香川愛生とふたりで将棋
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対応機種 | Windows |
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発売元 | シルバースタージャパン |
発売日 | 2020年10月30日 |
最高棋力 | 激指15の四段【早指し】 |
特記事項 | ・香川女流四段の画像、音声、動画有り
・思考は銀星将棋 |
目次
香川愛生のふたりで将棋とは

香川愛生女流四段が企画・原案・出演、ゲームクリエイターである蛭田健司氏がプロデュースを務めたWindows用の将棋ソフト。2020年10月30日にシルバースタージャパンより発売され、2021年3月25日にはNintendoSwitch版も発売されました。
なお、香川女流四段は屈指の人気女流棋士。現時点では、大勢居る将棋系ユーチューバーの中でも登録者数はダントツの一番。将棋の実力も女流王将を二期獲得したほどで、将に人気・実力を兼ね備えた女流棋士。
蛭田健司氏はセガでサクラ大戦シリーズ、コーエーテクモで無双シリーズなどに携わったキャリアを持つゲームクリエイター。
主な機能
「通常対局」COMのレベルは入門から四段までの16段階。手合割、持ち時間の設定可。「将棋道場」得意戦法を持つキャラクターとの対戦。
「将棋教室」駒の動かし方などの将棋の基本を香川女流四段が動画で解説。
「ペア将棋」香川女流四段とペアを組み、時々会話するキャラクター達と対戦する。
「詰将棋」1~11手詰全100問が収録されている。
香川愛生とふたりで将棋の棋力
私が強い、強くないと書いても私以外の人には通じませんので、誰にでも分かるように激指15のレーティング戦で対戦させてみました。香川愛生とふたりで将棋の方は最高の四段で戦わせてみました。
三段(2000点)スタート

最終レート 2179点(四段)
最高レート 2263点(四段+)
対四段+ 6勝11敗0分(勝率0.353)
対四段 7勝6敗0分(勝率0.538)
対三段+ 13勝3敗0分(勝率0.813)
対三段 4勝0敗0分(勝率1.000)
上の結果から、激指15の四段相当だと思われます。
四段+にも昇段したのですが、その期間は50局中2局の間のみで、四段+には大きく負け越していることなどからも、棋力は激指15の四段とすることが妥当だと考えます。
詰将棋について
1~11手詰め全100題が収録されており、ユーザーが攻め方を、COMが玉方を指し進める対戦詰将棋の形式になっています。私(将棋倶楽部24の二段、将棋クエスト10分の四段)の回答結果は以下の通り。
項目 | 問題数 | 平均時間 | 正解率 |
---|---|---|---|
1手詰 | 6問 | 6秒 | 100.0% |
3手詰 | 26問 | 20秒 | 100.0% |
5手詰 | 19問 | 57秒 | 94.7% |
7手詰 | 13問 | 1分29秒 | 100.0% |
9手詰 | 14問 | 6分36秒 | 92.3% |
11手詰 | 22問 | 15分33秒 | 90.9% |
TOTAL | 100問 | 4分49秒 | 96.0% |
7手詰めまでは少し難しい問題が時々出てくる程度で、サクサク解き進めていたのですが、9手詰頃からは難問集に変わっていて苦戦の連発で心が折れそうになりました。
特に11手詰めは半分近くが中段玉又は入玉形で、30分以上を考える問題が続出するので、これは私の棋力が至ってないことだけが原因ではなく、問題が難しいのだと確信して調べてみたところ、11手詰めの大半は詰将棋作家の村山隆治氏の作品のようです。
まあ、このくらいは解き上げるファイトがないと、ゲーム内の香川女流四段(CPU四段)には勝てないとは思います。
あと、どうでもいいことですが、第96問はCOMが早詰みの方に逃げます。どうでもいいのですが、ちゃんと解いた証として書いておきます。
ペア将棋とは
ペア将棋はユーザーがこのゲームで最強の香川愛生女流四段とペアを組み、総勢7名・ペア数6組のキャラクターたちと対戦するモード。今までの将棋ソフトには無かった斬新なモードで、「将棋教室」と並ぶこのゲームソフトのメインコンテンツではないのでしょうか。
最初のペアは弱く設定されていますが、勝つたびに強いキャラが登場します。
私も当然ながら遊んでみたのですが、プレイする前はコンピュータの力を借りながら指すことに抵抗もありました。私には将棋というものは自分一人の力で指すものだという頑なな信念があるからです。
しかし、よくよく考えると相手はコンピュータであり、誰かに迷惑を掛けているわけでもなく、ただの斬新なアイデアのあるゲームであることに気付いた次第。
それで、私の場合、初手▲56歩と指すのですが、コンピュータは中飛車には追従して来ることはなく3手目▲48銀と指すため、5手目では「邪魔するな!」とか言いながら▲39銀と元の位置に銀を戻す必要があり、コンピュータとペアを組むことがむしろハンデ戦になっていたりします。
とはいっても、コンピュータの詰将棋力は人類を超越しており、香川先生の「逃しませんよ!」という音声と共にバシッという効果音が聞こえてくる時には、その局面に詰みがあることが分かるため、終盤では超強力助っ人になっていたりはします。
実際、ストーリーモードはまだ2周しかしてないのですが、序盤は上述のように滅茶苦茶なことになっているにもかかわらず、終盤での香川先生の威力が絶大であるため、未だ負けたことがありません。
ところで、登場するキャラクターには「永世乙女の戦い方」のキャラが登場していたりして、これまでの将棋ソフトに登場したキャラに比べると、キャラへの力の入れ方がなんだか本格的なものに思えました。
ちなみに、最初に登場するキャラは男の子ですが、実は香川先生の少女時代がモデルであることは、ファンには説明の必要もないところでしょうか。
総評

