早指し二段森田将棋(スーパーファミコン)

将棋ソフト
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対応機種スーパーファミコン
発売元セタ
発売日1993年6月18日
最高棋力激指15の6級【17分38秒/109手】
特記事項・日本将棋連盟公認 総合棋力二段
・三段までの段位を取得出来た(既に受付終了)
・セガ独自のカスタムチップ搭載
・レトロフリークでは動きません
※【】内は48局行った際の1局における消費時間と手数の平均


目次


早指し二段森田将棋とは

将棋ファンの夢が実現した超早指しソフト!
①コンピュータプレイヤーの思考時間が大幅に短縮。
 最強の相手との対局での待ち時間は、一手平均は約1分/最長でも約5分以内の早指しができます。それにより、前作「初段 森田将棋」では数時間かかっていた対局時間が、「早指し二段森田将棋」では一局あたり30分程度になりました。  さらに一手20秒の時間制限のある「段位獲得戦」においては、なんと一局あたり約15分の対局が楽しめます。

②対局ソフト最強の実力。
 ㈳日本将棋連盟より総合棋力二段と判定、1万手以上の定跡が入っています。この家庭用ゲームソフトで最強の将棋ソフトに「段位獲得戦」で3連勝することができれば、最高三段までの段位認定が受けられます。

③人間VS人間の対局も可能。
④初心者への親切機能も充実。
⑤スーパーファミコンマウス対応!
⑥より格調高い音声。

引用元:本製品パッケージ裏面

主な機能

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【入門教室】対コンピュータ戦の最弱モード。駒落ち下手も可能。
【将棋道場】対コンピュータ戦で将棋道場3が最強。駒落ちは下手も上手も可能。
【段位獲得戦】CPUとの3連戦。ユーザー側は1手20秒。100手超えると負け。
【詰将棋】盤面に詰将棋の問題図を並べるとCPUが解図してくれる。
【対局室】森田将棋の盤面と時計を使って、人間VS人間の対戦が可能。


早指し二段森田将棋の棋力

棋力の検証

早指し二段森田将棋がどのくらい強いのかを確かめるため、その最強レベルである「将棋道場3」と激指15を対戦させてみました。

激指15の10級~5級までと各級8局ずつ対戦させた結果をまとめたのが下の表。(勝敗は森田将棋側から見たもの)

対戦相手森田60分森田120分
激指10級8勝0敗8勝0敗
激指 9級7勝1敗5勝2敗1分
激指 8級7勝1敗6勝2敗
激指 7級6勝2敗2勝6敗
激指 6級4勝4敗4勝4敗
激指 5級1勝7敗3勝5敗
TOTAL33勝15敗28勝19敗1分


補足説明しておきますと、表中「森田60分」というのは「将棋道場3」の初期設定で、持ち時間が60分(秒読み30秒)の対局です。「森田120分」というのは持ち時間を最大の120分(秒読み60秒)に設定したものです。

森田将棋が1局で消費する時間と手数の平均は、
森田60分 → 17分28秒(109手)
森田120分 → 30分11秒(114手)
でした。(※引分局は含まず)

一局の最長時間と最短時間は、
森田60分 → 最長46分27秒(263手)、最短2分29秒(68手)
森田120分 → 最長56分47秒(183手)、最短3分10秒(70手)
でした。

以上の結果から、早指し二段森田将棋の棋力は激指15の6級相当とするのが妥当に思われます。

また、コンピュータ将棋は持ち時間が長いほど強くなるというのが常識ですが、早指し二段森田将棋に限っては、持ち時間を長くすると指し手は微妙に変わっても、消費時間が増えるだけで強くはならないという実験結果となりました。

気付いたこと

5手詰めは確実に詰ましてくる
コンピュータとの対局においては、森田将棋は5手詰め以下は確実に詰ましてくるようです。コンピュータも自信があるのか、自玉が詰み筋に入り残り4手になると投了してました。7手詰めも大抵は詰ましますが、見逃すことも結構ありました。9手詰めになると詰ます確率は低くなるようです。

