将棋レボリューション激指11(Windows)

将棋ソフト
gekisashi11-1.jpg

対応機種Windows
発売元マイナビ
発売日2011年12月23日
最高棋力激指15の六段+【早指し】
特記事項・棋譜読み上げは矢内女流と岩根女流
・棋力分析を初めて実装
・六段を倒せ!!実戦編を初めて搭載

目次

激指11とは


強い相手と対戦することは将棋の上達に欠かせません。そうはいっても、「激指(六段)」は、普通のアマチュアにとってはかなりの難敵。負けてばかりでは嫌になってしまいます。「六段を倒せ!実戦編」では、人間側が有利な局面から「激指(六段)」を相手に戦い、勝利を積み重ねることで、強い相手にも逆転を許さない本格的な指し回しを身に付けていただけます。今作では、思考エンジンの強化に加えて、級位レベルの拡充、レーティング戦での棋力分析機能など、将棋の上達に役立つ機能がさらに充実しています。

引用元:パッケージ裏面より

主な機能


【通常対局】COMのレベルは14級~六段+までの26段階。
【レーティング戦】COMとの対局を繰り返すことでユーザーの棋力が数値化される。
【女流と七番勝負】女流棋士と平手や駒落ちで七番勝負。
【キャラクターと対局】個性的な棋風を持つ激指オリジナルキャラクターと対局。
【指導対局】COMによる指導対局。好手や疑問手が出るとCOMが小窓で教えてくれる。
【次の一手バトル】週刊将棋に掲載された次の一手問題全100問を収録。
【詰棋バトル】週刊将棋に掲載された3手詰・5手詰全108問を収録。
【実戦詰将棋道場】詰みのある局面1000問を激指を相手に指し継ぐ。
【六段を倒せ!実戦編】優勢の局面1000問を激指六段を相手に指し継ぐ。

激指11の棋力


棋力の検証


激指11の最高棋力六段+が激指15の何段に相当するのか、激指15のレーティング戦で対戦させてみました。

五段(2400点)スタート
gekisasi11-2.jpg

最終レート 2689点(六段+)
最高レート 2728点(六段+ 79局目で到達)

対七段  0勝13敗0分(勝率0.000)
対六段+ 17勝17敗1分(勝率0.500)
対六段  28勝7敗0分(勝率0.800)
対五段+ 9勝1敗0分(勝率0.900)
対五段  5勝1敗0分(勝率0.833)

上の結果から、激指11の六段+は激指15の六段+と同棋力であることが分かりました。

六段には高勝率である反面、七段には一発も入らなかったのは不思議でしたが、ありのままの対戦結果です。

気付いたこと


●定跡手順から抜け出た直後に優劣?
時々、激指11が定跡と認識している手順を抜け出た直後に相手側優勢と判断することがあります。逆に激指11が優勢になっていたというのは見ませんでしたので、激指15ではコンピュータが不利になる定跡は極力カットされているということでしょうか。

詰将棋バトルについて


gekisashi11-3.jpg

ユーザー側が攻め方を持ち、コンピュータが玉方を持つ対戦詰将棋108題が収録されています。問題図は週刊将棋に掲載された3手詰・5手詰併せて108題。

私が解いた結果を表にまとめてみました。

項目手数問題数平均時間
レベル13921秒
レベル23931秒
レベル3391分13秒
レベル4391分18秒
レベル53957秒
レベル6391分16秒
レベル75935秒
レベル8591分25秒
レベル9594分11秒
レベル10591分35秒
レベル11592分35秒
レベル12591分42秒
TOTAL-1081分28秒

※正解率は100.0%でした

巧い手順を発見しないと解けない中段玉の問題がズラッと並んでいます。(少ないが下段玉もある)

手数は短いのですが、結構難しい。浦野先生の「5手詰ハンドブック」に手古摺っているレベルだと、3手詰はともかく、5手詰めの方は大苦戦必至。

「5手詰パラダイス」など、パラダイス系を好きな人ならば、きっと満足できる108題だと思います。

全108題を解いた暁に、「女流棋士クイズ」なるものが出現した時には、その遊び心に喜びました。

クイズの内容は矢内女流や岩根女流の大ファンでない限り、正解出来るとは思えないものばかりで、発売から10年が経過した今となっては正解も変わっているかもしれません。(興味あるものとか、好きな食べ物とか、そういう類の問題)

そういう遊び心自体は好みです。

次の一手バトルについて


週刊将棋に掲載された次の一手問題100問が、級位者コース、有段者コースに分けて収録されています。

問題を解くたびに持ち点が増減するレーティング戦方式になっていて、級位者コースの方は問題図から次の一手を着手するだけですが、有段者コースの方は問題図から激指を相手に指し継いで勝ち切らなければ正解にはなりません。

