1枚の画像と簡単なコメントを追加しただけですが、その画像(成績表)を得るためには1局20分前後掛かる対局を100局も繰り返えさなければならない、根性と時間を必要とする作業であったことも書いておきます。

対応機種 | Windows |
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開発者 | Team GPS |
公開日 | 2013年8月31日 |
棋力1 | 激指15の六段+【1手約3250K局面探索】 |
棋力2 | 激指15の七段【1手約7300K局面探索】 |
特記事項 | WCSC23で使用されたバージョン |
※棋力測定で使用したGPS将棋の正式なエンジン名は、GPSfish 0.2.1+r2837 gcc 4.8.1 osl wordsize 32 gcc 4.8.1 64bit
更新履歴(クリックで詳細表示)
2021年07月11日 記事初公開
2021年07月28日 激指15R戦 1手約7300K局面探索を追加
2021年07月28日 激指15R戦 1手約7300K局面探索を追加
目次
GPS将棋とは
GPS将棋とは東京大学大学院文化研究科の教員・学生が開催しているゲームプログラミングセミナー(Game Programing Seminar)のメンバーが中心となって開発した将棋ソフト。
世界コンピュータ将棋選手権には、2001年に「TECC 1」のソフト名で初参加。2003年からはGPS将棋のソフト名で出場し、2005年の大会で初めて本戦入り(8位)。2009年に初優勝。2012年に二度目の優勝。
2013年に行われたプロ棋士vsコンピュータの企画・第2回電王戦ではコンピュータ側の大将として登場し、東京大学にある約670台のパソコンを連結して、A級棋士だった三浦弘行八段(当時)に挑み、勝利しました。その時をコンピュータ将棋が人類を超えた瞬間と位置付ける将棋ファンも多いようです。
なお、この記事で扱う「GPS将棋」は、その第2回電王戦の2週間後に行われた第23回世界コンピュータ将棋選手権で使用されたものとほぼ同じバージョン。
主な機能
GPS将棋はそのホームページで無料公開されているプログラムを「将棋所」や「ShogiGUI」というソフトを使って動かします。
「将棋所」や「ShogiGUI」も無料でダウンロードすることが出来て、それらには対局機能の他、検討モードや棋譜解析機能も付いてます。
GPS将棋の棋力
棋力の検証 1手約3250k局面探索の場合
GPS将棋はどのくらい強いのか。
激指15のR戦を対局させることで、その強さを測定してみました。
■1手5秒(1手約3250k局面探索)の場合
五段(2400点)スタート
※NPS=平均約650K程度

最終レート 2667点(六段+)
最高レート 2756点(七段 70局目で到達)
対七段 5勝4敗0分(勝率0.556)
対六段+ 13勝18敗0分(勝率0.419)
対六段 21勝16敗0分(勝率0.568)
対五段+ 13勝5敗0分(勝率0.722)
対五段 4勝0敗0分(勝率1.000)
対四段+ 1勝0敗0分(勝率1.000)
六段に滞在していた期間が最も長いのですが、瞬間的とはいえ七段まで昇段していますし(2局の間のみ)、六段+相当とするのが妥当のように思われます。(参考までに六段+に滞在していた期間は33局)
棋力の検証 1手約7300K局面探索の場合
■1手10秒(1手約7300K局面探索)の場合
五段(2400点)スタート
※NPS=平均約730k程度

最終レート 2736点(六段+)
最高レート 2817点(七段 83局目で到達)
対七段+ 0勝4敗0分(勝率0.000)
対七段 10勝12敗1分(勝率0.455)
対六段+ 23勝13敗0分(勝率0.639)
対六段 13勝7敗0分(勝率0.650)
対五段+ 5勝3敗0敗(勝率0.625)
対五段 8勝0敗0分(勝率1.000)
対四段+ 1勝0敗0分(勝率1.000)
100局目を負けて、最後は六段+に降格していますが、その直前までは29局連続で七段に滞在していました。したがって、このGPSfishを1手約7300k程度の探索局面数で対局させると、激指15の七段相当の棋力になることが分かりました。
参考までに対局後のレート100局分の平均は
1手5秒(1手約3250k局面探索)→2610.56
1手10秒(1手約7300K局面探索)→2669.75
最高レートは
1手5秒(1手約3250k局面探索)→2756
1手10秒(1手約7300K局面探索)→2817
となっています。
なお、1手5秒の時も1手10秒の時も使っているパソコンは同じで、設定も持ち時間以外は同じです。1手に掛ける時間を長くするとNPS(1秒間での探索局面数)は増えるようです。
GPS将棋について知っていること
ところで、2013年の第2回電王戦のプレ企画「GPS将棋に勝てたら100万円」の際に、当時のハイスペックノートPCで動かしていたGPSfishのNPSが、持ち時間15分(秒読み30秒)の条件のもと、760kであったことが確認されていることも書いておきます。
それから、第2回電王戦で三浦八段(当時)と対局した690台のパソコンを連結したGPS将棋は、1秒間に2億7000万局面を探索していたらしいです。
しかし、その2週間後に開催された世界コンピュータ将棋選手権でも大規模クラスタで参加していたGPS将棋は、激指と1勝1敗で、最終成績もGPS将棋が3位、激指が4位と同じくらいでした。ちなみに、その年に発売された激指(激指13)の最高棋力は七段+です。
気付いたこと
GPS将棋を激指と対戦させていた時に、幾つか気付いたことを書いておきます。
●優勢でも水平線効果?
GPS将棋は自らが有利、優勢と判断している時でも、指し手が難しい時は水平線効果(=コンピュータが負けを自覚している時に、自玉の詰みを先延ばしするために駒のタダ捨てなどを繰り返す現象のこと)をやるようです。
具体的には有利、優勢と判断している局面であるにもかかわらず、歩を打っては成り捨てるを繰り返し、歩を5枚も6枚も渡して、みるみるうちに形勢が互角に戻っていくのを何度も目撃しました。これは他のソフトでは見た記憶がありません。
●入玉に弱い?
これは当時の将棋ソフトの全部に当てはまることですが、相手玉の入玉に対してはやや軽視している傾向があります。上に逃げられることを軽んじて、大逆転を喰らっている対局を何度も目の当たりにしました。
総評

GPS将棋といえば、第2回電王戦(2013年)での東京大学が所有する690台のパソコンで巨大クラスタを組んだ、あの時のインパクトが強烈。
1台のパソコンで動かしても超絶強いことは、第2回電王戦「GPS将棋に勝てたら100万円」で証明されていました。大勢のアマ強豪が挑戦しましたが、当時最新のGPSfishに勝てたのは70~80人中1人だけ。(※その企画では他にも2名の方が勝ったのですが、その時使われていたのはGPSfishではなく、少し古いバージョンのGPS将棋)
ところで、2011年に公開されたBonanza6に勝ち越せる人間が存在するのかどうかは、未だに聞いたことありませんが、今回の検証に用いたGPSfishはBonanza6よりもさらに150点(7勝3敗ペース)くらい強いらしいです。
つまり、激指15のレーティング戦で、初見から100局程度をやって、七段に到達することは、アマチュアだとほとんど不可能に近いということになりそうですが、どうなのでしょうか?
それはそうと、現在はGPS将棋の公式サイトにはアクセスできないような・・。
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