第81期名人戦七番勝負第1局の感想

プロ・女流棋戦
新 刊

新 刊

chinzanso.jpg

4月5日、6日に第81期名人戦七番勝負第1局(渡辺明名人vs藤井聡太六冠)が東京都文京区のホテル椿山荘で行われました。

6日に行われた2日目は渡辺名人の封じ手▲79玉と玉の守備力を高める一手で始まりました。コンピュータの候補手からも渡辺名人らしい一手は多分それだろうと、昨日も書いたのですが、プロの検討でもその一手が大本命だったとのこと。

それに対して、藤井六冠もすぐさま44手△95歩とぶつけて総攻撃開始。局面は攻める藤井六冠、守る渡辺名人の構図になりましたが、80数手まではずっと互角の勝負が続いていたと思います。(ABEMAのコンピュータの形勢判断は時々藤井六冠側60%と化になるのですが、いつの間にか50%に戻ってるといった、そんな感じ)

しかし、渡辺名人も持ち時間に余裕があるときは形勢を損ねることは無かったのですが、時間がほとんどなくなりかけていた時に指した85手▲21馬の攻め合いの一手、その手が少し淡泊だったのではないかとABEMA大盤解説の森内九段の話。

確かにそのあたりからは時間を残していた藤井六冠が少考して指すたびにじわじわとリードを広げる展開となり、圧巻は藤井六冠の98手△53銀打。それまで攻めていた藤井六冠が一転して自陣を固めて不敗の陣を築いていく指しまわしにABEMA大盤解説の森内九段も唯々感心するのみとなっていました。

その後、渡辺名人が秒を読まれながら103手▲54桂打と打ったのですが、その局面にはその桂馬を奪い取るか、それを避けようとすると名人に勝ち筋が無くなる順が発生して、藤井六冠が数分間の確認後にその順を指して、以下は形作りとなり110手で藤井六冠の勝利。

2日目の終盤までいい勝負が繰り広げられていたのですが、藤井六冠はとにかく強く、藤井六冠側にピンチらしい局面が無かったのもまた事実。

名人戦はまだ始まったばかりですが、先手番を落とした渡辺名人がはやくも苦戦を免れられない状況になったような気はします。

ABEMAが2日目の大盤解説に十八世名人を連れて来たのはこの上がほとんど無い絶妙手。名人戦は見ている側としては将棋界最大の祭りで、十八世名人のような大棋士が登場するとさらに楽しさの度合が倍増します。

◆水匠5の形勢評価グラフ
第81期名人戦第1局 水匠5の形勢評価グラフ
点線は85手。実は水匠5の最善手も▲21馬だった。

◆興味深いツイート
関連記事
記事タイトルとURLをコピーする

コメント
コメント投稿

トラックバック