有段者コースの方はコンピュータが鋭い手を返してきますので、次の一手を見つけることが出来ても、勝利までたどり着けないなんてことはよくあること。

級位者コースの方は簡単な問題もあるものの、ノーヒントであることや、結構難しい問題も多く、「級位者コース」というネーミングが正しいのかどうかは微妙。

私が級位者コースを解いてみた結果は下の通り。

gekisasi11-4.jpg

38勝12敗で2級と判定されました。初段者コースくらいのネーミングが適正だったかもしれません・・。(選択肢形式なら、級位者コースかもしれませんけど)

あと、問題番号48の正解が気になります。問題図は最終盤の局面で、やねうら王とかで検討させても後手優勢になるものですから(汗)

総評


私はこの激指11を発売日に購入しました。

当時のことでよく覚えているのは、ネット上のあちらこちらで激指11を下げるコメントが頻発していたことです。

主に激指11を「弱い」とする内容で、アマチュアで激指11に勝ち越せる人なんてほとんど居ないはずなのに、一体全体、激指11を使う目的は何なのか、謎が謎を呼ぶ状況がありました。

オープンソースだった「Bonanza6」と比較して激指11を下げる意見が最も目についたのですが、慥かに強さは同じくらいでしたが、「Bonanza6」はただ強いだけで遊べる機能があるわけでなく、それと比較して激指11の方を下とするのは、本当に激指11を持っているのかどうかを疑いたくなる、不当な評価にしか見えませんでした。

激指10と比較して下げるコメントも結構あって、そちらの方はまだ耳を傾ける価値がありました。確かに激指10と激指11の最高棋力は同じ六段+で、内容も大して変わらないのだろうから、不満も出たかもしれません。

私くらいの将棋ソフトフリークになると、将棋ソフトというものは、1年越しくらいでのバージョンアップでは、強さは大して変わらないというのは半ば常識です。それを知らなかったことが分かるコメントですが、それはそれで、激指10を持っている人には有益な情報になっていたとは思います。

それでも、激指10ではコンピュータのレベルが15段階だったのが、激指11では26段階になっており、そのことは「レーティング戦」機能を劇的におもしろくした大改善でした。

それまでの激指のレーティング戦は、例えば「2級」に苦戦しながらも、ようやく「初段」が現れたかと思いきや、その対局に敗れるとまた「2級」や「4級」を相手に3~4連勝しないと「初段」が現れないという状況がありました。

言い換えると自分よりもほんの少しだけ格下ばかりを相手にさせられる展開になりがちで、これは向上心を持って挑んでも格下とばかり当てられて、やる気を削がれる状況になりやすく、いまいちおもしろくありませんでした。

しかし、激指11からは対戦相手の棋力がより細かく分けられたことから、「初段」に負けても次の対局は「1級」が相手で、自分と同じくらいの棋力の相手との対局ばかりになり、レーティング戦機能が格段におもしろい方向に進化したと思います。

やっぱり、将棋ソフトは対局をメインに遊ぶことが出来る代物が一番です。もちろん、強くて検討モードに信頼をおけることも同じくらい重要なのですが、その両輪が揃って初めて良ソフトと言えるものになるのではないでしょうか。

そういうわけで、ネット上では解せない情報が飛び交っていましたが、実際のところは激指11が発売された当時は、将棋ソフトにおいては激指11が最もな良ソフトであることは間違いのないところだと思います。

なお、激指11は発売から2年後に「最強将棋 激指スペシャル2」というタイトルで、所司和晴先生が書いた定跡本の付属CDという形となり、定価3,990円のお買い得価格で再登場したのですが、amazonレビューでは高評価ばかりでした。やっぱり、2011年末の初登場時は、何かがおかしかったのだと思っています。

もっとも、激指11に限らず激指シリーズが有段者向けのソフトであることは否めません。収録されている詰将棋や次の一手問題は結構難しいですし、コンピュータの級位レベル下位の方は、あり得ない駒捨てで強さを調整している感じで、級位の人はあまり楽しめないのではないかという気はします。

反面、有段者にとってはコンピュータの有段レベルは人間に近い指しまわしを実現しています。ときどき、物凄く鋭い一手や、その段位ではあり得ない詰み筋の発見などもやってきますが、基本的にはよく出来ています。

まあ今となっては、激指11にある機能は全て激指15にグレードアップした形で備わっているため、激指11を探し求める必要はありません。棋譜読み上げは矢内先生や岩根先生がいいという人も、激指13の廉価版で遊んだ方が絶対に良いです。コレクターや、アマ日本一を本気で狙っている人は練習相手になるかもしれませんので、止めませんけど。(今のパソコンで動くかどうかは受け合いません)

関連記事
記事タイトルとURLをコピーする

コメント
コメント投稿

トラックバック