生粋の居飛車党
激指との対局の7割くらいは横歩取りか相掛かりになってました。横歩取りが最も得意で次が相掛かり。角換わりや矢倉の定跡も入っているみたいですが、あまり得意ではない模様。矢倉は森田将棋が矢倉囲いに玉を収めるところまで定跡手順が進行したのを見ませんでした。また、森田将棋が飛車を振るところは一度も見ませんでした。

千日手判定は無い
一度だけ千日手になったところを目撃し、引分と判定しないことを確認しました。他にも千日手模様になったのは見ましたが、いずれも森田将棋の方から手を変える努力をしてました。

同じ投了図は出難い
通常の将棋ソフトと違い、森田将棋は定跡外の手順になっても幾つかの候補手の中から一つを選択しているようです。そのため、よほど短手数の将棋でない限り、同じ投了図が出現するのはかなりのレアだと思われます。サラッと書いてますが、これは実はスゴイこと。

持ち時間を長くしても強さは変わらない?
上でも書きましたが、持ち時間を長くしても強さはほとんど変わらないと思われますが、指し手は微妙に変わるようです。

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上の図で、持ち時間60分(秒読み30秒)だとCPUは必ず△72飛と指すのですが、持ち時間120分(秒読み60秒)だと、それ以外の手を指してました。10回ずつくらいを試してみたのですが、そうなりました。

段位獲得戦

段位獲得戦とは、持ち時間1手20秒の対局を3回やって、3連勝を出来たならば、対局後に発行されるパスワードと3局目の棋譜を所定の用紙に書き込み、併せて説明書の中にある次の一手問題5題の解答も書いて、日本将棋連盟に送ると、見合った段位と申請用紙が送り返されてくるというもの。(※平成6年5月31日に受付終了)

なお、対局の方は20秒将棋で且つ100手以内で勝利しないといけないという条件が付いていて、それがなかなかのくせ者。

森田将棋に勝つだけなら屁のカッパですが、20秒将棋とは言っても、タッチパネルやマウスクリックとは違って、着手までの操作時間が10秒近く掛かったりします。

オマケに最後の王手ラッシュを含め、意外に手数を稼いでくるので、初手合いから3連戦で条件を満たせるのであれば、確かに三段認定でも良いのかもしれません。

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しかし、序盤早々優勢になる局面に誘導しやすい一面もあったりして、序盤早々大優勢になる手順を先手番と後手番でひとつずつ発見しておけば、級位者であっても3連勝待ったなしっ!

とは言っても、その程度のありきたりのやり方を日本将棋連盟が見落としているはずはなく、3連勝だけでは駄目で、説明書に付いている次の一手問題5問を正解できなければ三段を獲得出来ないようです。

この次の一手問題、昔の次の一手問題というのがまたくせ者で、正解が最善手かどうか怪しいものが結構あったりするわけです。

日本将棋連盟が出題するものには、そういうものは少ないのですが、全5題中第2問は微妙な気がしました。解き終えた後で、激指15と水匠4を使って確認したところ、双方の最善手は合致してませんでした。

答えを確認することは出来ないのですが、私と激指15、水匠4の回答はコメント欄に書いておきます。(今でも説明書を持っている方がいらっしゃいましたら、間違っている場合は教えて頂けると幸いです)

あと、どうでもいいことですが、今回、3連勝まで2度辿り着いたのですが、同じな名前で受験していたのに、出て来たパスワードは違いました。手数がチェックされているのか、詰み逃しをチェックしているのか、単に何パターンもあるだけなのか、憶測が憶測を呼びます。

総評

私がこのソフトを購入したのは、発売から1年くらいを経過した頃だったと記憶しています。私が自分の金で購入した2番目の将棋ソフトで(1番はPCEの初段一直線)、個人的には思い出深い一本。

なんでも、定価14800円(税抜)はスーパーファミコンのカセットの中でも4番目に高値だったそうで。スーパーマリオカートが定価8900円(税抜)、ストリートファイター2が9800円(税抜)だったことを考えると、まさしく強気の価格。

