
対応機種 | Windows |
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開発者 | 保木邦仁 |
公開日 | 2011年5月9日 |
棋力(1手10秒) | 激指15の六段 |
棋力(1手20秒) | 激指15の六段+ |
特記事項 | ・無料公開された最後のBonanza ・2011年の世界コンピュータ将棋選手権2位 |
※対局の際のBonanza6.0のNPSは初手▲18香の局面で1760kN/sec
目次
Bonanza6.0とは
Bonanza6.0とは、2011年5月に開催された第21回世界コンピュータ将棋選手権で2位の成績をおさめた将棋ソフト。17台132コア(メモリ320GB)のコンピュータで出場していた。当然ながら、1台のパソコンで動かしても強い。30秒将棋ならば、優にプロレベルに達していたと思われる。
Bonanzaは新しいバージョンが登場するたびに、保木氏のホームページで公開され、無償でダウンロードすることが出来たが、Bonanza6.0を最後に更新されることはなかった。
現在はそのホームページも閉鎖されているが、Bonanza6.0は「窓の杜」にて無料でダウンロード出来る模様。
主な機能
コンピュータとの対局以外に、これといった機能はない。
レベル調整はコンピュータの1手に使用する時間で行うことになるが、Core2Duoなどの古いPCで1手1秒に設定しても、アマ四~五段以上の強さがあったものと思われる。
当時は「MyBona」という有志が作ったアプリを使って、Bonanzaを動かしていたが、それをダウンロードできるサイトは今は存在しない。しかし、今は「将棋所」や「ShogiGUI」というアプリで動かすことが出来る。(その際は「Bonanza6.0」以外に「Bonadapter」というプログラムが必要になる)
将棋所やShogiGUIで動かすと、Bonanza6.0を使った検討モードや棋譜解析機能が可能となる。

Bonanza6.0の棋力
棋力の検証
激指15のレーティング戦機能を使って、Bonanza6.0の棋力を客観的に検証してみました。
Bonanza6.0側は10秒将棋。(但しBonanzaはどういうわけか11秒使う)
NPSは初手▲18香車の局面で1760kN/sec
五段(2400点)スタート

最終レート 2669点(六段+)
最高レート 2680点(六段+)
対六段+ 9勝20敗1分(勝率0.310)
対六段 31勝15敗1分(勝率0.674)
対五段+ 8勝6敗0分(勝率0.571)
対五段 8勝1敗0分(勝率0.889)
最終的には六段+になっているのですが、六段+に推移したのは100局中7局だけで、六段+にも大きく負け越していることなどから、Bonanza6.0の棋力は激指15の六段相当と考えるのが妥当でしょうか。
激指11との強さの比較
当時は無償でダウンロードできるBonanzaと市販の激指のどちらかが最強で、特にBonanza6.0とその半年後に発売された激指11はどちらが強いのかの論争は尽きませんでした。
ネット上ではBonanza6.0の方が圧倒的に強いと言わんばかりのコメントで溢れていたのですが、当時から私のPC上では、互角の勝敗の結果しか得られませんでした。
今回、約10年ぶりに再検証してみることにしました。
まず、直接対決を行ってみました。
■激指11(無制限)vs Bonanza6(1手10秒)
激指の総消費時間の平均:10分12秒
BONAの総消費時間の平均:11分01秒
結果→激指11の9勝1敗
■激指11(無制限)vs Bonanza6(1手20秒)
激指の総消費時間の平均:6分26秒
BONAの総消費時間の平均:16分54秒
結果→5勝5敗
やねうら王の開発者が、そのブログでやねうら王と激指のフェアな対戦のやり方を記事にしているのですが、それに倣い、先読み機能はオフ、スレッド数はPCの総スレッドの半分ずつ(4スレッド)を割り当てて、対戦させました。
試行回数が少ないので、上のBonanza6.0(1手10秒)の激指15レート戦と、下の激指11の激指レート戦の結果を見比べると、「総消費時間が同じ程度」という条件のもとでの強さの比較が出来るのではないかと思います。
■激指11の激指15レート戦の結果

