塚田正夫の詰将棋(書評)

詰将棋の本

難易度:★★★★★★★★☆☆
満足度:★★★★★

内容


昭和52年に発行された「塚田詰将棋代表作」200問から、文庫版に適した15手詰以下の183問を収録。


構成


1ページ1題。問題図下にヒント有。めくって次のページに解答解説。


書評


著者の塚田正夫名誉十段は、名人を獲得したこともある棋士で、その名前を冠した塚田賞は詰将棋界の最高峰の賞です。

そう聞くと、この「塚田正夫の詰将棋」はかなり難しい作品集ではないかと思われた方も少なくないかもしれません。

実は、駒数少ない実戦形の問題図が並び、正解手順を発見した時にはうれしくなり、難度は比較的普通だと、三拍子揃った詰将棋集の最高傑作だったりするのです。

さて、私が1題に要した平均時間と正解率は次の通り。

棋力→将棋倶楽部24の初段

項目問題数平均時間正解率
5手詰15問2分04秒100.0%
7手詰25問3分28秒96.0%
9手詰44問5分21秒90.9%
11手詰51問7分41秒84.3%
13手詰34問10分49秒67.6%
15手詰14問12分54秒71.4%
TOTAL183問7分25秒84.7%


注意してほしいのは、目次では初級向詰将棋とかになっていますが、全然初級向けではないです。本書では11手詰めまでが「初級向け」になっていますから。

ジャンルは違いますが、話題作「ひと目の必死」と同じくらいの難度だと思いました。正解を見つけた後の爽快感はこちらの方が勝ります。言葉にするのは難しいのですが、実戦形の問題なのに正解手順に惚れぼれするものが多いのです。

塚田先生は変化のある問題を好まれたらしく、作為手順以外の変化同手数や変化長手数のある問題が結構ありました。

詰将棋を解きなれていない方が読むと、正解手順より2手長く駒が1枚余る変化手順が時々出てくるので、それらをキズのある作品と思ってしまうようですが、変化長手数というルールの範囲内だったりします。ルールを知らなかったら、その系統の問題はムカつくので、そういう意味でも有段者向けの本なのかもしれません。

解説には塚田先生の作意に対する価値観が時々語られており、「塚田詰将棋代表作」を持ってない人で詰将棋作成に興味がある方は迷わず買いです。

私がこれまで読んだ40冊の詰将棋の本の中で、この「塚田正夫の詰将棋」が一番の傑作だったと記しておきます。ただし、繰り返しますが有段者向けです。


目次


第1章 初級向詰将棋5手7手(第1問~第40問)
第2章 初級向詰将棋9手(第41問~第84問)
第3章 初級向詰将棋11手(第85問~第135問)
第4章 中級向詰将棋(第136問~第170問)
第5章 上級向詰将棋(第171問~第183問)
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コメント
  • Re: 塚田正夫の詰将棋を解いて
    2012/07/09 22:26
    ラビーさん、コメントありがとうございます。

    塚田名人は棋士としても名人になりましたが、詰将棋作家としても名人ですね。

    私の読んだ将棋の本の数はあまり気にしなくていいです。

    詰将棋の本は数をこなした方が良い結果が出ますが、定跡書の方はいろいろな本を読むよりも良書を見つけてそれを読みつぶすのが良さそうです。

    私はこれまで50冊ほどの詰将棋本を読みましたが、「詰将棋の一番の良書はなんですか?」と問われればいまだに迷わず「塚田正夫の詰将棋」と答えます^^
  • 塚田正夫の詰将棋を解いて
    2012/07/09 18:16
    私も本日この詰将棋集を解き終わりました。ご推奨のとおり素晴らしい作品集でした。作者は多数の作品の中から吟味して作品集にしたのだろうと偲ぶことができます。上級向詰将棋は難しすぎて解けない問題が多かったのですが阪田さんも苦労されたとのことで少し安心しました。
    阪田さんのその他の書評も拝見しましたが、これだけ勉強しないと初段になれないのですね。少し凹みました。私は将棋倶楽部24で最高9級で、もう何年も将棋を指していませんが、この詰将棋集を足がかりにしてまた将棋を指したくなりました。これからもいろいろな書評を楽しみにしています。それでは失礼します。
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