当時から「少し高いな」という感覚はあった気もしますが、「家で将棋二段と遊べるのだから、気にしない、気にしない(ひとやすみ、一休み)」と深く考えることも無かったように記憶しています。

値段が高くなった理由は、処理速度を上げるために、セタが独自で開発した「ST-0011」という特殊チップをカセットの中に搭載していたからだと思われます。

なるほど、この当時の他の将棋ソフトに比べると、確かに速くて強いです。間違いなく、当時の家庭用ゲーム機の中では一番強い将棋ソフトですが、しかし、総合棋力は二段もない・・。

慥かに多くの定跡には対応しているのですが、原始棒銀など定跡に無いような手順を指すとあっという間に不利に陥ることもあり、得意の詰将棋も11手詰め以上になると偶然の形でしか見つけませんし、どこからどう見ても級位の棋力だと思います。

それはさておき、本作は日本将棋連盟の免状の売上に貢献していたという話もあるくらいで、将棋ソフトとしては成功事例だったと思われます。たぶん、スーパーファミコンの将棋ソフトでは最も有名なはずです。

パッケージ裏面にあるセールスポイント「人間VS人間の対局も可能」と「より格調高い音声」も私にとってはその通りで、友達が遊びに来た時は、秒読みをやってくれる将棋盤として、フェアな対戦を楽しむのに役立った記憶があります。

当時としては、速くてそこそこの強さを実現した、将棋ソフトの秀作であったことは間違いありません。将棋ファンの中で一番多いライト層にも、対戦相手としてはこのくらいの棋力の方が勝つ満足感を得られるので、受けたのではないかとも思います。

一つだけ難点がありまして、上で述べた処理速度を上げるために内蔵された特殊チップも当時は抜群の効果を発揮していたのですが、今となってはそれがためにレトロフリークでは動かせない、実機でしか動かすことができない泣き所となってしまったことも、今の時代だからこそ出て来た感想として書き留めておきます。

対局棋譜

私が将棋道場3で持ち時間60分(秒読み30秒)の対戦をした棋譜を貼っておきます。

▲わたし
△早指し二段森田将棋
将棋盤

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120分(60秒)だと同じような手順になりますが、27手で終局というのもありました。

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コメント
  • 私の回答
    2021/11/11 15:05
    1.44歩
    激指は36飛と飛車を逃がす手を推奨してますが、問題図では44歩で大技が掛かり、ヒントも「飛車取りですが」と飛車を逃げる手以外を匂わせています。水匠の最善も44歩。

    2.22飛成
    全5題中の最難関。問題図はどう指しても序盤早々、一手間違うとお陀仏の乱戦必至。私は振り飛車なので分かりませんが、相居飛車の定跡手順なのでしょうか?そうでなければかなりの難問。ヒントが「序盤の常識」なので、定跡でなければ、22飛成が「序盤は飛車よりも角」の格言に一致しており、ヒントを満たします。激指もそれを最善手として示していました。水匠は87銀を最善としてましたが、そちらが定跡でもなく正解ならば、プロ並みの読みと大局観が必要かもしれません。

    3.56歩
    ヒントは「歩の使い方」で、この一手で後手は銀損となり、ほとんど終了。最初は敵陣にばかり目が行き、1~2分ほど気付きませんでした。(「あれ、何か良い手がありますっけ?あれ?あれ?」みたいな心境に陥ってた・・。)水匠と激指の最善も一致。

    4.67角
    これは私も激指も水匠も全員一致でしたが、私にはパット見で思い浮かぶものの、あまりにも初心者っぽい自陣角に見えたため、結構悩みました。(ヒントは「両取りを受ける」であまりにも単純で、実は5手一組くらいでもっといい手があるのではないかと、問題図とにらめっこを続けてました。結構ドキドキしながら決断した一手。)

    5.64歩
    ヒントが「手筋で勝つ」なので、ひと目でしたが、ラストを飾る問題としてはあまりにも簡単過ぎて、逆に引っ掛けではないかと悩みました。水匠と激指の最善も一致。
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