最終レート 2689点(六段+)
最高レート 2728点(六段+ 79局目で到達)
対七段 0勝13敗0分(勝率0.000)
対六段+ 17勝17敗1分(勝率0.500)
対六段 28勝7敗0分(勝率0.800)
対五段+ 9勝1敗0分(勝率0.900)
対五段 5勝1敗0分(勝率0.833)
しかし、Bonanzaファンから見ると、激指の方は1手の価値が高くなる終盤でBonanzaよりも時間を使うのだから、これはこれでフェアではない様に思えるかもしれません。
そこで、Bonanza6(1手20秒)を激指15のレート戦で100局戦わせてみました。さすがにこの条件だと、Bonanzaの方が有利です。
2400点(五段)スタート
初手▲18香の局面でNPSは1760kN/sec

最終レート 2679点(六段+)
最高レート 2757点(七段 93局目で到達)
対七段 1勝4敗0分(勝率0.200)
対六段+ 14勝18敗0分(勝率0.438)
対六段 22勝8敗2分(勝率0.733)
対五段+ 13勝9敗0分(勝率0.591)
対五段 8勝1敗0分(勝率0.889)
最高レートだけを見ると、Bonanza6.0の方が激指11を上回っているのですが、平均的には激指11の方が高いレートで推移しています。対局後のレートの平均を算出すると、それがわかります。
ソフト | 最高R | 対局後R平均 |
---|---|---|
Bonanza10秒 | 2680 | 2588 |
Bonanza20秒 | 2757 | 2608 |
激指11六段+ | 2728 | 2648 |
上の表よりBonanza6(1手20秒)は、Bonanza6(1手10秒)よりも20点上を、激指11よりも40点下を推移していたことがわかります。
総評

激指11が発売された当時は、Bonanza6.0の方が圧倒的に強いという情報で溢れていました。
当時は、私のPC上ではそのような事実は再現されないので、非常に不思議に思っていました。
最近になって、ようやく気付いたのですが、激指を語る場ではそのような風潮があり、実はBonanzaを語る場では、Bonanza6.0が公開された直後は激指10の方が強いというコメントで溢れていたようです。
ネット上には新しい物に対して、事実を捻じ曲げてでも叩きたい輩が居て、そういう人に限って声は大きく、それに惑わされる人も少なくないということです。私の中ではBonanza6.0と激指11の比較が、それを知る好例となりました。
それはおいといて、多くのプログラマーがBonanza6.0を改良して、世界コンピュータ将棋選手権に出場していたのを見ても、Bonanza6.0が如何に優れたプログラムであったかが証明されています。
慥か、米長永世棋聖と電王戦で戦ったボンクラーズが、Bonanza6.0を改良したプログラムだったと聞いています。(※貸し出されたものは1つ前のバージョンのBonanzaFelizを改良したもの)
当時は、激指にも優るとも劣らない、何かと信者の多い将棋ソフトでした。無料で手に入れることが出来る分、Bonanza6.0を支持する人が多かったような気もします。
しかし、私程度の棋力では、駒落ちで遊ぶくらいでしか楽しむ方法はなく、他の人達はどのように活用していたのかには興味もあるところ。
私の場合、駒落ちで遊ぶほかは、ネット対局で相手がソフト指し臭い時に、対局後にMyBona使って棋譜解析にかけてみるとか(90%超える輩が結構居たんだ)、プロ将棋を観戦する際に激指以外のソフトはどのように形勢判断をしているのかを確認するくらいでしか使ってなかったと思います。
ところで、コンピュータ将棋がプロ超えを達成する前夜に、Bonanza6.0がその目標達成へと加速させたいたことは疑いのない事実です。
実は将棋倶楽部24ではBonanza6.0が公開される少し前に、最高Rを更新しそうなユーザーが突如、抹消されるということもありました。
今回のBonanza6.0に激指15のレート戦を闘わせた結果によって、早指しにおける人類最強の強さがおおよそどの程度かを垣間見ることが出来たような気がします。
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