
対応機種 | スーパーファミコン |
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発売元 | セタ |
発売日 | 1995年5月26日 |
最高棋力 | 激指15の2級【79分/121手】 |
特記事項 | ・日本将棋連盟公認・総合棋力二段 ・処理速度を強化するST018搭載 ・三段までの段位を取得出来た(既に受付終了) ・スーパーファミコン最強の将棋ソフト ・定価もSFC全ソフト中3番目に高額 ・レトロフリークでは動きません |
※【】内は52局行った際の1局における消費時間と手数の平均
目次
早指し二段森田将棋2とは
引用元:本製品パッケージ裏面総合棋力二段の本格将棋。
待ちのイライラを解消する超スピード
さらに強く
(社)日本将棋連盟より総合棋力二段と認定、前作「早指し二段森田将棋」を超える強さ。1万手以上の定跡の種類も増え、さらに手強い相手となりました。
さらに速く。
家庭用将棋ソフトの中で最も速かった前作を超える早指し。一手あたりの平均思考時間は約50秒。最長でも約4分以内の早指し対局が可能になりました。
自宅にいながら段位が取れる。
ゲームの中の「段位獲得戦」で3連勝し、次の一手問題に正解することができれば、最高三段までの段位推薦が受けられます。また、今回からは「級位獲得戦」も搭載。幅広い将棋ファンにお楽しみいただけます。
10秒将棋
一手あたり10秒の待ち時間で戦う「10秒将棋モード」搭載。テンポの良い早指し対局が楽しめます。
初心者歓迎!
将棋初心者でも安心。易しいコンピュータ相手に駒落ち対局できる「入門教室」モードもついてます。「入門教室」ではまったもかけられます。
※段級位推薦状発行は既に受付終了しています。
主な機能

【入門教室】ゲーム内最弱のCPUと対戦できる。まったも可能。
【対局室】CPUのレベルは5段階。駒落ちも可能。
【詰将棋】盤上に詰将棋を並べてCPUに解かせることができる。
【級位獲得戦】CPUとの対戦3連戦。20分切れ負け
【段位獲得戦】CPUとの対戦3連戦。5分切れ負け
早指し二段森田将棋2の棋力
棋力の検証
早指し二段森田将棋2がどのくらい強いのかを確かめるため、その最強レベルである「将棋道場3」と激指15を対戦させてみました。
最強のL5を選択したのですが、初期設定の持ち時間30分(秒読み30秒)と、最長持ち時間の60分(60秒)の場合に分けて、激指15の1~7級と各8局ずつを対戦させてみました。
対戦相手 | 森田30分 | 森田60分 |
---|---|---|
激指7級 | 5勝2敗1分 | 7勝0敗1分 |
激指6級 | 6勝2敗0分 | 7勝1敗0分 |
激指5級 | 3勝4敗1分 | 7勝0敗1分 |
激指4級 | 2勝4敗2分 | 5勝2敗1分 |
激指3級 | 2勝5敗1分 | 5勝3敗0分 |
激指2級 | 5勝3敗0分 | 4勝3敗1分 |
激指1級 | 0勝8敗0分 | 1勝7敗0分 |
TOTAL | 23勝勝28敗5分 勝率0.451 | 36勝16敗4分 勝率0.692 |
早指し二段森田将棋2が1局で消費する時間の平均は、
30分(30秒)→ 46分27秒(121手)
60分(60秒)→ 79分01秒(121手)
一局の最長時間と最短時間は、
30分(30秒)→ 最長69分02秒(214手)、最短31分19秒(66手)
60分(60秒)→ 最長124分12秒(204手)、最短28分13秒(48手)
以上の結果から、早指し二段森田将棋2の棋力は、初期設定の30分(秒読み30秒)だと激指15の4~5級くらい、最長時間設定の60分(60秒)だと激指15の2級相当だと考えられます。
気付いたこと
●5手詰は確実に詰ましてくる
対局中の詰みの発見については、前作「早指し二段森田将棋」と大して変わらないと思いました。5手詰め以下を逃したのは見ませんでしたが、7手詰めを見逃したのは何度か見ました。一方で、時々13手詰めを詰ましてました。
●横歩取りの定跡が無い
森田将棋と激指の対局で横歩取りになったことは一度もありませんでした。というか、森田将棋2は▲76歩△34歩▲26歩△84歩の局面で2分近く考えます。つまりそれ以降の定跡を認識していません。そして指した一手は▲48銀でした。横歩取りの定跡が無いのは少し残念。
●同じ手を指す
コンピュータのレベルが同じで、持ち時間の設定も同じにした場合、森田将棋2が定跡手順と認識している局面から外れると、ユーザーが同じ手順を指す限り、コンピュータも同じ手を返してきます。前作は指し手を変えてきてただけに少し残念。
●持ち時間を増やすと強くなる
上の棋力検証結果を見ても分かるように、森田将棋2は持ち時間を増やすと強くなります。特に詰みがある局面でその威力を発揮します。そうでない局面でも指し手に違いがあり、強くなっていると思います。
●引分判定は無い
同一局面が4度以上出現しても、コンピュータは此方が手を変えるか、投了するまで同じ手順を繰り返してきます。早い話、千日手の自動判定機能はありません。
●おかしな奇襲戦法を使う