このゲームソフトのコンテンツは上に書いた通りですが、どれがメインコンテンツなのかがわからないくらい、どれもが力作揃いだと思いました。
これまでの将棋ソフトには無い斬新なものは「ペア将棋」と「将棋教室」です。
「ペア将棋」は上に書いた通りですが、「将棋教室」の方では香川先生が動画で登場。
内容は駒の動かし方をメインに基本ルールを解説しているだけなので、完全に初心者向けのコンテンツなのですが、女流棋士が動画で登場するというのは、これまでの将棋ゲームには無いこのソフトならではの特長。
囲碁の方では25年くらい前にプレステで梅沢由香里さんが登場する「平成棋院」というソフトで、「将棋教室」に似たようなコンテンツがありました。
どちらも背景は真っ白で、ゲーム作成という点においてはその方が都合が良いのだろうと、素人なので勝手に推測していたりします。
それにしても、将棋はなにゆえ、囲碁より25年近く遅れていたのか、自分一人で考えても結論が出るはずも無いことを途方に暮れながら考えてしまった次第。
それはさておき、この「香川愛生とふたりで将棋」では、画面が切り替わるたびに香川先生が「ファイト!」などの声を掛けてくれたり、音楽や画像などに女子力が漂っていたりと、これまでの将棋ソフトには無い細かい演出があり、ゲームを盛り上げてくれます。
難点はAIの棋力が研究用として使うレベルに達してないことと、保存した棋譜が他のソフトで読み込めないこと、その2点のみ。
AIの棋力というのは、それが五段クラスくらいになってくると、強ければ良いとは一概には言えません。
研究用として使う場合は強いに越したことはないのですが、練習用として使う場合においては、強過ぎてプロでも絶対に勝てない代物はタダのクソゲーに過ぎません。
誰も勝てないゲームは、誰も遊びたいとは思わないただのクソゲーです。
このソフトの場合は練習用として、限りなく最適に近い強さだと思います。
将棋倶楽部24で五段だったBonanza1.0よりも少しだけ強いわけで(当時の24の五段には県代表経験者が何人も居ました)、その総合棋力は県代表クラスの中でも少し強い部類といったところでしょうか。
なにせ、香川先生がそのYOUTUBE動画でこのソフトと10秒将棋で対戦していたのですが、いい勝負にはなっていたものの、勝ち切ることが出来なかったくらいですから。
もっとも、後日にSwitch版の方で持ち時間無制限でやって、その時は一方的な展開で勝っていましたが、対局後の喜びようからも、このソフトの強さが結構なものであることが分かりました。
県代表クラスの腕前があれば、勝ち越せるかどうかは別にして、普通に勝つことはできるはずです。なにせ、私でも時間無制限でやれば4~5回に1回くらいは勝てますから。
なお、このゲームの最強キャラである香川女流四段は、ペア将棋のストーリーモードをクリアしなければ、対戦出来ません。クリアすると将棋道場の方に登場します。
ただ、クリアしなくとも「通常対局」の方で四段が香川先生の中の人(COM?)のはずで、その強さを堪能することは出来ます。(香川先生に勝利した棋譜を保存したら、対戦相手の名前が「CPU四段」に変わってました)
それでも「通常対局」の四段と違って、「将棋道場」の香川先生は音声で話しかけてきますので、香川先生との対局の方が盛り上がるのは事実。
形勢によって台詞が決まっているようですが、激指の評価値で500点くらいでもとても悲観的なセリフを言ったりするので、その内容を信用してはいけません。
逆に互角と思っている局面でもこちらが絶望のようなセリフを言ったりして、香川先生の台詞に振り回されることなく、最後まで油断することなく、自分を信じて指し続けることが肝要(笑)
相手は県代表クラスの強さがあるだけに、一手一手に神経を尖らせて最善を積み重ね、勝利へたどり着いた暁には、きっと大きな喜びがあると思います。
ところで、こそっと書きますが、保存した棋譜を他の将棋ソフトで読み込めないことは、将棋ソフトとしてはかなりのマイナスポイント。
一応、棋譜解析は付いてますが、このソフトくらいの強さだと私程度でもその形勢判断に疑問を持つことは少なくなく、激指や昨今の最強ソフトの判断を仰ぎたいケースが多々あります。
その際は棋譜を激指などの盤面に手打ちで入力する必要がありとても不便なのです。
短所はそのくらいで、他は全体的に素晴らしく作り込まれた将棋ソフトだと思います。
私はゲームとしての将棋ソフトは、もはや強さを求める時代は終焉しており、アイデアが求められる時代だと考えています。
そういう意味でこの「香川愛生とふたりで将棋」は、将棋ソフトの可能性を示した作品のような気がします。
個人的にはこれまで銀星将棋で遊んだことがなかったこともあり、押さえておいて良かったと思う一本でした。
最後に私が「将棋道場」で香川女流四段から2勝目を挙げた棋譜を掲載しておきます。(通算は3勝12敗)
▲大吉
△香川com
△香川com
将棋盤
0手
香川愛生とふたりで将棋
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