
対応機種 | Windows 7/8/8.1/10 64bit版 |
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発売元 | マイナビ出版 |
発売日 | 2018年8月31日 |
最高棋力 | 激指15のPro+5【4152kN/sec ×9秒】 |
特記事項 | ・5つの思考エンジンを搭載 ・棋譜読み上げは竹俣紅さん ・やねうら王を初の商品化 |
※対局の際のやねうら王のNPSは初手▲18香の局面で4152kN/sec
目次
将棋神やねうら王とは将棋
引用元:本製品パッケージ表面プロ棋士を凌駕する異次元の強さ
第5回将棋電王トーナメント(SDT)優勝ソフト含む5つのトッププログラムを1本に収録!!
やねうら王 2018年版
tanuki- SDT5版
tanuki- 2018年版
Qhapaq 2018年版
読み太 2018年版
棋譜読み上げは竹俣紅女流初段!!
主な機能
【通常対局】思考エンジンは5種類。CPUの棋力は11級から十二段とその上の将棋神まで。
【検討】任意の局面についてコンピュータが優劣を判断して読み筋を披露。
将棋神やねうら王の棋力
棋力の検証
将棋神やねうら王の最高棋力である「将棋神」がどのくらいの強さなのかを知るために、激指15のレーティング戦で闘わせてみました。
将棋神やねうら王には5つの思考エンジンが収録されていますが、今回は商品タイトルにもなっている「やねうら王」で対戦させてみました。
五段(2400点)スタート

対Pro+ 3勝0敗0分(勝率1.000)
対Pro 8勝0敗0分(勝率1.000)
対七段+ 7勝0敗0分(勝率1.000)
対七段 5勝0敗0分(勝率1.000)
対六段+ 5勝0敗0分(勝率1.000)
対六段 5勝0敗1分(勝率1.000)
対五段+ 9勝0敗0分(勝率1.000)
対五段 2勝0敗0分(勝率1.000)
45戦やったところで44勝0敗1分。
激指15Pro+2とは、25分切れ負けの条件だと私のパソコンでは時間が足りないため測定不能。
実は上記のレート戦で第46局をやったところ激指の勝勢になったのですが(やねうら王の評価値で3000弱)、激指の残り時間が5分くらいになったところで激指側は時間が足りずに不本意な手を連発したのか、みるみるうちに逆転したため、私のパソコンで激指Pro+2をレート戦で闘わせることは不可能だと判断しました。
そういうわけで、激指15Pro+2との力の差を知るために通常対局で百番勝負をやってみました。手動入力でコンピュータの消費時間だけでも150時間掛かる超絶気合の入った実験となりました。
対局結果を激指風に一覧表にしてみました。
やねうら王の持ち時間は1手9秒
NPSは初手▲12香の局面で4152K

※表中の前半50局はやねうら王の先手、後半50局は激指の先手
91勝8敗1分(勝率0.9192)
先手番 46勝3敗1分(勝率0.9388)
後手番 45勝5敗0分(勝率0.9000)
最高レート 3537点(Pro+5)
最終レート 3537点(Pro+5)
連勝記録 34連勝
もし、超ハイスペックPCで激指15レート戦をやったならば、上のような結果になることが予想されます。
市販将棋ソフNO2の激指15を相手に圧倒的勝率。
しかし、激指が読んでいた41手詰(瀬尾詰めによる解析)をやねうら王は見えていなくて頓死負けしたという対局もありました。下の局面でやねうら王は△49飛打と指したのですが、激指は8秒で後手玉の詰みに気付きました。同じ局面でやねうら王が後手玉の詰みに気付くためには10分以上を必要とするようです。

