(四択)で構成されています。
全50問を解き終えるとユーザーの棋力が判定されるのですが、これがかなりの難問揃い。
私と将棋ソフト激指15の回答結果を表にまとめておきます。
回答者 | 総得点 | 満点の数 | 棋力判定 |
---|---|---|---|
大吉 | 2850点 | 15問 | 二段 |
激指15 | 4160点 | 35問 | 県代表クラス |
※各問題100点満点で全50題
※激指の回答は、選択肢にある中で最も上位の候補手を選びました
■私の回答結果

■激指15pro+2の回答結果

基本的には、力作・良問揃いで、有段者ならば楽しめること間違いなしです。
ただ、古い定跡手順を問うもの(正解以外の他の手段も考えられそう)も多かったり、疑問が残る問題も幾つかありました。
例えば、私が0点とされた問題(神吉先生の第10問)ですが、問題図で即詰みがあるのだから、それが正解であることはわかりますよ。しかしですね、先手玉詰みなし後手玉受け無しの局面を作ってるのに0点はないでしょう。0点は(涙)
それはともかく、激指15が回答したものでは、結果図から後手玉が残り6手で詰み上がる局面になっているのに50点(塚田先生の第6問)にされているのがありました(他人事なので笑えました)
さらに、手順前後でも正解図と同じになるはずなのに片方は3手目で正解手が選択肢から消えて負ける手順しか選べなくなっている(塚田先生の第10問)なんてのもありました。
初めは昨今のソフトが正解とは限らないと思いながら遊んでましたが、上記のことを知ってからは、不備のある問題も幾つかあるのかもしれないと思わざるを得なかった次第(汗)
いろいろ書きましたが、基本的には力作・良問揃いで、塚田先生の問題では1手目から難しい手が必要で、5手目に鬼手が出てくるといった、これぞ次の一手のコンボみたいな凝った問題が数問あり、解いていてかなり楽しかったです。
ただ、全体的には難問が多く、有段の棋力がないと、心が折れそうな気はします。
いずれにしても、次の一手問題集としては、五段階評価で四以上だと思います。
詰め将棋
各棋士が詰め将棋10題ずつを出題しています。(全50題)
手数は1~13手詰めで、平均手数は7.8手。
ユーザーが攻め方を、コンピュータが玉方を動かす、対戦詰将棋形式です。
手数表示やヒントは無く、「〇分で△級」と目安が書かれているだけですが、それも全くあてになりません。(ぶっちゃけ、目安はテキトーとしか思えませんでした)
参考までに、私が1題に要した時間の平均や、正解率を各棋士の問題ごとにまとめておきます。
棋士名 | 平均手数 | 平均時間 | 正解率 |
---|---|---|---|
神吉 | 6.0手 | 10分23秒 | 90% |
林葉 | 7.4手 | 4分11秒 | 100% |
小林 | 8.2手 | 3分38秒 | 100% |
塚田 | 10.2手 | 7分36秒 | 100% |
谷川 | 7.4手 | 4分49秒 | 100% |
TOTAL | 7.8手 | 6分8秒 | 98% |
神吉先生の問題が一番上に表示されているので、普通はそこから解くと思うのですが、実は神吉先生の問題が最も難しいものが多いです。正確には簡単な問題と難問が入り混じっている、そんな感じです。
全50題を全体的に見ると、並よりやや難しい程度ではないでしょうか。
本当に各棋士の作品かどうかはよくわかりませんが(説明書にもその先生方が作ったとは書かれていない)、それぞれ作風の違いがあったような気はします。
例えば、小林先生の問題は合駒問題や打ち歩詰め回避の問題が多く、塚田先生の問題は邪魔駒消去の問題が多かったという感じです。
なお、谷川先生の第10問は入玉形の難問ですが、難問過ぎたのか、不詰の手順を入力したにもかかわらず、コンピュータが詰む方に逃げてしまうという裏技が発見されました。
手順は下に白字で書いておきます。(この真下をドラッグすると見えます)
手順 →▲34角△36玉▲46馬△27玉▲45角△16玉▲27銀△同歩成▲同角△同玉▲37龍△16玉▲17歩△25玉▲35龍△14玉▲24龍まで 10手目△同玉に代えて△17玉ならば不詰。
何はともあれ、詰将棋を好きな人ならば、満足できる50題だと思います。
総評

私はこのソフトを発売から2年くらい経って、中古ショップで買った記憶があります。
他のゲームソフトが1000円とか1500円で売られていたのに対し、このソフトは4000円以上の値が付いていたと記憶しています。対象がおっさんだから、その強気の値段でも売れていたということでしょうか。(買ったのは私でしたけど)
但し遊んだ記憶もあまりなく、小林先生の「〇〇ッチャ」というセリフがあるのと、私も似たような筋を考えたことがあった林葉先生の中飛車の講座くらいしか記憶にありません。
当時、推定で将棋倶楽部24の14級かそれ以下の棋力だった私がこのソフトに勝てていたのかどうかも、何せ25年以上前のことなので、全く記憶にありません。
実は次の一手や詰将棋があったことすら覚えてなく、当時の私の棋力では難し過ぎて、絶対に遊んでいなかったはずです。
さて、今回は25年ぶりに遊んだのですが、最初にやってみたのは各棋士との対局です。
参考までに初対戦では、
神吉COM → 46手
林葉COM → 56手
小林COM → 79手
塚田COM → 71手
谷川COM → 50手
でいずれも私が勝利しました。
ハッキリ申しまして、棋力は低いです。詰みを発見しない限りは容易には攻めてきません。しかし、大駒を金銀二枚換えするのは得だと知っているらしく、初めて見た時はやや驚きました。初心者を脱却した将棋ファンにはいい相手になるかもしれません。もっともこの時代の将棋ソフトの棋力としては、これが普通です。
一方、次の一手問題や詰将棋は完全に有段者向けです。このソフトと対局でいい勝負をしているようでは、全く手を付けられないレベルかもしれません。そう考えるとバランスは決して良くないのですが、コテコテの将棋ファンを楽しませる要素も有ったと言えます。
ともかく、実在する棋士達が画像と音声を使って登場したり、将棋問題をたくさん詰め込んでいたり、取説は通常のゲームソフトのものの3倍くらいの分厚さがあって、その中には将棋入門書的な内容が書かれていたりと、買った人をガッカリさせないための趣向は盛りだくさんで、製作者側からの誠意が感じらた作品です。
これより前にポニーキャニオンから発売されたファミコンソフト「谷川浩司の将棋指南2」「谷川浩司の将棋指南3」と棋力面では変わらないのですが、この「将棋風林火山」が将棋ファンとっては最も力作で、一番のおすすめ作品であるのはまちがいありません。
ただ、コンピュータの思考時間が一番長いのもこの「将棋風林火山」で、前作2作品と比べた時の唯一のウィークポイント。
レトロフリークのオーバークロック機能(処理速度を上げる機能)を使えば、解消できるという裏技もありますが、自分の手番の時にはそのモードを解除する必要もあり、慣れるまでは結構面倒臭かったりもします。
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