
対応機種 | PlayStation |
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発売元 | コナミ |
発売日 | 1998年3月26日 |
最高棋力 | 激指15の7級【93分/125手】 |
特記事項 | ・予測読み機能搭載 ・江戸時代の棋譜全22局収録 |
※【】内は48局行った際の1局における消費時間と手数の平均
目次
吉村将棋とは
吉村将棋とは「永世名人」を開発した吉村信弘氏が、思考部分を一から作り直した将棋ソフト。
本製品とは少し違うのかもしれませんが、第8回世界コンピュータ将棋選手権(1998年2月)で吉村将棋は予選上位クラス5位でした。
主な機能

「対局」COMのレベルは5段階。持ち時間は全て無制限。駒落ちも可。
「詰将棋」詰将棋を盤面に並べて、COMに解かせることが出来る。
「棋譜再現」江戸時代の棋譜や、セーブしておいた棋譜を再現できる。
「オプション」BGMの選択、棋譜読み上げや駒音の有無などを選択できる。
吉村将棋の棋力
棋力の検証
吉村将棋の棋力を客観的に判断するため、激指15と対戦させてみました。
吉村将棋の方は最高棋力である「レベル4」で対戦させました。
■対戦結果
対激指15の2級 → 吉村将棋の1勝7敗【約106分/140手】
対激指15の3級 → 吉村将棋の3勝5敗【約71分/100手】
対激指15の4級 → 吉村将棋の2勝6敗【約116分/147手】
対激指15の5級 → 吉村将棋の2勝6敗【約89分/126手】
対激指15の6級 → 吉村将棋の3勝5敗【約81分/114手】
対激指15の7級 → 吉村将棋の5勝3敗【約96分/132手】
※【】内は1局における消費時間と手数の平均
CDケース裏面に「“永世名人”とはひと味もふた味も違う」と書いていましたので、2~3級くらいはあるのだろうと予想し、2級から対戦させてみたところ、7級が相手でようやく引分以上の勝敗になりました。
気付いたこと
●11手詰め以下は詰ます?
相手玉が11手詰め以下になると、詰み逃したのは見たことがなかったです。ただし、5手詰めや7手詰めは1秒で見つけますが、11手になると10秒以上の時間が掛かっていました。
●振り飛車も指す
向かい飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車といずれに筋にも振っていました。しかし、振り飛車を選ぶ確率は1割くらいでしょうか。滅多に振りません。
●定跡手順を少しだけ知っている
定跡手順も少しは認識しているようです。ただし、長くても25手くらい。大抵は10手前後で認識している定跡手順から外れるようです。
●千日手を認識
同一局面4回出現で自動的に千日手引分にするところを確認しました。
●有利になると暴発する棋風
終盤入り口までは、激指15の3~4級とも互角に戦っていましたが、有利になると寄せ切る算段もないのに、飛車を切るなどして忽ち劣勢になる癖があります。
逆に少し悪くなると、時々、魂消るような駒捨てをすることもあるのですが、その点については、この時代の他のソフトも似たようなものかもしれません。
総評

私はこのソフトを1998年に購入しているのですが、遊んだ記憶はほぼありません。
私は1998年までに発売されたPlayStation用とNintendo64用の将棋ソフトの大半を購入していたのですが、その中で特に秀でた部分もないので、遊ぶ理由も無かったのだろうと思います。
既に発売されていた極、AI将棋、森田将棋や、NINTENDO64の最強羽生将棋の方が強いですし、そもそも同じコナミから1年以上前に発売された「永世名人2」と比べても強いとは思えません。
奇しくも発売日が同じだった柿木将棋2との棋力差は歴然で、当時の評価はどのようになっていたのか、興味深かったりもします。
使い勝手は「永世名人2」に比べると随分と向上していて、例えば「予測読み機能」については、「永世名人2」の時は指し手入力の際にいちいちCOMの許可が必要でしたが、吉村将棋ではそういう面倒は無くなりました。グラフィック面も前作よりやや綺麗になっています。
しかし、選択できるBGMが「永世名人2」と同じであるのは良いとして、収録されている古棋譜が「永世名人2」と全く同じというのは、少し芸がない気もします。
ところで、永世名人シリーズは、1990年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝しているのですが、それ以降は毎年少しずつ順位を落としていたようです。
このソフトが発売される1ヶ月半前の1998年2月に行われた第8回大会だけは「吉村将棋」のプログラム名で出場しているのですが、惜しくも予選順位1つ差で本戦入りを逃しています。
そして次の年からは「永世名人」のプログラム名に戻しており、そこから数年間は本戦入り(ベスト8以上)しており、強豪の一角に復活しています。「吉村将棋」を境に、制作者サイドに何らかの動きがあったのだろうと思いますが、推測の域を超えません。
商品説明に「思考部分を一から作り直し」と書かれていたので、この作品の時には既にもっと強い将棋ソフトを作ろうとする気概があったことは確か。
話を戻しますが、興味深く思ったのは、消費時間を平均90分以上使うレベル4と、平均10分弱しか使わないレベル1の棋力差がせいぜい1級(100点)程度しかないことです。
何気にレベル1と遊んでみたら、レベル4の強さと大して変わらない気がしたので、レベル1で激指15のレーティング戦を戦わせたところ、8級で落ち着きました。(ちなみにレベル4の指し手の強さは推定7級)

↑800点スタート(※激指15の成績表)
将棋ソフトで遊ぶ際は、その最強レベルを倒そうとする努力に醍醐味はあるのですが、このソフトの場合は最強レベルと大して強さの変わらないレベル1を相手に遊ぶのが、ストレスも少なく、効率の良い練習対局のやり方になるのかもしれません。
役立つ情報にもなり得るかもしれない新発見だと思います。
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