第79期名人戦七番勝負第1局の感想

プロ棋戦
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4月7日・8日に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われた第79期名人戦七番勝負第1局(渡辺明名人vs斎藤慎太郎八段)は、179手で斎藤慎太郎八段が勝ちました。

第2局は4月27日・28日に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われます。

■動画(YOUTUBE ABEMA公式)
https://youtu.be/qyLpr78NT8g

目次

感想


斎藤八段が先手で相矢倉となった第1局。

渡辺名人の60手(封じ手)は△52金。

前日から候補手のひとつとして普通に挙がっていた一手。

後手番で悪くない局面なのだから、普通の手以外を指す理由もない気はします。

その後、渡辺名人は堂々と得意の穴熊に囲い、斎藤八段の方は相手の防御力が強化されているのが分かっていても手出しできない状況で、2日目は完全に名人ペースになっていました。

夕食休憩の97手の局面は斎藤八段の先手玉だけが終盤戦になっていて、名人の方はほとんど手付かずの穴熊で、加えて持ち時間も斎藤八段が1時間を切っていて、名人は2時間くらい残している状況。ついでにAbemaの将棋AIも渡辺名人の75%。

どう考えても渡辺名人の必勝パターンで、夕食休憩後、しばらくしたら終わるだろうと思っていました。

ところが、斎藤八段は決め手を与えない不屈の指しまわしで、20時になっても、21時になっても終わらない。手数は130手になっても140手になっても終わらない。(※プロ将棋の1局平均は120手くらい)

それどころか、140手では遂に後手玉に王手が掛かり、あり得ないはずの逆転に、ひょっとするとの思いが脳裏を掠め、平常にはないドキドキする感情を伴い、対局盤面に引き込まれる如く目を離せない状況がそこにありました。

斎藤八段は待望の反撃開始も猪突猛進することはなく、1分将棋の中でもこれまでの粘りを無駄にしない、自玉の寄りと相手玉の寄りの正確な手数計算が為された、攻めるべきは攻める、守るべきは守る絶妙の指しまわしで、160手を越え170手に達する頃には逆転が現実のものとなり、盤上に顕れていました。

渡辺名人がそれほど悪い手を指したわけでもないのですが、斎藤八段の不屈の粘りが奇跡を呼んだ、まさにそんな感じだったと思います。

月並みではない、名人戦に賭ける棋士の想いが伝わってくるような、斎藤八段の素晴らしい指しまわしがあった名人戦開幕局でした。

開幕前は名人有利の声が多かったみたいですが、挑戦者が先勝したことで、観る側と致しましては七番勝負がかなりおもしろくなってきたように思います。


AI将棋


第79期名人戦第1局
※青色はGPSfish、赤色は水匠3
※AIの判断が正しいわけではありません。

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コメント
  • 2021/04/10 20:42
    名人戦第一局観戦、お疲れさまでした。
    終盤まで勝勢だった渡辺名人は痛い敗戦でしたね。後手番ということもあってか、中盤まで先手の攻めを受けきる戦略にもみえました。大事な初戦ですが、何となく気鋭の斎藤八段の攻めや読み筋を見極める対局・・・というのは考え過ぎでしょうか。

    斎藤八段は意外な?粘りを発揮しました。
    番勝負に強い名人が一敗して、次局からの勝負の行方が興味深くなってきましたね。
  • Re:
    2021/04/11 15:50
    今の20代、30代の棋士が渡辺名人に番勝負で勝った前例がないだけに、第1局は挑戦者側にとってとても重要な一局だと思っていました。斎藤八段が先勝したことで、七番勝負はかなりおもしろくなってきたと思います。
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