上の図のようなおかしな奇襲戦法を使います。手順は▲26歩△34歩▲76歩△44歩▲48銀△33桂です。これはコンピュータが自力で考えているわけではなく、次に先手が▲44角と食いつくと以降10手ほどを定跡手順として認識しているようです。パックマンに似てますが、パックマンではありません。何という名称の戦法なのでしょう?
総評
まずはじめに、この「早指し二段森田将棋2」は処理速度を上げるためカセット内にセタ独自の特殊チップ(ST018)を内蔵しているためか、レトロフリークなどの互換機では動作しないことを書いておきます。
さて、ゲーム内容の方ですが、前作「早指し二段森田将棋」に比べてビジュアル面や機能は大して変わってませんし、BGMは前作と同じ「春の海」(正月によく流れる曲)です。
しかし、将棋ソフトにとって一番大事とも言える、少なくとも当時は一番大事な要素であった棋力面が、前作に比べると格段に進歩していました。
私はこの「早指し二段森田将棋2」を発売日から間もないうちに遊んでいるのですが ――正確には友達の家で少しさわった程度―― 自分で所有していた前作「早指し二段森田将棋」よりも強かったという印象を持っていました。
前作で簡単に優位に出来る手順(原始棒銀を少し改良した程度の他愛もない手順)をぶつけてみたところ、たちまちのうちに跳ね返されて敗北に追い込まれたことを覚えています。
その印象があったにもかかわらず、今回の棋力検証の結果にはさらに驚きました。消費時間が前作の4~5倍あることを考慮しても、たった1年で400点くらい強くなっているというのは本当に凄い。
思考ルーチンが驚異的に進化しているのか、それともカセットに内蔵されている処理速度を上げるための特殊チップが凄いのか、とにかく、1年の間に400点も強くなっている将棋ソフトというのは初めて見ました。まあ、消費時間を同じくらいにすると200~300点かもしれませんが、それでもそんなすごい将棋ソフトの進化は初めて見ました。
この「早指し二段森田将棋2」がスーパーファミコンの将棋ソフトの中で、ダントツで一番強いということで、まず間違いないでしょう。
ただ、上の方でも書きましたが残念な点もあって、横歩取りの定跡が無かったり、何と言っても同じレベル・同じ時間設定だと、コンピュータにとっての定跡外の局面になると、こちらが同じ手を指す限り、同じ手を返してきます。言い換えると、同じ手順の同じ投了図が出来上がります。

これは、段位獲得戦にも応用出来たりします。段位獲得戦は前作の1手20秒よりも厳しい5分切れ負けで、オマケにコンピュータは前作よりもサクサク指すので、初手合いだと本作の方が難度は高いのですが、先手番と後手番の勝つ手順を一つずつ用意しておけば初心者でも簡単に3連勝を実現することが出来るわけです。(前作はコンピュータが手を変えていた)
あと、パッケージ裏面には「一手あたりの平均思考時間は約50秒」と書かれてあるのですが、実は最高棋力の「L5」は定跡外の局面になると思考を完了するまでに一手あたり2~3分掛かることはザラです。
初期設定の持ち時間30分(秒読み30秒)だと、30分を使い果たした後は1手につき30秒しか時間を使えないため、長期戦になればなるほど一手あたりの平均思考時間が30秒に近づいていく、ただそれだけのことだったりします。
コンピュータ将棋というのは、長く考えさせるほど強くなるというのは今や常識ですが、この「早指し二段森田将棋2」も例外ではありません。ですから、持ち時間の設定を60分(秒読み60秒)に変えるとさらに強くなるのですが、これは当時としては裏技だったのでしょうか?
まあ、短所もありますが、同時期のプレイステーション用の将棋ソフトと比べてさえも優るとも劣らない棋力であることは事実で、当時は前作を買ってなかった将棋ファンならば、きっと満足した作品だったのだろうと思います。本当にスーパーファミコン用の将棋ソフトとは思えないほどの驚きの強さでした。
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