さて、将棋神やねうら王の棋力ですが激指15のレーティング戦だと3500点を少し超えたあたり(Pro+5)が定位置だと予想されます。
なお、激指の方が総消費時間は6~7倍多いため、単純にやねうら王と激指15の差を300点差とするものではありません。また、レート計算はイロレーティングではなく、将棋倶楽部24の計算式でやってます。
気付いたこと
●やねうら王の定跡は謎?
将棋神やねうら王はデフォルトだと最初の数手は定跡と認知している手を指してくるのですが、その手順はプロ棋士の先生方が育んできたものとは全く異なるだけにとどまらず、その手順から外れると超高確率でやねうら王自身が自陣をマイナスの局面と評価するケースが多々ありました。
昨今のコンピュータ将棋は開始局面が先手持ち+100くらいの評価なわけで、それを先手側-100くらいまで指し続ける手順をなにゆえ定跡としてノータイムで指し続けるのかは謎でした。実は超高性能マシンで動かすとプラスと判断するのでしょうか?
●入玉将棋の宣言法とトライルールを採用
将棋神やねうら王は自玉が入玉模様になると入玉将棋の宣言法による勝ちや、トライルールに設定している際は、その状況が成立すると勝負が決着します。これは市版のソフトでは初めてのこと。
総評

2014年の第3回将棋電王戦で佐藤紳哉六段に、2015年の電王戦FINALで稲葉陽七段に勝利した「やねうら王」を両三年の歳月をかけて更に超絶強くした代物がこの「将棋神やねうら王」です。
やねうら王のほかにそのプログラムを利用して作った所謂やねうらチルドレンのソフトも収録されているのですが、それらも2017年秋に開催された第5回将棋電王トーナメントで上位になったソフトの改良版で、いずれもプロでもほとんど勝てない代物のはず。
強さだけを言うならば、発売から4年近くが経った2022年5月現在でも市販ソフトでは断トツで最強です。
ところがその発売時には、収録ソフトはいずれもそのバージョン違いで強さも大して変わらないものを無料でダウンロード出来たという背景がありました。
機能的にも思考エンジン的にも、その無料で遊べる「将棋GUI」とよく似ているため、そちらとの比較になるのは必然でしょうか。
将棋GUIに無いものといえば、コンピュータと楽しく対局できるように級位者でも勝てるレベルに調整されたものが複数あることと、竹俣紅さんの棋譜読み上げ音声、他は思考エンジンの強さを調整する設定画面のパラメータ欄に親切な説明が付いている、そのくらいでしょうか。
対局の際のレベル分けされたコンピュータは「将棋GUI」との大きな差別化なのですが、対局の後に確認したくなる形勢評価グラフや、棋譜解析機能が付いてない!「将棋GUI」には有ったのに何故?開発段階に誰も指摘しなかったのだろうか?と謎が謎を呼んだ次第。
収録ソフトのひとつに「tanuki-」の電王トーナメント優勝版が有るのは有難いところ。それもネット上で無料でダウンロード出来ていた(過去形)のですが、tanuki-の設定は素人にはやや敷居が高く、ちゃんと設定したつもりでもtanuki-として完成しているのかどうかが分かりづらいなどの状況がありました。
この「将棋神やねうら王」で遊ぶ際は、tanuki-優勝版として完成しているのかどうかなんて心配する必要はありません。優勝版というハクの付いたものをチョイスしたあたりも好印象。
以上が発売後間もなくに購入した私の感想となります。
今回、150局ほどの指し手を見ていて思ったのは、やねうら王は非常に攻撃的で穴熊に囲うところなんて見たこともありません。物凄く喧嘩っ早く、予測不可能な方法(え?そこ?みたいな感じ)で仕掛けてきます。
一方で自玉が入玉出来そうな形になるとそれまでの鬼に鉄砲な攻撃力が鳴りを潜め、自玉が絶対に寄せられない形を作る持久戦思考に一転します。そのギャップがなんだか面白かった次第。
あと、予想以上の確率で激指15に一発をもらうことがわかりました。それもまた意外な発見でした。(ほぼ負けないと思っていた)
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